第67回皐月賞(JpnI)の有力馬について-其の壱-。

前回の受胎条件の記事で拾えなかった有力馬の血統背景について、中島理論的に簡単に確認してみます。

まずは、やはりフサイチホウオー(2004.2.16)。ここまで4戦4勝の無敗馬。そしてダイワスカーレット(2004.5.13)の桜花賞(JpnI)制覇で波に乗る松田国英厩舎&安藤勝己騎手のコンビが、改めてJpnI制覇に挑みます。

フサイチホウオーの中島理論的に良いところは、

  • 父ジャングルポケットの初年度産駒
  • 母アドマイヤサンデーが母父サンデーサイレンスの0交配を受けている

という2点でしょうか。

近年の日本競馬において、種牡馬の初年度産駒は、その絶対数が少ない為、闘争心にあふれる走りを見せてくれる仔が多く見受けられます。また、トーセンキャプテン(2004.4.5)の残念な故障により、ジャングルポケット(1998.5.7)産駒が単騎出走となったのは、フサイチホウオーにとってはさらなる追い風ですね。

また、並み居るSS2世種牡馬の仔たちを打ち負かす力の源は、母父サンデーサイレンス(1986.3.25)の0交配に依るところもあるのでしょう。あふれかえるSSの血を「0」で持っていることは、現代の日本競馬において、プラスポイントです。

併せて、結果として、ドリームジャーニー(2004.2.24)フライングアップル(2004.3.25)ヴィクトリー(2004.4.3)等、直接対決で負かしている馬が、その後に2歳GIレースや皐月賞のプレップレースを制しているように、この世代では「一歩先行く力」を示しています。

実際に無敗であるということ、父初年度産駒、母父SSの0交配など、後押しできる要素が多いフサイチホウオー。そんな彼の懸念を中島理論的な観点から1つだけ見出すとすると、

  • 血統表上における「Phalaris系4本掛け」の配合馬はGIレースで敗れることが多い

ということでしょうか。過去20年の皐月賞の連対馬40頭を古い順に確認したところ、血統表上におけるPhalaris(1913)系4本掛けの配合馬は以下の通りでした。

  1. 1996年 2着馬 ロイヤルタッチ(1993.3.24)
  2. 1998年 2着馬 キングヘイロー(1995.4.28) 
  3. 1999年 1着馬 テイエムオペラオー(1996.3.13)
  4. 2000年 2着馬 ダイタクリーヴァ(1997.3.24)
  5. 2004年 2着馬 コスモバルク(2001.2.10)
  6. 2005年 2着馬 シックスセンス(2002.3.5)
  7. 2006年 1着馬 メイショウサムソン(2003.3.7)

「40分の7」を多いと見るか、少ないと見るか。単純にパーセンテージにすると17.5%です。

1着になった2頭テイエムオペラオーとメイショウサムソンの共通点は、

  • 父オペラハウス
  • 母の受胎条件が良い

の2点が挙げられます。2頭の父オペラハウス(1988.2.24)の父Sadler’s Wells(1981.4.11)は、中島御大曰く「Val de l’Orneのダミー」。そして、テイエムオペラオーは母ワンスウェド(1984.3.18)が不受胎後の仔、メイショウサムソンは母マイヴィヴィアン(1997.3.29)が流産後の初仔です。

2着になった5頭。まず2頭ダイタクリーヴァとシックスセンスは、

  • 母の受胎条件が良い

ということが挙げられます。ダイタクリーヴァは母スプリングネヴァー(1992.5.23)の初仔、シックスセンスは母デインスカヤ(1993.1.10)が空胎後の仔です。

あとの2頭、ロイヤルタッチとコスモバルクは、

  • 4代血統構成にテスコボーイの血が配されている

ということが挙げられます。ロイヤルタッチは祖母父がテスコボーイ(1963)、コスモバルクは母父トウショウボーイ(1973.4.15)、曾祖母父キタノカチドキ(1971.3.27)が共にテスコボーイの直仔。この点は先に挙げたダイタクリーヴァにも共通しています-母父サクラユタカオー(1982.4.29)がテスコボーイの直仔-。テスコボーイの父Princely Gift(1951)は、中島御大曰く「Fair Play系のダミー」。 とは言うものの、最近の御大の記事によると、「Princely Giftの父はRevoked」らしいのですが(笑)

#テスコボーイではなくその父Princely Giftまで拡大解釈するということであれば、メイショウサムソンも祖母父サンプリンス(1969)がPrincely Giftの直仔ですから、持ち合わせていることにもなりますね。コスモバルクに至っては、母方の3系がPrincely Gift系です(苦笑)

最後の1頭、キングヘイロー。むむ、上記の6頭であれば結構キレイにまとまっていたのに(笑)。えーと、キングヘイローは……、

  • 4代血統構成にBuckpasserの血が配されている

ということが挙げられますね。表のページで血統分析をする時、4代血統構成(父、母父、祖母父、曾祖母父)をアルファベット区分しています。Tom Fool(1949.3.31)系は「y」で当てはめています。つまり、このTom Foolの直仔であるBuckpasser(1963.4.28)の系統は、中島理論的には「ダミー父系」として扱われます。

今回確認した過去20年の皐月賞連対馬40頭のうち、血統表上におけるPhalaris系4本掛けの配合馬7頭についてまとめると、

  1. 7頭のうち1着になった2頭は共に父オペラハウス
  2. 7頭のうち4頭が母の良い受胎条件を持ち合わせている
  3. 受胎条件を持ち合わせていない馬のうち2頭は、4代血統構成にテスコボーイの血が配されている
  4. 受胎条件を持ち合わせていない馬のうち1頭は、4代血統構成にBuckpasserの血が配されている

ということになりますね。Phalaris4系掛けで皐月賞を勝ち切るには、まず母の良い受胎条件を、2着になるにしても出来れば受胎条件を、それ以外ならば4代血統構成にテスコボーイかBuckpasserの血を入れておいてね、という感じでしょうか。

とは言うものの、上記の連対馬を改めて確認すると、「ここ3年連続でPhalaris4系掛けの馬が連対を果たしている」のです。近10年の連対馬20頭となると、6頭が連対していることになります。単純なパーセンテージで30%まで引き上がります。

「Phalaris4系掛け」がフサイチホウオー唯一の懸念でしたが、近年の傾向からは、あまり目くじらを立てる必要はないのかもしれません。少なくとも、距離が2000mの皐月賞までは。

また、上に挙げた馬と血統構成上で似通ったところを見出すならば、

  • 母父がHalo系
  • 祖母父El Gran Senorを通じてBuckpasserの血を持ち合わせている

って、先に毒づいたキングヘイローに依るところが大きいのですが(笑)。フサイチホウオーは母父サンデーサイレンスということで、SSは言わずもがなのHalo(1969.2.7)直仔。キングヘイローは母父Haloですね。また、El Gran Senor(1981)は母父がBuckpasserということで、キングヘイローやロイヤルタッチ-母父マルゼンスキー(1974.5.19)の母父がBuckpasser-と同じく、母方にBuckpasserの血を持っていると言えます。

なお、今年の皐月賞出走登録馬21頭のうち、フサイチホウオーの他の血統表上におけるPhalaris系4本掛けの配合馬は、

  1. ヴィクトリー
  2. ココナッツパンチ(2004.3.29)
  3. サンライズマックス(2004.4.23)
  4. ブラックシャンツェ(2004.4.11)
  5. ローレルゲレイロ(2004.5.3)

の5頭です。ヴィクトリーは祖母父が件のSadler’s Wells。ココナッツパンチは母ココパシオン(1992.3.2)が2年連続不受胎後の仔で、母父がBlushing Groom(1974.4.8)の仔グルームダンサー(1984.3.23)。サンライズマックスは母グリーンヒルマック(1999.3.2)の初仔で、祖母父がNative Dancer(1950.3.27)の仔ダンサーズイメージ(1965.4.10)、曾祖母父が件のテスコボーイ。ブラックシャンツェは母シノギトップ(1995.5.5)が流産後の仔で、母父がMr.Prospector(1970.1.28)の0遺伝を受けたガダボート(1987.5.11)。ローレルゲレイロは母ビッグテンビー(1998.4.30)の初仔で、祖母父がAlydar(1975.3.23)の仔カコイーシーズ(1986.3.7)です。

まま、大体の馬が、何らかのフォローする条件や、血を持っているということですね(笑)

書く気力があれば(笑)、また明日以降に別の馬について。ではでは♪

コメント

  1. すみのえ より:

    焦る必要はありません。
    気力は自然と回復するものですから
    有る時に書けばよいのですよ。

    書けない時間は充電時間と割り切りましょう。
    どんな高性能な携帯でも
    充電してなければ動かないんですから。

  2. オオハシ より:

    ◎すみのえ様
    いつもお世話になっております。

    いや、仰るとおり、いきなりエレクトしてしまい、
    自分の中で「拒否反応」が起こりました。
    エライすみません(笑)

    まま、あせらずに充電しながら行きます。
    短期充電か長期充電かは脳みそに任せますが(笑)

    ではでは、これからもよろしくお願い致します。
    わざわざのコメント、ありがとうございました。

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