日曜日の重賞と2歳戦の結果(2005/08/28分)。

第41回新潟記念(GIII)。

1着ヤマニンアラバスタ(2001.3.30)。直線で外からピュンっと伸びて来ました。昨年は紫苑S(OP)1着降着などついていない面もありましたが、今年はこの重賞制覇で弾みをつけて、秋も頑張ってほしいものです。ちょこっとだけヤマニンアラバスタの配合について触れておくと、父ゴールデンフェザント(1986.4.23)と母父タマモクロス(1984.5.23)の組み合わせにより、フォルティノ(1959.4.19)3×4のクロスが発生しています。なかなかフォルティノ系どうしの同系交配というのも見られませんね。このクロスはタマモクロスがその父シービークロス(1975.5.5)の0遺伝馬である事により、弊害のないクロスとして処理されています。なお、ご承知のとおりゴールデンフェザントは2002年12月に中国へ輸出されており、ヤマニンアラバスタより後は2世代を残して子孫が増えない先祖となりました。また、ヤマニンアラバスタの母ヤマニンリコール(1991.4.29)は2002年4月に用途変更となっており、ヤマニンアラバスタが最後の仔です。併せて、ヤマニンアラバスタは母が不受胎後の仔となり、同系交配の弊害を弱化させる要因のひとつとなっています。

2着グラスボンバー(2000.4.2)。直線で他馬が避けた内をついて2着に頑張りました。戦歴を振り返るとデビュー時からずっとマイル路線を使われて来て、この夏の3連勝で弾みをつけて、前走の七夕賞(GIII)を3着、そして新潟記念を2着ですか。2000mの距離をこなすMachiavellian(1987)産駒、日本では初めて見ました。母ブルーラスター(1994.3.12)はその父Nureyev(1977.5.2)が16歳時交配の0遺伝馬、併せてグラスボンバーは母の初仔の模様。

3着ヴィータローザ(2000.4.9)。デビューから5戦連続で3着だったブロンズコレクター、久しぶりの3着でした。通算では7回目の3着。この馬も実は開幕週のパンパン馬場が向きそうな感じです。『SS×Lyphard牝馬』の組み合わせというと、毎日王冠(GII)あたりに出走するならば、ちょっと狙い目かなとも思います。ヴィータローザは母ローザネイ(1988.2.9)が流産後の5番仔。

改めて振り返ると、上位3頭はいずれも母が前年産駒なしのリフレッシュされた状態で生産された産駒たちでした。後付け甚だしく、申し訳ない。

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それでは日曜日の2歳戦の回顧です。新馬戦3クラ、未勝利戦3クラ。

札幌の新馬戦(芝1500m)を勝ち上がったのはタガノアイガー(2003.2.26、牡、栗毛)。栗東・松田博資厩舎の所属。その4代血統構成は『★サンデーサイレンス×グルームダンサー×Danzig×Mill Reef』で『Halo系×Blushing Groom系×Northern Dancer系×Never Bend系』の配合です。5代血統表内ではNorthern Dancer(1961.5.27)5×4(母方)のクロスがあります。タガノアイガーの牝系は欧州で受け継がれている9号族。叔父に東京スポーツ杯3歳S(現東京スポーツ杯2歳S、GIII)を制したタガノテイオー(1998.4.10)がいます。タガノアイガーは母タガノターキン(1997.3.12)が不受胎後の初仔。

新潟の新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったのは(父)マキノタキシード(2003.3.21、牡、鹿毛)。美浦・土田稔厩舎の所属。その4代血統構成は『ブラックタキシード×サクラショウリ×Bargain Day×★The Shoe』で『Halo系×パーソロン系×Phalaris系×Hyperion系』の配合です。母系がかなり面白い組み合わせですね。5代血統表内ではクロスはありません。マキノタキシードの牝系は1号族ソシアルバターフライ(1957.4.15)系。3代母The Shoe Fits(1964)はソシアルバターフライが日本に輸入される前に米国で産んだ産駒となります。マキノタキシードは母ユキノリンドウ(1989.4.27)が4連産目の9番仔。なお、母は2003年10月に用途変更されているようで、マキノタキシードが最後の仔になるようです。また、マキノタキシードの新馬戦勝ちにより、新種牡馬ブラックタキシード(1996.3.15)産駒はJRA初勝利となりました。

小倉の新馬戦(芝1000m)を勝ち上がったのはキーレター(2003.2.20、牝、鹿毛)。栗東・太宰義人厩舎の所属。その4代血統構成は『リンドシェーバー×ノーザンテースト×テスコボーイ×★Grey Ghost』で『Alydar系×Northern Dancer系×Princely Gift系×The Boss系』の配合です。5代血統表内ではNearctic(1954.2.11)4×4、Native Dancer(1950.3.27)4×5、Nasrullah(1940.3.2)5×5、Hyperion(1930.4.18)5×5(母方)のクロス、Lady Angela(1944)5×5×4の牝馬クロスがあります。キーレターの牝系は豪州産の牝馬ハンサムエタ(1966.11.13)を日本の基礎繁殖とする2号族。祖母アグネステスコ(1978.3.1)はエリザベス女王杯(現GI)、神戸新聞杯(現GII)などJRA4勝を挙げて最優秀3歳牝馬(現年齢表記。以下同)に選ばれました。キーレターは母アグネスフェルティ(1985.3.28)が13連産目の13番仔。

札幌の未勝利戦(芝1200m)を勝ち上がったのはナムラブーム(2003.5.19、牡、鹿毛)。栗東・福島信晴厩舎の所属。その4代血統構成は『テンビー×サクラショウリ×ダンディルート×★フィダルゴ』の配合です。5代血統表内ではGrey Sovereign(1948)5×5(母方)のクロスがあります。ナムラブームの牝系は16号族スワンズウッドグローヴ(1960)系。サクラ軍団伝来の牝系ですね。ナムラブームは母サクラコミナ(1987.5.5)が8連産目の10番仔。

新潟の未勝利戦(芝1400m)を勝ち上がったのは(市)マイネトップレディ(2003.2.26、牝、鹿毛)。美浦・郷原洋行厩舎の所属。その4代血統構成は『ムタファーウエク×★モガミチャンピオン×ヴェンチア×ネヴァービート』で『Roberto×Princely Gift系×Relic系×Never Say Die系』の配合です。母父モガミチャンピオン(1985.3.17)の0交配がシブい。5代血統表内ではクロスはありません。マイネトップレディの牝系は7号族マイリー(1953)系。いわゆる「華麗なる一族」です。祖母イットー(1971.4.19)は高松宮杯(現高松宮記念、GI)、スワンS(現GII)などJRA7勝を挙げ最優秀古馬牝馬に選ばれました。伯母ハギノトップレディ(1977.4.4)は桜花賞(現GI)、エリザベス女王杯(現GI)、高松宮杯などJRA7勝を挙げ最優秀3歳牝馬、伯父ハギノカムイオー(1979.4.1)は宝塚記念(現GI)、高松宮杯など重賞6勝、JRA8勝を挙げた「黄金の馬」です。マイネトップレディは母キープイットアップ(1994.6.2)が5連産目の5番仔。なお、マイネトップレディの未勝利戦勝ちにより、新種牡馬ムタファーウエク(1996.2.21)産駒はJRA初勝利となりました。

小倉の未勝利戦(芝1200m)を勝ち上がったのはウイングビート(2003.2.10、牡、青鹿毛)。栗東・安田隆行厩舎の所属。その4代血統構成は『エルコンドルパサー×★サンデーサイレンス×★ノーザンテースト×ガーサント』で『Mr.Prospector系×Halo系×Northern Dancer系×Hermit系』の配合です。5代血統表内ではNorthern Dancer5×4×4のクロス、Special(1969)とLisadel(1971)5×5×4(父方)の全姉妹クロスがあります。ウイングビートの牝系は8号族パロクサイド(1959)系。祖母ダイナカール(1980.5.10)はオークス(現GI)などJRA5勝で最優秀3歳牝馬。伯母エアグルーヴ(1993.4.6)はオークス、天皇賞・秋(GI)など重賞7勝、JRA9勝を挙げ年度代表馬。いとこアドマイヤグルーヴ(2000.4.30)はエリザベス女王杯2勝など現役で活躍中。ウイングビートは母エルフィンフェザー(1995.6.1)が3連産目の3番仔。

サクラショウリ(1975.3.1)を母父に持つ馬が2頭勝ち上がった日曜日の2歳戦でした。

#余談。マイネトップレディの父ムタファーウエクはその父Silver Hawk(1979)が16歳時交配で生産された0遺伝馬です。英セントレジャー(GI)、カナディアン国際(GI)、コロネーションC(英GI)、ドイツ賞(GI)と2400m以上のGIレースを4勝しました。現在の日本に輸入される種牡馬にしては珍しく、長距離系のGIをたくさん勝っていますね。元々ブリーダーズSSで繋養されていましたが、現在はビッグレッドファームで繋養されています。岡田繁幸さんがその種牡馬能力を見込まれているのか、ラフィアンの現1歳世代(2004年生まれ)では6頭が会員募集馬として選択されています。2ヶ月ほど前、ラフィアンの現1歳世代の会員募集馬について、母の受胎条件をチェックしたpdfファイルをアップロードしました。まだ未見の方がいらっしゃいましたら、よろしければご笑覧ください。

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