2008年上半期のGI(JpnI含む)勝ち馬を改めて確認-其の十一-。

第75回日本ダービー(JpnI)。

ディープスカイ 牡 栗毛 2005.4.24生 浦河・笠松牧場生産 馬主・深見敏男氏 栗東・昆貢厩舎

ディープスカイ(2005.4.24)の4代血統表
アグネスタキオン[A]
栗毛 1998.4.13
種付け時活性値:1.50
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
アグネスフローラ
鹿毛 1987.6.18
ロイヤルスキー
栗毛 1974.5.24
Raja Baba 1968.4.5
Coz o’Nijinsky 1969.4.27
アグネスレディー
鹿毛 1976.3.25
リマンド 1965.2.16
イコマエイカン 1967.5.18
アビ
栗毛 1995.5.5
仔受胎時活性値:0.25
Chief’s Crown[A]
鹿毛 1982.4.7
種付け時活性値:1.00
Danzig
鹿毛 1977.2.12
Northern Dancer 1961.5.27
Pas de Nom 1968.1.27
Six Crowns
栗毛 1976.4.21
Secretariat 1970.3.30
Chris Evert 1971.2.14
Carmelized
鹿毛 1990.4.9
仔受胎時活性値:1.00
Key to the Mint[B]
鹿毛 1969.3.9
種付け時活性値:1.00
Graustark 1963.4.7
Key Bridge 1959.4.10
Carmelize
鹿毛 1972.4.23
仔受胎時活性値:0.25
Cornish Prince[A]
黒鹿毛 1962.3.29
種付け時活性値:0.25
Miss Carmie
鹿毛 1966.2.21 ♀
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:Bold Ruler5×5×5、Miss Carmie(♀)5×4(母方)>

ディープスカイ(2005.4.24)の中島理論的総括
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 何番仔?
アグネスタキオン
(アグネスフローラ)
2.75 以下の近親牝系図を参照願います
(No.23-B)
4番仔
(不受胎後)

2005年生まれ世代の頂点を決める一戦、第75回日本ダービー。しかし、私が競馬を見始めてから、数えて16回目のダービーですか。そりゃ、トシも取るはずです(笑)

という訳で、今年2008年の日本ダービーを制したのは、ディープスカイ。皐月賞(JpnI)馬キャプテントゥーレ(2005.4.5)不在の一戦、ファンは出走馬唯一のジーワン勝ち馬、前走のNHKマイルカップ(JpnI)をやはり1番人気で応えたディープスカイを1番人気に支持しました。1枠1番からの発走、白い帽子に「青、白玉霰、白袖青二本輪」の勝負服を背にした栗毛馬は、道中、悠然と後方4、5番手を進みました。直線、皐月賞の敗戦から12番人気まで人気を落としたスプリングS(JpnII)の勝ち馬スマイルジャック(2005.3.8)が先に抜け出し、内ラチ沿い一杯に脚を伸ばしました。今年の桜花賞ジョッキー・小牧太騎手を背にした黒鹿毛馬の脚勢は鈍ることなく、そのまま勝ち切るのかと思われた瞬間。ある意味四位洋文騎手らしく、大外に持ち出していたディープスカイが、ものすごい脚色で前を行く馬たちを次々と捉え、最後は1馬身2分の1差、しっかりスマイルジャックを差し切ったところが栄光のゴールでした。混戦と目された春の牡馬クラシック戦線、終わってみれば「変則2冠馬の誕生」という結末でした。

良馬場の府中芝2400mの勝ち時計は2分26秒7。レースの2着は上述の通りスマイルジャック、3着は1コーナーで同厩馬からの不利を被ってしまったNHKマイルC2着のブラックシェル(2005.1.31)、4着は2番人気だった弥生賞(JpnII)勝ち馬マイネルチャールズ(2005.4.27)、5着がきさらぎ賞(JpnIII)の勝ち馬レインボーペガサス(2005.3.30)でした。

生産場の笠松牧場、馬主の深見敏男オーナー、管理される昆貢調教師は日本ダービー初制覇、鞍上の四位騎手は昨年のウオッカ(2004.4.4)に続いて史上2人目の「日本ダービー連覇騎手」となりました。おめでとうございました。

父アグネスタキオンは立つことすら出来なかった府中芝2400mの舞台、息子ディープスカイが見事に父の無念を晴らしました。その孝行息子の勝利によりアグネスタキオンは、数多いるSS二世種牡馬として、初めて、日本ダービー勝ち馬の父となりました。その天賦の才は彼の走りをご覧になった方であれば重々ご承知でしょう。新馬戦をパドックから見ていたなんて何の自慢にもなりませんが、リブロードキャスト(1998.4.20)以下を軽くいなした阪神芝2000mのデビュー戦を思い出します。

さて、アグネスタキオンにおける種牡馬としての能力の後ろ盾を、中島理論的な見解を交えて述べると、

  1. Northern Dancer & Native Dancer Freeの血統構成
  2. 皐月賞制覇後に引退してしまい、世代の頂点には立てなかった
  3. 3歳の早期で引退して精神的な充電期間を経て4歳から種付け

というところが挙げられますでしょうか。

1点目は父サンデーサイレンスやトニービン(1983.4.7)ブライアンズタイム(1985.5.28)など平成御三家種牡馬、はたまた同じSS二世種牡馬フジキセキ(1992.4.15)と同様ですね。生産界に溢れる血を持ち合わせていないところが強みで多くの牝馬との交配が可能です。

2点目は以前に「直祖父SSのJRA平地ジーワン勝ち馬を見直す。」というエントリでも確認しましたが、現在のところ複数のJRA平地ジーワン勝ち馬を輩出しているSS二世種牡馬、フジキセキ、ダンスインザダーク(1993.6.5)、そしてアグネスタキオン。いずれも「3歳時に引退」「春期に世代の頂点を決める日本ダービーを制していない」という共通点がありますね。

3点目は、これは若干引退時期が遅くなってしまったことにも起因していますけれど、フジキセキとは違い、3歳時にお休みを取ることができたのが奏功したように思います。半ば定説化された「SS二世種牡馬の初年度産駒は期待ほど動かない」というジンクスも、NHKマイルカップ勝ち馬であるロジック(2003.3.17)を初年度から送り込んだアグネスタキオンには無縁でした。以降、2年度に「女傑」ダイワスカーレット(2004.5.13)、そして3年度にディープスカイとキャプテントゥーレを輩出するという素晴らしさです。

SS二世種牡馬として一歩抜け出したどころか、現在JRAのリーディングサイアー争いでもトップに立っているアグネスタキオン。これからも産駒の活躍は続々と見られるのでしょう。楽しみですね。

では、以下にディープスカイの、割合にディープな近親牝系図を示しておきます。

Miss Carmie 1966.2.21 米3勝
|Chris Evert 1971.2.14 米10勝 CCAオークス(GI)などNY牝馬3冠
||Six Crowns 1976.4.21 米5勝 レディースH(GI)3着
|||Chief's Crown 1982.4.7 米12勝 BCジュベナイル(GI)含む重賞9勝(うちGI8勝)
|||クラシッククラウン 1985.4.30 米5勝 フリゼットS(GI) ガゼルH(GI)
|||Tribunal 1997.3.16 米3勝 サンタアニタH(GI)3着 サンベルナルディノH(GII)3着
||Nijinsky Star 1980.5.3 不出走
|||Hometown Queen 1984.2.23 米5勝 ケンタッキーオークス(GI)2着 ヘンプステッドH(GI)2着
|||リバッサー 1989.5.19 米伊仏3勝 タイダルH(米GII)
|||Viviana 1990.6.9 米仏3勝 プシシェ賞(仏GIII)2着
|Carmelize 1972.4.23 米6勝 シープスヘッドベイH(GII)3着
||Carmelized 1990.4.9 北米1勝
|||アビ 1995.5.5 英1勝
||||ディープスカイ 2005.4.24 (本馬) 日本ダービー(JpnI) NHKマイルC(JpnI) 毎日杯(JpnIII)
|||Royal Dragon 1998.3.20 独仏伊6勝 独2000ギニー(GII)含む独GII4勝
|All Rainbows 1973 米7勝 オープンファイアS(GIII)2着 デラウェアオークス(GI)3着
||All Dance 1978.4.2 米仏1勝
|||Carezza 1989.3.3 米仏5勝 ヴァイオレットH(米GIII)2着
|||タップダンスシチー 1997.3.16 日仏12勝 ジャパンカップ(GI) 宝塚記念(GI)含む重賞7勝
||Winning Colors 1985.3.14 米8勝 ケンタッキーダービー(GI)含むGI3勝
|||ゴールデンカラーズ 1993.4.20 中央3勝 フローラS(旧OP) クイーンC(GIII)2着
||||チアフルスマイル 2000.4.9 中央8勝 キーンランドC(GIII)ほかにGIII2着2回3着2回
||Shareek 1990.5.12 英1勝 ジェフリーフリアS(GII)2着 ゴードンS(GIII)2着
|Center Court Star 1981.5.9 米0勝
||Lyfestar 1986.4.8 米2勝 ミスグリリョS(GII)2着
||Lambent Light 1993.3.1 南ア6勝 シャープエレクトロニクスC(GI)
|Barbara Schurgin 1974.4.25 不出走
||Paristo 1978.3.29 米3勝 イリノイダービー(GIII) プリークネスS(GI)3着
|Social Column 1976.5.3 不出走
||ツータイミング 1986.3.7 米英3勝 プリンスオブウェールズS(英GII)
|Charmie Carmie 1979.4.4 米0勝
||Himmah 1987.4.30 英3勝
|||Mutawwaj 1995.3.26 米英伊仏3勝 伊ダービー(GI)3着
||Faaz 1989.2.10 ペルーチリ英12勝 ペルーGI3勝ほか
|アンスチュアート 1980.4.19 不出走
||Ann Alleged 1985.3.31 英5勝 ビウィッチS(GIII)3着
||Secret Obsession 1986.3.18 英1勝
|||Obsessive 1993.3.4 愛英1勝 ミュージドラS(英GIII)3着
||Beyton 1989.3.18 米英独5勝 キングエドワード7世S(英GII)
|Missed the Wedding 1985.5.28 米0勝
||Missed the Storm 1990.1.23 米6勝 テストS(GI) アスタリタS(GII)
||Green Means Go 1992.2.4 米9勝 レキシントンS(GIII) ヒルプリンスS(GIII)
|Whisper Who Dares 1986.6.6 米1勝
||Confessional 1996.5.7 米4勝 フリゼットS ロイヤルノースH(GIII)2回

目にも見よ、この暇な所業(笑) 。日曜日の朝の起き抜けから何を必死に調べていたんでしょうね。まま、何かのご参考になれば幸いです。

秋は神戸新聞杯(JpnII)からの始動が伝えられたディープスカイ。その後に向かうのは同世代との3冠最終戦・菊花賞(JpnI)か、それとも古馬との戦いとなる天皇賞・秋(GI)か。どちらに向かうにせよ、もし勝利を収めれば、歴史の新しい扉が開きます。ディープスカイ、真っ青な空の下でまた快走を見せてほしいものです。

ではでは、今日はこのへんで。

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