ジャパンカップ(GI)の30年を辿る(其の九)。

ふと、ジャパンカップ(GI)の過去30回について、勝ち馬を中心に辿ってみようと思いました。その9回目は第25回から第27回。

ジャパンカップウィークに入って息切れ加減で、やはりゴメンナサイ。まま、残りは近6年のレースですのでm(__)m

アルカセット 牡 鹿毛 2000.2.19生 米国・クロヴェリーファームズ生産 馬主・M.チャールトン 英国・L.クマーニ厩舎

アルカセット(2000.2.19)の4代血統表
Kingmambo
鹿毛 1990.2.19
種付け時活性値:0.25
Mr.Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native
栗毛 1961.4.18
Native Dancer 1950.3.27
Raise You 1946
Gold Digger
鹿毛 1962.5.28
▲Nashua 1952.4.14
Sequence 1946
Miesque
鹿毛 1984.3.14
Nureyev
鹿毛 1977.5.2
Northern Dancer 1961.5.27
Special 1969.3.28
Pasadoble
鹿毛 1979.4.1
▲Prove Out 1969.3.15
Santa Quilla 1970
チェサプラナ
鹿毛 1989.3.10
仔受胎時活性値:0.50
Niniski
鹿毛 1976.2.15
種付け時活性値:1.00
★Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
Northern Dancer 1961.5.27
Flaming Page 1959.4.24
Virginia Hills
鹿毛 1971.3.15
★Tom Rolfe 1962.4.14
Ridin’ Easy 1967.4.5
Top of the League
黒鹿毛 1982.4.5
仔受胎時活性値:1.50
High Top
鹿毛 1969
種付け時活性値:1.00
Derring-Do 1961
Camenae 1961
Home and Away
栗毛 1977.5.19
仔受胎時活性値:1.00
Home Guard
黒鹿毛 1969.3.5
種付け時活性値:1.75
Garden of Eden
栗毛 1967
仔受胎時活性値:0.25

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×4、Thong(♀)=Ridan5×5、Forli5×5>

アルカセット(2000.2.19)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Kingmambo
(Mr.Prospector系)
Niniski
(Nijinsky系)
High Top
(Dante系)
Home Guard
(Hyperion系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Home Guard
(Bold Ruler)
3.25 母が独GI2着馬
(No.10-c)
4番仔
(4連産目)
第25回ジャパンカップ(GI)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 14 アルカセット 牡5 57 L.デットーリ 2:22.1 日本
レコード
34.8 496
[不明]
L.クマーニ 3
2 16 ハーツクライ 牡4 57 C.ルメール 2:22.1 ハナ 34.4 496
[+6]
橋口弘次郎 2
3 8 ゼンノロブロイ 牡5 57 K.デザーモ 2:22.4 1.3/4 34.7 508
[+8]
藤沢和雄 1
4 5 リンカーン 牡5 57 武豊 2:22.4 ハナ 35.0 472
[-2]
音無秀孝 9
5 6 ウィジャボード 牝4 55 K.ファロン 2:22.4 クビ 35.3 456
[不明]
E.ダンロップ 5

2005年の第25回。不滅と思われた「2分22秒2」を0秒1だけ打ち破ったのは、「ジャパンカップで勝利を収める時はハナ差勝ち」のフランキーマジックの3度目を発動した、ランフランコ・デットーリ騎手騎乗のアルカセット。アラビア語で「意志」という意味のアルカセット、勝利への強い意志を以てして、同じ496kgの鹿毛馬をわずかに抑えて、芝2400mの走破時計「2分22秒1」という金字塔を打ち立てました。

そんな訳で、アルカセットが制した第25回と、ホーリックス(1983.10.7)が制した第9回のラップタイムを比較してみたいと思います。

第25回ジャパンカップ(GI)の1F毎のラップタイムとラップの累計タイム
1F毎の
ラップ
12.5-10.7-11.5-11.8-11.8-11.9-12.0-11.8-11.8-11.9-12.0-12.4
ラップの
累計タイム
12.5-23.2-34.7-46.5-58.3-1:10.2-1:22.2-1:34.0-1:45.8-1:57.7-2:09.7-2:22.1
第9回ジャパンカップ(GI)の1F毎のラップタイムとラップの累計タイム
1F毎の
ラップ
13.0-11.1-11.5-11.4-11.5-12.0-12.0-11.6-11.7-12.2-11.9-12.3
ラップの
累計タイム
13.0-24.1-35.6-47.0-58.5-1:10.5-1:22.5-1:34.1-1:45.8-1:58.0-2:09.9-2:22.2

第25回はタップダンスシチー(1997.3.16)、第9回はイブンベイ(1984.3.22)と、速いペースで逃げた馬の功績が光ります。また、タップダンスシチーが2分23秒1、イブンベイが2分23秒2と、共に勝ち馬から1秒しか負けていないのも凄い。ただ、タップダンスシチーは10着、イブンベイは6着と、間に割り込んできた馬の数が違うところで、「最後の差し比べ」「先行逃げ粘り」と、その様相の違いが見て取れます。

しっかし、レースを見直すと、ゴール前の脚色でハーツクライ(2001.4.15)が差し切れなかったのが、不可思議と言いますか、なんと言いますか。まま、それこそがフランキーマジックなのでしょう。師匠であったルカ・クマーニ調教師の管理馬ということもあり、「勝利を収めたい」というデットーリ騎手の「意志」が、まさにアルカセットに伝わったのでしょうか。最後は師弟愛の結実という大団円でした。

そしてまた思えば、クリストフ・ルメール騎手はこの第25回ジャパンカップまでは、日本のGIで随分悔しい思いをされたことでしょう。ハーツクライの次走なった有馬記念(GI)で、ディープインパクト(2002.3.25)を抑えてJRAGI初勝利を収め、溜飲を下げる事になりましたけれど。ジャパンカップでも4年後の2009年、逆にハナ差凌ぐ勝利を挙げることになりますが、それはまた別のお話。

*

ディープインパクト 牡 鹿毛 2002.3.25生 早来・ノーザンファーム生産 馬主・金子真人氏→金子真人ホールディングス(株) 栗東・池江泰郎厩舎

ディープインパクト(2002.3.25)の4代血統表
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:1.75

Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason
黒鹿毛 1958.4.18
Turn-to 1951
Nothirdchance 1948
Cosmah
鹿毛 1953.4.4
★Cosmic Bomb 1944
Almahmoud 1947
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding
栗毛 1963.2.17
★Promised Land 1954.3.31
Pretty Ways 1953.3.21
Mountain Flower
鹿毛 1964.3.23
Montparnasse 1956
Edelweiss 1959.2.15
ウインドインハーヘア
鹿毛 1991.2.20
仔受胎時活性値:0.50
Alzao
鹿毛 1980.2.28
種付け時活性値:0.50
Lyphard
鹿毛 1969
Northern Dancer 1961.5.27
Goofed 1960.3.29
Lady Rebecca
鹿毛 1971.2.28
Sir Ivor 1965.5.5
Pocahontas 1955.2.19
Burghclere
鹿毛 1977.4.26
仔受胎時活性値:1.25
Busted
鹿毛 1963
種付け時活性値:1.25
★Crepello 1954
Sans Le Sou 1957
Highclere
鹿毛 1971
仔受胎時活性値:1.25
Queen’s Hussar
鹿毛 1960
種付け時活性値:0.50
Highlight
鹿毛 1958
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:なし>

ディープインパクト(2002.3.25)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
サンデーサイレンス
(Halo系)
Alzao
(Lyphard系)
Busted
(Blenheim系)
Queen’s Hussar
(Fairway系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
サンデーサイレンス
(Wishing Well)
4.00 母がドイツGI勝ち馬
(No.2-F)
7番仔
(7連産目)
第26回ジャパンカップ(GI)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 6 ディープインパクト 牡4 57 武豊 2:25.1    33.5 436
[不明]
池江泰郎 1
2 7 ドリームパスポート 牡3 55 岩田康誠 2:25.4 2 34.1 466
[0]
松田博資 5
3 3 ウィジャボード 牝5 55 L.デットーリ 2:25.5 1/2 33.9 466
[不明]
E.ダンロップ 3
4 10 コスモバルク 牡5 57 五十嵐冬樹 2:25.7 1 34.9 510
[+10]
田部和則 6
5 8 フサイチパンドラ 牝3 53 福永祐一 2:25.9 1.1/2 34.8 502
[0]
白井寿昭 8

2006年の第26回。「6枠6番から発進したディープインパクト、JRA騎手登録番号666番の武豊騎手を鞍上に、6回目のGI勝利を達成し、6枠2頭で決着した」、2006年11月26日に行われた第26回ジャパンカップでした。

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*

アドマイヤムーン 牡 鹿毛 2003.2.23生 早来・ノーザンファーム生産 馬主・近藤利一氏 栗東・松田博資厩舎

アドマイヤムーン(2003.2.23)の4代血統表
エンドスウィープ
鹿毛 1991.5.31
種付け時活性値:0.75
フォーティナイナー
栗毛 1985.5.11
Mr.Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native 1961.4.18
Gold Digger 1962.5.28
File
栗毛 1976.4.30
Tom Rolfe 1962.4.14
Continue 1958.2.23
Broom Dance
鹿毛 1979.4.10
Dance Spell
鹿毛 1973.3.29
Northern Dancer 1961.5.27
Obeah 1965.4.15
Witching Hour
鹿毛 1960.3.31
Thinking Cap 1952
Enchanted Eve 1949
マイケイティーズ
黒鹿毛 1998.5.18
仔受胎時活性値:1.00
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:0.75
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
ケイティーズファースト
鹿毛 1987.3.6
仔受胎時活性値:0.50
Kris
栗毛 1976.3.23
種付け時活性値:0.50
Sharpen Up 1969.3.17
Doubly Sure 1971.5.3
Katies
黒鹿毛 1981.4.22
仔受胎時活性値:1.25
ノノアルコ
鹿毛 1971.4.6
種付け時活性値:0.25
Mortefontaine
鹿毛 1969.4.21
仔受胎時活性値:0.75

<5代血統表内のクロス:Nearctic5×5>

アドマイヤムーン(2003.2.23)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
エンドスウィープ
(Mr.Prospector系)
サンデーサイレンス
(Halo系)
Kris
(エタン系)
ノノアルコ
(Nearctic系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
エンドスウィープ 3.50 近親ヒシアマゾン
(No.7-f)
2番仔
(2連産目)
第27回ジャパンカップ(GI)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 4 アドマイヤムーン 牡4 57 岩田康誠 2:24.7    33.9 480
[+8]
松田博資 5
2 2 ポップロック 牡6 57 O.ペリエ 2:24.7 アタマ 33.9 502
[+6]
角居勝彦 4
3 10 メイショウサムソン 牡4 57 武豊 2:24.7 クビ 33.9 518
[0]
高橋成忠 1
4 11 ウオッカ 牝3 53 四位洋文 2:24.9 1 33.6 488
[-4]
角居勝彦 2
l5 18 デルタブルース 牡6 57 川田将雅 2:25.1 1.1/4 34.4 526
[+2]
角居勝彦 14

2007年の第27回。アドマイヤムーンの4歳初戦となった雨中の京都記念(GII)。59kgを背負いながら制した際、「あぁ強いなぁ」と、単純に思ったのでした。その時のタイム差なしの2着がポップロック(2001.3.19)。9ヶ月後、今度は舞台を晴天の府中芝2400mに移しましたが、やっぱりタイム差なしで1着、2着となりました。3歳時は良家のお坊ちゃん然とした感じだったアドマイヤムーンに、凌ぎ切る強さが、加わっていました。

そしてまた、内枠を利して、2400mを2400mとして走らせた岩田康誠騎手の好騎乗も光りました。上位3頭は4コーナーの位置が同じ4番手あたりでしたが、同じ上がり3ハロン33秒9の鋭脚を使っても、同じ2分24秒7の走破時計でも、内を通った順に1着、2着、3着となったのでした。終わってみれば、「アタマ」「クビ」の勝負だけに、オリビエ・ペリエ騎手、武豊騎手は悔しい思いをされたのではないでしょうか。

併せて、角居勝彦厩舎は3頭出しで2着、4着、5着。勝つことは出来なかったものの、いずれもが頑張り、すべて掲示板に乗りました。後のジャパンカップにつながるということでは、やはりウオッカ(2004.4.4)。出走メンバー中最速の上り3F33秒6で詰め寄りましたが4着まで。全戦績を辿ると東京芝12戦6勝、2着3回、3着2回という府中の申し子が、唯一府中で複勝圏に入ることが出来なかったレース。それがこの第27回ジャパンカップでした。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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