netkeiba.comの記事によりますと、9月17日に行われた愛セントレジャー(GI)をCollier Hill(1998.3.26)というせん馬が制したとの事。そのCollier Hill、ドクターデヴィアス(1989.3.10)の産駒なんですね。出ました、ドクターデヴィアス。Tourbillon(1928)系Ahonoora(1975)の仔で英ダービー(GI)馬。またの名を「シンコウキング(1991.4.24)の兄」とも言います。
日本ではロンドンブリッジ(1995.5.6)、タケイチケントウ(1995.5.3)、オーバーザウォール(1994.4.11)等を輩出。愛娘である『夢の架け橋』ロンドンブリッジがデビューした時には、すでに愛国に戻っていました。ちょうど、ロンドンブリッジが桜花賞戦線で頑張っていた頃に生まれたのが、すなわち満8歳時の0交配で生産されたのが、今回のCollier Hillですね。
Collier Hillの4代血統構成は『★ドクターデヴィアス×Polish Precedent×Rainbow Quest×Habitat』で『Ahonoora系×Daizig系×Blushing Groom系×Turn-to系』の配合です。5代血統表内ではNorthern Dancer(1961.5.27)4×4のクロスがあります。Collier Hillの牝系は欧米で受け継がれている9号族。3代母Roussalka(1972)は7勝を挙げコロネーションS(現英GI、当時GII)、ナッソーS(英GII)2回等を制しています。また、Roussalkaの半妹にOh So Sharp(1982)がいます。同牝馬は英1000ギニー(GI)、英オークス(GI)、英セントレジャー(GI)の変則3冠を達成した名牝です。他に近親として英セントレジャー(GI)馬Shantou(1993.4.30)、英1000ギニー馬Ameerat(1998.4.4)がいます。セントレジャーの距離を制した近親がいるところに、スタミナの源泉が垣間見えますね。
成績を見れば、6歳時の昨年、ストックホルムカップ(瑞GIII)で重賞初制覇。そして7歳時の今年、ゲルリング賞(独GII)、そして愛セントレジャーと、一歩一歩階段を上って来たCollier Hill。せん馬故に走り続ける運命です。これからも無事に過ごして、欧州の長距離戦線を沸かせてくれることを祈りましょう。
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ドクターデヴィアス産駒のGI勝利はとても嬉しい事でしたが、その一方で大魚を逃した馬がいました。Vinnie Roe(1998.4.6)。昨年まで愛セントレジャー4連覇(!!)の長距離の名馬です。国際GI級の連覇記録って、どうなんでしょうね。私はKelso(1957.4.4)のジョッキークラブゴールドカップ(現米GI)5連覇くらいしか思い浮かびません。
さてさて、今年は惜しくも3着に敗れてしまったVinnie Roeですが、そんな彼の4代血統構成を見ると、『Definite Article×★タップオンウッド×★イングリッシュプリンス×★Grey Sovereign』で『Ahonoora系×Fairway系×Fairway系×Nasrullah系』の配合です。5代血統表内ではLorezaccio(1965)4×4(父方)のクロスがあります。むむ、母方の父たちが、いずれも0交配になっていますね(笑)。しかも、母父がタップオンウッド(1976.2.15)、祖母父がイングリッシュプリンス(1971.5.8)と来ましたよ、お客様。タップオンウッド、キョウエイタップ(1987.3.17)のお父さんですね。イングリッシュプリンス、フサイチコンコルド(1993.2.11)の祖母父でもありますね。海外の活躍馬の血統を見て、アルファベットに混じってカタカナがあると、嬉しくなってしまう私です(笑)。
Vinnie Roeの配合についてちょこっとだけ触れておきますと、父Definite Article(1992.3.20)はIndian Ridge(1985.3.22)の仔です。『Indian Ridge×タップオンウッド牝馬』の組み合わせで、1995年の欧州年度代表馬Ridgewood Pearl(1992)が輩出されています。Vinnie Roeは一代経たDefinite Articleが父ですが、もしかしたら、『Indian Ridge系×タップオンウッド牝馬』は、相性の良い組み合わせなのかもしれませんね。ちなみに、Ridgewood Pearlの母Ben’s Pearl(1985)も、タップオンウッドが満8歳時の0交配で生産されています。
Ahonoora系のVinnie Roeの大偉業を打ち破ったのも、Ahonoora系のCollier Hill。欧州競馬の懐の深さを思いました。
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すでに長文ですが、Ahonooraというキーワードから、あと2頭紹介したい馬がいます。Presto Shinko(2001.2.28)とClose to You(2003.3.27)。海外の馬名に「Shinko」でピンと来られる方もいらっしゃるやも知れません。昨日、たまたまwww.racingpost.co.ukを見ていたら、トップページの画像に「Sanders shines on Shinko」と表題がありました(注:すでにトップページの画像は変更されています)。「ん?『Shinko』って『シンコウ』?」と思い調べてみたら、Presto Shinkoの父はシンコウフォレスト(1993.4.29)でした。出たな、高松宮記念(GI)の勝ち馬。ご存知かと思いますが、もう1頭挙げたClose to Youも、シンコウフォレスト産駒です。
シンコウフォレストは全9勝を1200mで挙げた生粋のスプリンター。『Green Desert×Ahonoora牝馬』の組み合わせで、ちょっと時計のかかる馬場がよく似合いました。という訳で、Ahonooraが出て来ましたね(笑)。母Park Express(1983.3.25)は英愛5勝を挙げ、愛チャンピオンS(GI)、ナッソーS、ランカシャー・オークス(英GIII)と重賞3勝の名牝です。ドクターデヴィアス同様、Ahonooraの代表産駒の1頭です。そんな血統のバックボーンもあり、シンコウフォレストは種牡馬入り当初から欧州で供用されており、シャトルサイアーとして豪州でも供用されました。
Presto Shinkoは現在欧州で7勝を挙げています。ここ3戦では3連勝を収めており、これからの活躍も期待されます。特に9月17日に勝利したエアゴールドカップは、グループ競走ではありませんが、高額賞金のハンデキャップ競走のようです。また、Close to You。こちらは9月9日に行われたシャンペンS(英GII)でシンコウフォレスト産駒初の重賞制覇を飾りました。両馬共にこれからも頑張って、父の名を高めてほしいですね。
長文にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。以上でございます。