アドラーブル(1989.3.28)。

春を迎えると、日々、馬の誕生日を思ってしまうオオハシでございます。という訳で、その日に生まれた馬を辿る企画を、今年は毎週水曜日にお届けしたいと思います。その4回目はノーザンテースト産駒最後の平地GI勝ち馬を。

アドラーブル 牝 栗毛 1989.3.28生~2005.4.23没 千歳・社台ファーム生産 馬主・根岸治男氏 栗東・小林稔厩舎

アドラーブル(1989.3.28)の4代血統表
ノーザンテースト
栗毛 1971.3.15
種付け時活性値:0.25

Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic
黒鹿毛 1954.2.11
Nearco 1935.1.24
Lady Angela 1944 ♀
Natalma
鹿毛 1957.3.26
Native Dancer 1950.3.27
Almahmoud 1947
Lady Victoria
黒鹿毛 1962.2.20
Victoria Park
鹿毛 1957.5.10
★Chop Chop 1940
Victoriana 1952
Lady Angela
栗毛 1944 ♀
Hyperion 1930.4.18
Sister Sarah 1930
エコルシュ
黒鹿毛 1982.1.31
仔受胎時活性値:1.50
Big Spruce
黒鹿毛 1969.4.5
種付け時活性値:1.00
Herbager
鹿毛 1956
Vandale 1943
Flagette 1951
Silver Sari
鹿毛 1961.3.20
Prince John 1953.4.6
Golden Sari 1956.4.27
Idmon
栗毛 1975.3.15
仔受胎時活性値:1.50
Dr.Fager
鹿毛 1964.4.6
種付け時活性値:0.50
Rough’n Tumble 1948
Aspidistra 1954.3.25
Arachne
栗毛 1967.4.3
仔受胎時活性値:1.75
Intentionally
青毛 1956.4.2
種付け時活性値:0.50
Molecombe Peak
栗毛 1950
仔受胎時活性値:2.00(0.00)

<5代血統表内のクロス:Nearco4×5、Lady Angela(♀)3×4(父方)>

アドラーブル(1989.3.28)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ノーザンテースト
(Northern Dancer系)
Big Spruce
(Herbager系)
Dr.Fager
(Himyar系)
Intentionally
(Man o’ War系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Big Spruce
(Silver Sari)
6.75 or 4.75 全弟ノーザンレインボー
(No.14-c)
初仔

*

1991年7月13日の新馬戦(新潟3R。芝1000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 5 アドラーブル 牝2 53 塩村克己 0:57.9    34.7 424
[]
小林稔 2
2 1 ユニオンボーイ 牡2 53 増沢末夫 0:58.9 6 35.8 428
[]
尾形充弘 3
3 6 マーメイドタバン 牡2 50 長峰一弘 0:59.2 2 35.4 440
[]
和田正道 5
4 7 アイキューベスト 牡2 52 田中勝春 0:59.5 2 36.0 454
[]
古賀史生 7
5 2 ハヤテカナディアン 牡2 53 堀井雅広 0:59.9 2.1/2 36.0 400
[]
前田禎 4

小雨、芝不良で行われたデビュー戦。馬主の根岸治男オーナーにとっては、初めての持ち馬が初めての出走で勝利を収めた、という結果でした。左回りの今も右回りの昔も速い時計を思う新潟ですが、不良馬場で芝1000m57秒9は速く、かつ6馬身差の圧勝は素質の確かさを示すには充分の一戦だったのではないでしょうか。

*

チューリップ賞(現GIII。当時OP)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 14 アドラーブル 牝3 54 村本善之 1:38.5    49.7 412
[-6]
小林稔 3
2 8 ニシノフラワー 牝3 54 佐藤正雄 1:39.1 3.1/2 50.7 432
[+8]
松田正弘 1
3 12 タケノベルベット 牝3 54 河内洋 1:39.6 3 51.2 434
[-4]
小林稔 6
4 9 ジュピターガール 牝3 54 郷原洋行 1:39.7 クビ 50.6 444
[-12]
小林常泰 11
5 6 スーパートドロキ 牝3 54 斉藤博美 1:40.0 2 51.5 438
[0]
斉藤義美 7

雨、芝稍重で行われた一戦。2歳戦を4戦4勝で終えたニシノフラワー(1989.4.19)が単勝1.2倍の圧倒的1番人気に押されましたが、馬込みを捌くのに脚を使っているうちに、アドラーブルが一気に抜け出して勝利を収めました。また、上位3頭を見ればこの年の3歳牝馬GI勝ち馬が名前を連ねています。アドラーブルと同じ小林稔厩舎で轡を並べたタケノベルベット(1989.3.13)は、このレースから丸8ヶ月後のエリザベス女王杯(GI)でアッと言わせたのでした。

*

第53回オークス(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 2 アドラーブル 牝3 55 村本善之 2:28.9    36.4 410
[+2]
小林稔 4
2 5 サンエイサンキュー 牝3 55 田原成貴 2:29.0 1/2 36.3 426
[-2]
佐藤勝美 6
3 16 キョウワホウセキ 牝3 55 武豊 2:29.1 1/2 36.6 442
[+4]
武邦彦 2
4 12 ヤマニンドリーマー 牝3 55 横山典弘 2:29.2 1/2 36.2 450
[+2]
浅見国一 7
5 17 エルカーサリバー 牝3 55 柴田政人 2:29.3 3/4 36.6 456
[+6]
田中良平 9

晴、芝良で行われた一戦。出走18頭中最軽量の410kgで出走したアドラーブル。道中は内枠を利してジッとラチ沿いで我慢し、直線では馬場中央の外側から鋭く差し脚を伸ばして勝利を収めました。名種牡馬ノーザンテーストの仔としてシャダイアイバー(1979.2.23)、ダイナカール(1980.5.10)に続く3頭目のオークス馬と相成りました。そしてまた、「小さな馬が活躍するオークス」という格言そのままに、1着のアドラーブルとともに、2着のサンエイサンキュー(1989.4.7)も426kgという軽量馬どうしの決着でもありました。

アドラーブルの勝利は不思議と雨を呼び、このオークスでもウィナーズサークルで祝福を受ける頃に、ポツリポツリと降り始めました。 雨も滴るイイ女、アドラーブル。「桃、白襷、袖黄二本輪」の勝負服を背にした、湿り気を帯びた栗毛が、Adorableの名の通り、嬋媛たる姿を見せたのでした。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

タイトルとURLをコピーしました