空胎後に名馬あり(2008年版)-其の十弐-。

という訳で、毎度おなじみの「空胎後に名馬あり」の記事でございます。

2008年のJRAGI(JpnI含む)レースの複勝圏馬における母の連産状況
レース名 1着馬 母の連産状況 2着馬 母の連産状況 3着馬 母の連産状況
フェブラリーS(GI) ヴァーミリアン 3番仔
(3連産目)
ブルーコンコルド 2番仔
(2連産目)
ワイルドワンダー 初仔
高松宮記念(GI) ファイングレイン 初仔 キンシャサノキセキ 4番仔
(2年連続流産後)
スズカフェニックス 2番仔
(2連産目)
桜花賞(JpnI) レジネッタ 4番仔
(4連産目)
エフティマイア 3番仔
(3連産目)
ソーマジック 3番仔以降の仔
(2連産目)
皐月賞(JpnI) キャプテントゥーレ 2番仔
(2連産目)
タケミカヅチ 12番仔
(2連産目)
マイネルチャールズ 5番仔
(3連産目)
天皇賞・春(GI) アドマイヤジュピタ 3番仔
(不受胎後)
メイショウサムソン 初仔
(流産後)
アサクサキングス 2番仔
(2連産目)
NHKマイルカップ(JpnI) ディープスカイ 4番仔
(不受胎後)
ブラックシェル 3番仔
(不受胎後)
ダノンゴーゴー 5番仔以降の仔
(2連産目)
ヴィクトリアマイル(JpnI) エイジアンウインズ 3番仔
(3連産目)
ウオッカ 4番仔
(2連産目)
ブルーメンブラット 9番仔以降の仔
(5連産目)
オークス(JpnI) トールポピー 5番仔
(4連産目)
エフティマイア 3番仔
(3連産目)
レジネッタ 4番仔
(4連産目)
日本ダービー(JpnI) ディープスカイ 4番仔
(不受胎後)
スマイルジャック 2番仔
(2連産目)
ブラックシェル 3番仔
(不受胎後)
安田記念(GI) ウオッカ 4番仔
(2連産目)
アルマダ 5番仔
(不受胎後)
エイシンドーバー 報告なし後の仔
(前年産駒なし後?)
宝塚記念(GI) エイシンデピュティ 2番仔
(2連産目)
メイショウサムソン 初仔
(流産後)
インティライミ 10番仔
(4連産目)
スプリンターズS(GI) スリープレスナイト 7番仔以降の仔
(2連産目)
キンシャサノキセキ 4番仔
(2年連続流産後)
ビービーガルダン 4番仔以降の仔
(2年連続不受胎後)
秋華賞(JpnI) ブラックエンブレム 3番仔
(3連産目)
ムードインディゴ 7番仔
(7連産目)
プロヴィナージュ 5番仔
(5連産目)
菊花賞(JpnI) オウケンブルースリ 3番仔
(3連産目)
フローテーション 6番仔
(2連産目)
ナムラクレセント 12番仔
(10連産目)

今年の3歳クラシックは日本ダービーを除いて非連産馬が連対しませんでした。故に桃色の背景色のレースが多くなっています。が、よくよく見直すと「古馬の芝GIについては非連産馬が必ず連対」を果たしています。果たして、天皇賞・秋はどうなるでしょうか。

では、明後日に行われる第138回天皇賞・秋(GI)の出走予定馬17頭について、母の連産状況を含む牝系情報を簡単に確認しておきます。

第138回天皇賞・秋(GI)出走予定馬における牝系情報

馬名
(生年月日)
母名
(生年月日)
母の
何番仔?
牝系
(F No.)
1 アサクサキングス
(2004.3.23)
クルーピアスター
(1996.5.7)
2番仔
(2連産目)
伯父ジェニュイン
(4-G)
2 ディープスカイ
(2005.4.24)
アビ
(1995.5.5)
4番仔
(不受胎後)
タップダンスシチーと同牝系
(23-B)
3 エアシェイディ
(2001.2.20)
エアデジャヴー
(1995.3.27)
初仔 全妹エアメサイア
(4-R)
4 アドマイヤモナーク
(2001.2.27)
スプリットザナイト
(1995.4.24)
2番仔
(2連産目)
伯父ハギノリアルキング
(1-L)
5 サクラメガワンダー
(2003.3.25)
サクラメガ
(1998.4.6)
初仔 伯父サクラチトセオー
(13-C)
6 エリモハリアー
(2000.3.21)
エリモハスラー
(1988.5.13)
4番仔
(2連産目)
従姉エリモシック
(9-F)
7 ダイワスカーレット
(2004.5.13)
スカーレットブーケ
(1988.4.11)
10番仔
(4連産目)
半兄ダイワメジャー
(4-D)
8 ポップロック
(2001.3.19)
ポップス
(1992.2.15)
3連産目
(3番仔)

(7-C)
9 アドマイヤフジ
(2002.3.1)
アドマイヤラピス
(1992.4.15)
4番仔
(4連産目)
半兄アドマイヤホープ
(1-L)
10 キングストレイル
(2002.2.17)
サンタフェトレイル
(1994.6.16)
2番仔
(2連産目)
伯母シンコウラブリイ
(4-D)
11 ハイアーゲーム
(2001.2.27)
ファンジカ
(1992.3.26)
3番仔+
(3連産目+)
母が英米GIII勝ち馬
(12-E)
12 タスカータソルテ
(2004.5.20)
ブリリアントカット
(1987.5.10)
10番仔
(4連産目)
半姉ジェミードレス
(11)
13 オースミグラスワン
(2002.3.31)
ホッコーオウカ
(1993.4.9)
5番仔
(5連産目)
半姉オースミハルカ
(3-L フロリースカップ系)
14 ウオッカ
(2004.4.4)
タニノシスター
(1993.3.22)
4番仔
(2連産目)
近親シスタートウショウ
(3-L フロリースカップ系)
15 トーセンキャプテン
(2004.4.5)
サンデーピクニック
(1996.3.28)
2番仔
(2連産目)
母が仏GIII勝ち馬
(2-I)
16 カンパニー
(2001.4.24)
ブリリアントベリー
(1990.4.11)
6番仔
(6連産目)
半兄レニングラード
(9-A)
17 ドリームジャーニー
(2004.2.24)
オリエンタルアート
(1997.5.12)
初仔
(8-C)

多分に恣意的要素が含まれていますが、母や牝系近親馬のうち青字で示した馬は府中GIで連対経験がある馬です。

まず、出走予定馬17頭のうち「母が非連産の仔」を抜き出すと、

  1. ディープスカイ
  2. エアシェイディ
  3. サクラメガワンダー
  4. ドリームジャーニー

の4頭です。むむ、食指が動きそうなところですね(^_^.)

上記の母が非連産の仔の中で、「高齢」というネックが無ければ、牝系近親の府中コースにおける活躍ぶりから狙ってみたいのはエアシェイディ。

  1. 母エアデジャヴー
    →オークス2着
  2. 全妹エアメサイア(2002.2.4)
    →オークス2着、ヴィクトリアマイル2着
  3. 叔父エアシャカール(1997.2.26)
    →日本ダービー2着

ごく近いところが勝ち切れずとも連には絡んでいます。また、エアシェイディ自身の芝2000m成績は[2-2-1-0]と安定していますしね。間隙を縫っての一撃があれば、波乱目。

エアシェイディの他には

  1. アサクサキングス
    →自身が日本ダービー2着。伯父ジェニュイン(1992.4.28)は日本ダービー2着、天皇賞・秋2着1回3着1回
  2. ウオッカ
    →自身の府中コース成績が[2-2-0-1]。大叔母シスタートウショウ(1988.5.25)はオークス2着
  3. サクラメガワンダー
    →伯父サクラチトセオー(1990.5.11)が天皇賞・秋1着、安田記念2着
  4. ダイワスカーレット
    →半兄ダイワメジャー(2001.4.8)が天皇賞・秋1着、安田記念1着
  5. ディープスカイ
    →自身の府中コース成績が[2-2-0-0]。4代母の別分枝からジャパンカップ(GI)勝ち馬タップダンスシチー(1997.3.16)

といったあたりが、牝系近親に府中ジーワンの連対馬がいる馬たちですね。ええ、この抜き出し方では結局は人気しそうなところしか残りませんでした(^_^.)

さて、中島理論的な「ボス馬」と「ハーレムのトップ牝馬」という考え方では「同父の異性馬によるジーワンのワンツーフィニッシュ」というのはなかなかに難しいものです。ただ、それでもワンツーを決めるのがサンデーサイレンス(1986.3.25)

1984年のグレード制導入後の天皇賞・秋について牝馬が連対を果たした際の1着2着の4代血統構成を抜き出してみると、

グレード制導入後の天皇賞・秋で牝馬が連対した際の1着2着の4代血統構成

1着馬
(生年月日)[F No.]
母の
何番仔?
母父 祖母父 曾祖母父
2着馬
(生年月日)[F No.]
2
0
0
5
ヘヴンリーロマンス
(2000.3.5)[13-C]
8番仔
(不受胎後)
サンデーサイレンス Sadler’s Wells Ribot Dedicate
ゼンノロブロイ
(2000.3.27)[2-B]
5番仔
(5連産目)
サンデーサイレンス マイニング Clever Trick Pia Star
2
0
0
4
ゼンノロブロイ
(2000.3.27)[2-B]
5番仔
(5連産目)
サンデーサイレンス マイニング Clever Trick Pia Star
ダンスインザムード
(2001.4.10)[7]
12番仔
(2連産目)
サンデーサイレンス Nijinsky Key to the Mint Raise a Native
1
9
9
7
エアグルーヴ
(1993.4.6)[8-F]
4番仔
(2連産目)
トニービン ★ノーザンテースト ガーサント Never Say Die
バブルガムフェロー
(1993.4.11)[1-E]
9番仔 サンデーサイレンス Lyphard Prominer Tabriz

過去24回で3回牝馬が連対しています。そのうち同父の異性馬のワンツーはサンデーサイレンスの直仔によるもの。見れば当時の古馬王者であるゼンノロブロイがキーとなっており、彼が連対を果たした2004年と2005年はSS産駒のワンツースリーフィニッシュで「牡馬1頭+牝馬2頭」の組み合わせでした。

と申しますか、2004年は1着2着、2005年は2着3着と、ゼンノロブロイの後を同じ藤沢和雄厩舎のダンスインザムードが続くという結果でした。厩舎の年長のボス馬が前に行き、後ろに厩舎の年下のトップ牝馬が続く。うーむ、藤沢流の隊列調教がなされた結果のように見えなくも無いような……(^_^.)

まま、何が言いたかったというと「アグネスタキオン産駒の異性馬のワンツーフィニッシュがあるのかな!?」ということですね。ダイワスカーレットとディープスカイ。展開としては、恐らく「年長牝馬を追いかける年少牡馬」という形になるのでしょう。四位洋文騎手お得意の「1枠発進でも外をぶん回す騎乗」であれば闘志を損なわずに走れそうではありますが、果たして……。

最後は連産状況とは関わりの無いところになりましたが、ままこんな感じで。皆様、良い天皇賞を。ではでは、今日はこのへんで。

コメント

  1. ゴリ より:

    歴史的名牝ウォッカとそれより強いダイワスカーレットが
    出てきたら、小生としてはもう買う馬券は決まってしまった
    ような…ともに空胎後でないのは残念ですが。
    井崎亭ではないですが馬連1点買って、一番見たかった
    両馬の対決を楽しみたいと思います。

  2. オオハシ より:

    ◎ゴリ様
    いつもお世話になっております。

    >馬連1点買って、一番見たかった
    >両馬の対決を楽しみたいと思います。
    ウオッカとダイワスカーレット、しびれるような名勝負となりました。

    馬連1点勝負であれば1着2着の後先は問題なかったかと思いますけれど、それでも、ですね。

    なんと言うか、ああいうレースを見せられると、競馬ファンは止められないという感じです。

    両頭の勝負、また見られるでしょうか。ええ、是非また見てみたいものですね。

    ではでは、わざわざのコメント、誠にありがとうございました。

  3. ゴリ より:

    ただただ競馬の神様に感謝します。
    両馬の対決是非また見てみたいですね。
    そのためにも、みな無事でありますように。

  4. オオハシ より:

    ◎ゴリ様
    いつもお世話になっております。折り返しが遅くなってしまい、恐れ入ります。

    府中の杜に住まいし神様は、時折、競馬者に対して微笑みかけます。
    そうして、競馬者のこころを掴んで止まない。

    神様、あとは全馬無事に過ごさせてあげてください。ただただ願います。

    ではでは、わざわざのコメント、誠にありがとうございました。

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