先週土曜日、7月21日の新潟の新馬戦(芝1800m)において、ゴールドアリュール(1999.3.3)産駒としてJRA初の勝ち馬となったゴールドストレイン。SS直仔のダート王の仔が芝の新馬戦を勝ち上がったのですから、ゴールドアリュールの種牡馬としての可能性も広がりますね。とはいえ、ゴールドアリュールは日本ダービー(現JpnI)で5着もあり、芝でも能力の高さの片りんを見せてはいましたね。
ゴールドストレイン。携帯電話からnetkeiba.comの記事を見た時に「まさか」と思いながら「そうやとしたら、ストレートな名前やな」と思いました。確認すると、ゴールドストレインの母は、やはりサクセスストレイン(1998.4.9)。ゴールドストレインは、父ゴールドアリュールと母サクセスストレインの馬名を、半分ずつもらったのでした。
そんなゴールドストレイン。「鈴木芳夫オーナー、稲葉隆一厩舎、木幡初広騎手」という、母が新馬、500万下、クイーンC(現JpnIII)と全3勝を収めた時とまったく同じ組み合わせで、新馬戦を6番人気で勝ち上がりました。彼の駆ける姿を見ると、思わず母の現役時代を思い出してしまいました。木幡騎手もラジオNIKKEIのWebページでコメントされていましたけれど、「走り方もなんだかお母さん(サクセスストレイン)に似ていますね」と、私も思いました。
#↓You Tubeにアップされたゴールドストレインが制した新馬戦の動画。
さて、ここからがネタとなるところです。実は、7年前から6年前にかけてPOGをした時、私が指名した明和牧場産馬こそ、ゴールドストレインの母サクセスストレインだったのです。サクセスストレインは父ティッカネン(1991.1.23)、母キャリイアウト(1989.5.3)という血統から選んだ馬でした。
父ティッカネンはその母Reiko(1979)が故・和田共弘氏のオーナーブリード馬。Reikoは父ターゴワイス(1970.4.10)、母父リベロ(1965.3.13)が共に0交配という中島理論チックな生産馬でした。かつて「競馬最強の法則」誌上において、期待できる種牡馬として中島御大も取り上げられていました。
#手前味噌ながら「種牡馬ティッカネンについて」という解説ページも、よろしければご確認ください。
母キャリイアウト。実は「血とコンプレックス」の中にも登場します。久々に出走となったダンノーブル(1989.3.28)のくだり、初茜賞の競走成績のページを確認してみてください。キャリイアウトは明和牧場産馬で高松邦夫厩舎の所属馬でした。父ノーアテンション(1978.3.1)という極め付きの長距離得意種牡馬の仔ですけれど、自身は1200mで4勝を挙げました。
そんな父母を持つサクセスストレイン。中島理論的に血統を見た時、
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Nearco4本掛けも4代血統構成馬の活性値が「1.50、0.50、0.25、1.25」と別数値であること
(→知的素質向上の為に別数値の組み合わせを確認) -
上記1.の理由に付与して、牝馬であること
(→同系交配の累代で残先祖が減る配合は、牝馬に活躍馬が多い印象を持っています) -
5代血統表内にクロスが3つあるものの、いずれも片方の先祖が0遺伝で無弊害化されていること
(→Princequillo(1940)5×5×5、Northern Dancer(1961.5.27)5×4、Grey Sovereign(1948)5×5) -
母キャリイアウトが満8歳時交配であること
(→母の活性値「2.00」を狙いました) -
牝系の3代母が凱旋門賞馬サンサン(1969.4.9)であること
(→近親に活躍馬あり。サクセスストレインを選んだ時点では伯父バリアントウイナー(1990.5.3)くらいでしたけれど、サクセスストレインと同い年の叔父ネイティヴハート(1998.4.3)はまだ現役ですし、後に従弟マーブルチーフ(2000.3.31)も輩出されています)
の5点に注意しました。もちろん、父母の組み合わせがいちばん目に付いたところです。でも、ちゃんと上記の点も調べていたのでした。
まま、いろいろと注釈を並べましたけれど、実際走ってみるまでは、どうなるか分かりませんよね。たまたま、サクセスストレインが走ってくれただけです(笑)
現年齢表記2歳冬のフェアリーS(現JpnIII)。11番人気を跳ね返してテンシノキセキ(1998.3.29)の2着に突っ込んで来てくれた時、阪神競馬場で小躍りしていました。買っていた馬券は、単複100円ずつだったと思います。でも、ホントに嬉しかったですね。また、フェアリーSにおいて初めて確認できたサクセスストレインの走法は、クビの低い、身体全体を使った良いフォームでした。その駆ける姿を見て「ダテに重賞で2着にはなれない。馬鹿にしたものではない」と思ったものでした。
そして、3歳2戦目のクイーンC。3歳初戦の菜の花賞を3番人気7着で株を落としてしまい、これまた11番人気で挑んだ一戦。赤い帽子に「茶、黄袖」の勝負服、鼻面に流星が走る鹿毛馬サクセスストレイン。スタート直後に掛かり気味になり、「あぁぁ……」と思ったことを今でも思い出します(笑)。けれど、3コーナーから4コーナーに掛けて割合に良い手応えで進んで、直線、馬場中央を堂々と駆けてきた時は、ビックリするくらいに大きな声で、自宅のテレビ画面に叫んでいました(笑)。最後の最後、最内を行くハッピーパス(1998.6.3)をアタマだけ捕らえた時、矢野吉彦アナウンサーが「わずかに外、サクセスストレインか!!」と叫ばれた瞬間、大写しになったサクセスストレインが、ホントに愛しく思えましたね。狂喜乱舞でした。勝ち時計の1分34秒7は当時レース史上2位の好タイムでした。いまでも、クイーンCのVTRは、たまに見直すことがあります。なお、購入していた馬券はサクセスストレインの複勝500円と、 サクセスストレインとリトルソルジャー(1998.4.24)とのワイド100円だったと思います。
#サクセスストレインがクイーンCを制した2001年2月17日。実は、父方の祖母の祥月命日だったにもかかわらず、墓参りにも行かなかった私は、祖母不孝者です。
その後、3歳牝馬限定GIレースでは桜花賞(現JpnI)7着、オークス(現JpnI)4着、秋華賞(現JpnI)4着と 、いずれも「ちょいと足らず」の結果でした。「GIで甘いサンサン系」の末えい、まさにその通りの走りっぷりでした。それでもオークス、秋華賞は共にテイエムオーシャン(1998.4.9)、レディパステル(1998.4.26)、ローズバド(1998.4.29)の後に続いたのですから、この世代では4番手の評価を得ても良いと思いました。
そんなサクセスストレイン。結果的にはクイーンCが最後の勝利となりました。と、同時に、明和牧場産の牝馬として最後の重賞勝ち馬となりました。そして繁殖牝馬として帰った牧場は、新冠町のビッグレッドファーム。そう、元々は明和牧場だったところに帰ったのでした。故郷に帰れたのですから、サクセスストレインは幸せだと思います。
サクセスストレインの繁殖成績を確認すると、2003年の種付けは行わず、2004年にゴールドアリュールを種付けして、翌2005年に生まれた初仔が、ゴールドストレインでした。最後にゴールドストレインについてのまとめをして、この無駄に長い、思い入れのみのlogを終わりにしたいと思います。
ゴールドストレイン 牡 黒鹿毛 新冠・ビッグレッドファーム生産 馬主・鈴木芳夫氏 美浦・稲葉隆一厩舎
- 4代血統構成(各父):『ゴールドアリュール×ティッカネン×ノーアテンション×ノーザンテースト』
- 4代血統構成(父系):『Halo系×フォルティノ系×Nijinsky系×Northern Dancer系』
- 5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5、Nijinsky5×5
- 牝系:9号族サンサン系 母サクセスストレイン、叔父ネイティヴハート、伯父バリアントウイナー、近親マーブルチーフ
- 母の何番仔?:初仔
ではでは、お付き合い頂きまして、ありがとうございました♪