春を迎えると、日々、馬の誕生日を思ってしまうオオハシでございます。という訳で、その日に生まれた馬を辿る企画を、今年2013年も毎週水曜日にお届けしたいと思いました。「自分と同じ年に生まれた馬を辿る」記事もありますが、こちらも併せてお届け致します。その第11回は「平成のオールラウンダー」を。
アグネスデジタル 牡 栗毛 1997.5.15生 米国・C・W・クレイ氏&P・J・キャラハン氏生産 馬主・渡辺孝男氏 栗東・白井寿昭厩舎
Crafty Prospector 栗毛 1979.4.7 種付け時活性値:0.25 |
★ Mr.Prospector 鹿毛 1970.1.28 |
★Raise a Native 栗毛 1961.4.18 |
Native Dancer 1950.3.27 |
Raise You 1946 | |||
Gold Digger 鹿毛 1962.5.28 |
Nashua 1952.4.14 | ||
Sequence 1946 | |||
Real Crafty Lady 栗毛 1975.4.2 |
▲In Reality 鹿毛 1964.3.1 |
Intentionally 1956.4.2 | |
My Dear Girl 1957.2.17 | |||
Princess Roycraft 栗毛 1967.1.25 |
Royal Note 1952 | ||
Crafty Princess 1958.2.22 | |||
Chancey Squaw 鹿毛 1991.4.9 仔受胎時活性値:1.25 |
★ Chief’s Crown 鹿毛 1982.4.7 種付け時活性値:0.00 |
Danzig |
Northern Dancer 1961.5.27 |
Pas de Nom 1968.1.27 | |||
Six Crowns 栗毛 1976.4.21 |
Secretariat 1970.3.30 | ||
Chris Evert 1971.2.14 | |||
Allicance 鹿毛 1980.4.1 仔受胎時活性値:0.50 |
Alleged 鹿毛 1974.5.4 種付け時活性値:1.25 |
Hoist the Flag 1968.3.31 | |
Princess Pout 1966.3.29 | |||
Runaway Bride 鹿毛 1962 仔受胎時活性値:0.25 |
Wild Risk 鹿毛 1940 種付け時活性値:1.25 |
||
Aimee 青毛 1957 仔受胎時活性値:1.00 |
<5代血統表内のクロス:なし>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Crafty Prospector (Mr.Prospector系) |
★Chief’s Crown (Danzig系) |
Alleged (Ribot系) |
Wild Risk (Rabelais系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Alleged (Princess Pout) |
3.00 |
半弟ジャリスコライト (No.22-d) |
初仔 |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 13 | アグネスデジタル | 牡3 | 55 | 的場均 | 1:32.6 | レコード | 34.3 |
444 [+2] |
白井寿昭 | 13 |
2 | 11 | ダイタクリーヴァ | 牡3 | 55 | 安藤勝己 | 1:32.7 | 1/2 | 34.6 |
494 [+14] |
橋口弘次郎 | 1 |
3 | 7 | メイショウオウドウ | 牡5 | 57 | 飯田祐史 | 1:32.8 | 3/4 | 34.3 |
462 [+8] |
飯田明弘 | 12 |
4 | 4 | ダイタクヤマト | 牡6 | 57 | 江田照男 | 1:33.0 | 1.1/2 | 35.5 |
488 [0] |
石坂正 | 6 |
5 | 2 | エイシンプレストン | 牡3 | 55 | 福永祐一 | 1:33.2 | 3/4 | 35.6 |
466 [-4] |
北橋修二 | 4 |
それまでの5勝をすべてダートで挙げていたアグネスデジタル。前走武蔵野S(GIII)2着から挑んだここは13番人気もやむなし。ところがどっこい「京都の外回りは的場均」に導かれて、1分32秒6のレコードタイムで快勝。このマイルCS勝利は、的場騎手にとっても、最後のGI勝利となりました。
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | アグネスデジタル | 牡4 | 56 | 四位洋文 | 1:37.7 |
445 [+1] |
白井寿昭 | 1 | |
2 | 1 | トーホウエンペラー | 牡5 | 56 | 村上忍 | 1:37.8 | 3/4 |
506 [+7] |
千葉四美 | 5 |
3 | 3 | ノボトゥルー | 牡5 | 56 | 菅原勲 | 1:37.9 | 1/2 |
450 [-4] |
森秀行 | 3 |
4 | 4 | ゴールドティアラ | 牝5 | 54 | 蛯名正義 | 1:38.0 | 1/2 |
486 [+27] |
松田国英 | 4 |
5 | 6 | ウイングアロー | 牡6 | 56 | 岡部幸雄 | 1:38.8 | 5 |
463 [-7] |
南井克巳 | 2 |
不本意だった4歳初頭から春にかけての3戦の後、夏季休暇明けの日本テレビ盃(現JpnII、当時統一GIII)を楽勝して挑んだマイルCS南部杯。見れば強いメンツが集まったこのレースも制して、芝ダート共にGI勝ちを収めたという結果でした。
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | アグネスデジタル | 牡4 | 58 | 四位洋文 | 2:02.0 | 35.4 |
452 [+7] |
白井寿昭 | 4 | |
2 | 6 | テイエムオペラオー | 牡5 | 58 | 和田竜二 | 2:02.2 | 1 | 35.8 |
470 [-8] |
岩元市三 | 1 |
3 | 2 | メイショウドトウ | 牡5 | 58 | 安田康彦 | 2:02.6 | 2.1/2 | 36.5 |
510 [+2] |
安田伊佐夫 | 2 |
4 | 8 | イブキガバメント | 牡5 | 58 | 河内洋 | 2:02.7 | 3/4 | 35.9 |
490 [+6] |
橋口弘次郎 | 5 |
5 | 11 | ダイワテキサス | 牡8 | 58 | 柴田善臣 | 2:02.8 | クビ | 36.3 |
478 [+4] |
増沢末夫 | 11 |
ひとつの決断が他馬にとっての分水嶺となることもあります。マルチプルな活躍を見せるアグネスデジタルの天皇賞・秋出走に伴い、武蔵野Sに回ることになったクロフネ(1998.3.31) 。アグネスデジタル、間接的にではありますが、後のもう1頭の芝ダートGI勝ち馬を生み出すことに寄与することとなりました。
ともあれ、戦前の謂れ無きそしりを結果で見返したこの天皇賞・秋は、アグネスデジタルという異端の才能が、真に非凡であることを示したレースでした。なお、外国産馬による天皇賞・秋制覇は1956年のミツドフアーム(1951.9.17)以来45年ぶりのことでした。
*
「ラストコーナー、グッドフィーリング」。
香港マイル(GI)のエイシンプレストン(1997.4.9)、香港ヴァーズ(GI)のステイゴールド(1994.3.24)、そして香港カップ(GI)のアグネスデジタル。この2001年の香港GIデーは日本馬の見事な3タテでした。
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | アグネスデジタル | 牡5 | 57 | 四位洋文 | 1:35.1 | 35.6 |
452 [-1] |
白井寿昭 | 1 | |
2 | 12 | トーシンブリザード | 牡4 | 57 | 石崎隆之 | 1:35.3 | 1 | 35.6 |
486 [-5] |
佐藤賢二 | 4 |
3 | 2 | ノボトゥルー | 牡6 | 57 | O.ペリエ | 1:35.4 | 1/2 | 36.3 |
460 [0] |
森秀行 | 2 |
4 | 3 | トゥザヴィクトリー | 牝6 | 55 | 武豊 | 1:35.5 | 1/2 | 36.6 |
494 [+6] |
池江泰郎 | 3 |
5 | 8 | トーホウエンペラー | 牡6 | 57 | 菅原勲 | 1:35.6 | 1/2 | 36.3 |
506 [+2] |
千葉四美 | 6 |
盛岡ダート1600m、府中芝2000m、シャティン芝2000m、そして迎えた府中ダート1600m。国内外、そして芝ダート問わずにGI4連勝を遂げたアグネスデジタル。環境に負けない、そのタフネスぶりも素晴らしい。なお、GI昇格後のフェブラリーSを1番人気馬が制したのは施行6回目で初めてでした。また、このフェブラリーSは鞍上の四位騎手にとって、JRA700勝の区切りの勝利でもありました。
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | アグネスデジタル | 牡6 | 58 | 四位洋文 | 1:32.1 | レコード | 33.7 |
468 [-4] |
白井寿昭 | 4 |
2 | 16 | アドマイヤマックス | 牡4 | 58 | 武豊 | 1:32.1 | クビ | 34.0 |
478 [+16] |
橋田満 | 6 |
3 | 8 | ローエングリン | 牡4 | 58 | 後藤浩輝 | 1:32.2 | 3/4 | 34.3 |
474 [-4] |
伊藤正徳 | 1 |
4 | 14 | イーグルカフェ | 牡6 | 58 | D.オリヴァー | 1:32.2 | ハナ | 33.6 |
468 [-10] |
小島太 | 10 |
5 | 7 | ダンツフレーム | 牡5 | 58 | 藤田伸二 | 1:32.3 | 1/2 | 34.1 |
508 [+2] |
山内研二 | 3 |
異端児の最後のGI勝利は、改めて、その絶対能力の奥深さを思わされるものでした。前年のクイーンエリザベスII世C(香GI)2着以来1年ぶりの出走となった、前走かきつばた記念(現JpnIII)4着を叩いて挑んだこの一戦。アドマイヤマックス(1999.4.9)の先行抜け出しの様が絶妙に見えたところで、外から追い込んで来たのは、黒の帽子に「黄、赤袖、水二本輪」の勝負服、栗毛も鮮やかにアグネスデジタル。追い詰めて追い詰めて、決勝点では「クビ」だけ交わし切っていました。そうして、計時されたタイムは1分32秒1のレコード。恐るべきは、アグネスデジタル。この勝利を以て、4年連続GI制覇の偉業を遂げたのでした。
*
アグネスデジタルという馬は、国内外のGI6勝という実績において「真の強者」であったことは言わずもがなです。
そんな彼の真骨頂は、追い込み脚の鋭さや、立ち回りの器用さよりも、最後の最後まで諦めずに頑張ろうとする「精神力」にあったように思います。
その内に秘めたる「チカラ」が、どのレースでもよく現れていると、彼の戦歴を辿り直してみて、改めて感じました。
では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。