リクエストにお応えして。

2005年度の新種牡馬紹介を1頭加えたいと思います。

(3)セイウンスカイ(1995.4.26)。通算13戦7勝。その主な勝ち鞍は皐月賞(GI)、菊花賞(GI)、京都大賞典(GII)、日経賞(GII)、札幌記念(GII)。最強世代と喧伝された、スペシャルウィーク(1995.5.2)グラスワンダー(1995.2.18)エルコンドルパサー(1995.3.17)キングヘイロー(1995.4.28)等と同い年の2冠馬です。菊花賞は3分3秒2というレコードタイムでの快勝でした。また、個人的な思い出になりますが、3歳時に制した京都大賞典は現地で見ており、「やっぱり強い皐月賞馬やなぁ」と思ったものです。初年度登録産駒は21頭、2年度産駒は17頭、2004年度種付け数は19頭。

セイウンスカイの4代血統構成は『シェリフズスター×ミルジョージ×★モガミ×カーネルシンボリ』で『Forli系×Mill Reef系×Northern Dancer系×My Babu系』の配合です。種牡馬能力のバロメーターとされる7代残牡先祖数は『13/64』と推定します。

初年度からの種付け頭数、産駒数の推移を見るにつけ、この2冠馬の産地での評価の低さがうかがい知れます。これがSS系の2冠馬ならば、軽く100頭以上の種付け数になるのでしょう。引退したタイミングが悪かったとはいえ、もう少しチャンスを与えてあげても良いと思います。自国の2冠馬をもっと信用しましょう。でも、コマーシャルベースには乗りにくいですよね...。血の多様性を問うならば、Hyperion(1930.4.18)の直系であるセイウンスカイは貴重な種牡馬です。私見ですが、種牡馬になって成功できるのは、先行して強いレースができた馬だと思っています。また、セイウンスカイは祖母父モガミ(1976.5.18)の0交配により、Northern Dancer(1961.5.27)Native Dancer(1950.3.27)を0化できます。その点でも現代に即した良種牡馬となる可能性を秘めています。

Hampton系種牡馬のニックスというと、Phalaris(1913)系、Sterling(1868)系、St.Simon(1881)系牝馬がお相手として考えられます。3系のうち、後2系は現代競馬だと重い印象はありますが、試せるものならば試してほしいものです。現実的には、やはりNorthern Dancer系牝馬との交配がまず考えられますね。Lyphard(1969.5.10)系種牡馬の牝駒との配合では、Lyphardの0クロスが発生しますので、まずは無難な配合相手と思います。他のNorthern Dancer系では、Nureyev(1977.5.2)やSadler’s Wells(1981.4.11)&Fairy King(1982.3.4)兄弟が入った牝駒との配合でしょうか。Northern Dancerの0クロス、Forli(1963.8.10)のクロスが発生します。Sadler’s Wells&Fairy King兄弟ならば、Lalun(1952)の牝馬クロスも発生します。おお、Lalunの牝馬クロスで思い出しました。西山牧場さんといえば、Riverman(1969)を経由してNever Bend(1960)の0遺伝を持つパラダイスクリーク(1989.2.4)も導入されていますね。まさに自家生産という感じはしますけれど、パラダイスクリーク牝馬との組み合わせであれば、ニック、Northern Dancerの0クロス、Never Bendの0クロス等良い方向に向かいそうな配合になりそうです。また、猛烈な勢いで増えているサンデーサイレンス(1986.3.25)牝駒との配合も良いのではないでしょうか。SSの和合性の高さとHyperionのクロスが良い方向に向かってくれそうです。 あと、中島理論的なニックスの分類からは外れますが、ジャパンカップ(GI)勝ち馬ランド(1990.1.23)や1歳年下の菊花賞馬ナリタトップロード(1996.4.4)、2004年の仏ダービー(GI)馬Blue Canari(2001.2.2)等のパターンを踏んで、Native Dancer系牝馬との配合でしょうか。現代ならばMr.Prospector(1970.1.28)系が主流になりますね。Mr.Prospectorを経由すれば、Raise a Nativeの0クロスが発生しますし面白そうです。ステイヤー型種牡馬は配合相手に困ると思いがちですけれど、逆パターンを嫌わなければ、今の日本にはスピード型種牡馬の牝駒が結構いますからね。

セイウンスカイに合いそうな牝馬を確認していたら、長い文章になりました。やっぱり、それだけ選択肢が広いという事ですよ。なんとか、後世につなげてほしいものです。頑張って、セイウンスカイ。

#西山牧場さんはなんだ言いながら配合相手の事をよく考えていらっしゃるようで、よく名前があがるニシノスカイハイ(母父ヘクタープロテクター)、ニシノミライ(母父Majestic Light、ニシノフラワーの仔)は軽いスピードを注入しようという意図があったのでしょう。

#余談。セイウンスカイが制した京都大賞典の日の、東のメインレースがあの毎日王冠(GII)でした。サイレンススズカ(1994.5.1)が芝1800m1分44秒9の快時計で逃げ切り、エルコンドルパサーが2着、グラスワンダーが5着。史上最高のGIIレース。

コメント

  1. blandford より:

    好きなNative Dancer系の種牡馬は?と聞かれると、ひとまずSeeking the Goldですと答えながらも「しかしミスプロ系はNative Dancer系と表現するのがふさわしくないぐらい数も質もバラエティに富んでるなあ」と思うBlandfordです、こんにちわ^^

    セイウンスカイの詳細なレビュー、ありがとうございました!セイウンスカイがスタッド入りしたときのいきさつを良く知らないのですが、この種付け頭数だと、シンジケートではなくてオーナーの所有のままで種牡馬になったのですね、きっと。
    ニシノミライは西山牧場さん乾坤一擲の配合だったと思いますが、惜しくも生まれたのが牝馬!うーん!ぜひ牡馬が生まれるまでこの配合にチャレンジしていただいて、サイアーラインを伸ばしていってほしいものです。
    かつてメジロ牧場さんが、メジロアサマでリーチ一発!だったように。

    Sterling系の牝馬(めっきり少なくなりましたが)と組むと相性すごくよさそうな気がするんですが、そういう配合にしちゃうと、行き先がたぶん道営ですね・・・。
    ひとまずノーザンダンサー系牝馬、ターントゥ系牝馬を相手に実績を・・・!と祈るばかりです。

  2. かろむわん より:

    ◎blandford様
    どうも、どうも。

    >Seeking the Gold
    良い種牡馬です。やられたと思ったのは、1998年のスプリンターズS。マイネルラヴとシーキングザパールのワンツーフィニッシュ。「斤量55kgのSeeking the Gold産駒かぁ!」と思いました。他にはゴールドティアラとかレディブロンドとか。あと、オープニングテーマですね。なつかしや、朝日杯2着。

    あ、今ならばシーチャリオットもいましたね。失礼しました。

    >ミスプロ系
    これはもう、ひとつの枝分かれした父系ですね。ホントに多種多様です。

    >セイウンスカイ
    「パルブライトのお相手に」って無理ですよねぇ。えーと、他にBlandford系牝馬っていますかね。ボーザム牝馬とか、ナトルーン牝馬とか、トミシノポルンガ牝馬とか、メジロモンスニー牝馬とか、ハヤテミグ牝馬とか。ダミーとするならば、Sadler’s Wells牝馬でも...。

    いま、セイウンスカイが繁殖生活を紹介する優駿の記事(2002年8月号)を見たら、仰るとおりシンジケートは組まれていないようです。こうなると、花嫁の数は集まりませんよね。よっぽどの成績を残していないと。GI2勝、しかも牡馬クラシックですから「よっぽど」の成績なのですが。引退のタイミングと血統なのか...。

    でも、乾坤一擲、のるかそるか、百発一中でも良いから、何とか活躍馬を出して世間を見返して、セイウンスカイ!

    以上、「百発一中と言ったものの、繁殖入りして丸4年、トータルしても百発行くか行かんかやろな」と思ってしまったかろむわんでした。ありがとうございました。

  3. うまなみくん より:

    かろむわんさん、お久しぶりです。

    キャロットクラブで最低価格で募集されているセイウンスカイ産駒、ニシノエルハーブ04(牡)に出資する事にしました。

    <血統表>
    http://k-ba.data-hotel.net/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=23225&mdata=51656

    Lyphard 5×4, Never Bend 5×5, Northern Dancer 6×5.5 ですが、中島理論的に問題なしとの判断での出資です。もしよろしければ、潜在能力(残先祖数)の計算をしていただけると非常に嬉しいです。

    西山氏入魂の配合だと思うのですが、これが社台系クラブのキャロットで募集されているという事は、母が繁殖牝馬として受胎状態で社台に購入された事を意味するのでしょう。
    購入の理由は、母の2代父がAlzaoだからで仔はおまけだと私は解釈しています。

  4. かろむわん より:

    ◎うまなみくん様
    おお、これはお久しぶりでございます。コメントありがとうございます。

    >ニシノエルハーブ04(2004.2.13)
    ご依頼の件ですが、確認したところ、父セイウンスカイ(1995.4.26)が0交配とするならば『7/128(7/64)』でした。4代血統構成は『C A A F』ですから、資質固定指数『0.50』を乗算して、『3.50』が潜在能力値ですね。

    あと、ニシノエルハーブ04は、ニシノエルハーブ(1996.2.18)の初仔なんですね。初仔に名馬あり、です。

    キャロットクラブの募集馬ということは、馬名は公募ですよね。カッコイイ名前がついて、シーザリオやディアデラノビアのように活躍してくれる事をお祈りしております。

    以上、かろむわんでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

  5. うまなみくん より:

    かろむわん様、

    早速の返信ありがとうございます。

    うーん、この馬毛色は明らかに父似の芦毛ですし、誕生日的にもゼロ配合かはかなり微妙です。ただ、母系は母も祖母も短距離馬で、カタログではこの馬も短距離に適性があると断言されてましたが…

    Nasrullahのクロスが多いので距離には限界があり、またNorthern Dancerのクロスを持つ馬はダート馬に出がちという傾向を踏まえると、母同様ダートの短距離馬になる可能性が高いかもしれませんね。まあ、丈夫で長く楽しませてもらえれば(ついでに投資分回収させてもらえば)それで十分です。

  6. かろむわん より:

    ◎うまなみくん様
    こちらこそ、素早い返信ありがとうございます。

    >ニシノエルハーブ04
    父セイウンスカイというだけで楽しみな馬ですから、どのようなタイプに出ても応援したいと思います。競走馬として生きる道は、ひとつではありませんものね。ダートの短距離馬になったとしても、大成してくれば嬉しい事に違いありません。あとは、仰るとおり、丈夫で長く走ってほしいと願います。まま、中島理論的には料的遺伝値が『6.75』とべらぼうに高い数字に出ていますし、お母さんもタフに走っていましたものね。

    長い返信失礼致しました。ではでは。

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