「Phalaris系4本掛け」の配合馬について-日本ダービー(JpnI)編-。

第74回日本ダービー前日の今回は、「母の受胎条件」と共に、中島理論的には活躍馬における基本的な血統確認と目される4代血統構成(父、母父、祖母父、曾祖母父)について、Phalaris(1913)4本掛けという観点から確認してみようと思います。Phalaris4本掛けとは、4代血統構成が、いずれも現代の主流血脈であるPhalaris系の種馬が配されている状態を言います。

では、一昨日示した過去20年の日本ダービー連対馬40頭を確認したところ……

  1. 1993年 1着馬 ウイニングチケット(1990.3.21) A A A(PG系) A 6連産目の6番仔 父初年度産駒
  2. 1999年 1着馬 アドマイヤベガ(1996.3.12) A A A y 初仔
  3. 2002年 2着馬 シンボリクリスエス(1999.1.21) A A y A 不受胎後の2番仔
  4. 2006年 1着馬 メイショウサムソン(2003.3.7) A(SW系) A A(PG系) A 流産後の初仔
  5. 2006年 2着馬 アドマイヤメイン(2003.3.13) A x A A 3連産目の3番仔 

という5頭の確認ができました。先週のオークス(JpnI)と同様「40分の5」とは、やはり厳しいのか、府中芝2400mの舞台。勝ち馬は3頭、2着馬は2頭。また、よくよく見直すと、昨年は「血統表上におけるPhalaris4本掛けの馬のワンツーフィニッシュ」だったんですね。詳しくは確認していませんが、遡れば遡るほどに「Phalaris4本掛けの馬」は減るはずですので、2006年は「史上初のPhalaris4本掛け馬のワンツー」と思います。

さて、連対馬5頭すべてに共通しているのは、

  • 結局、中島理論的には、4代血統構成のどこかでダミー血脈が配されている

というところでしょう。ウイニングチケットの祖母父はテスコボーイ(1963)。アドマイヤベガの曾祖母父はTom Fool(1949.3.31)。シンボリクリスエスの祖母父Tri Jet(1969)はTom Fool系。メイショウサムソンの父オペラハウスはSadler’s Wells(1981.4.11)の直仔、祖母父サンプリンスはPrincely Gift(1951)の直仔。アドマイヤメインの母父ヘクタープロテクター(1988.3.4)はMr.Prospector(1970.1.28)の直仔。純正なPhalaris4系掛けの馬は1頭もいないと判断されます。

また、5頭中3頭に共通しているのは、

  • 母が前年産駒無し後の仔

ということですね。メイショウサムソンは母が流産後の初仔、シンボリクリスエスは母が不受胎後の2番仔、アドマイヤベガは母の初仔です。やはりバックボーンにあるのは健康な母体。

なお、連産で生産されている2頭、ウイニングチケットとアドマイヤメインには、母の出産年齢に共通点があります。

  • 母が満9歳時出産(=満8歳時交配)で生産されている

という点ですね。つまりは「卵子が一世一代の働きを示す年回り」で生産されています。念の為に記しておくと、ウイニングチケットの母パワフルレディは1981年5月27日生まれ、アドマイヤメインの母プロモーションは1994年3月30日生まれです。いずれも活性値が「2.00」と判断されるタイミングで生産されています。

#ちなみに、ウイニングチケットの年は「3強対決」と言われましたが、他の2頭であるビワハヤヒデ(1990.3.10)ナリタタイシン(1990.6.10)も、共に母が満9歳時に出産した馬ですね。ビワハヤヒデの母パシフィカスは1981年5月29日生まれ、ナリタタイシンの母タイシンリリィは1981年5月27日生まれ。つまりはお母さんもみんな同い年ということで。さらに言えば、皆様お気付きのとおり、チケットとタイシンはお母さんどうしが同じ日に生まれています(笑)

では、上記の内容を踏まえて、今年の出走メンバーのうち、Phalaris4本掛けになっている馬を内枠から確認すると……、

  1. フィニステール(2004.4.16) A(SS系) A A x 7連産目以降の7番仔以降の仔
  2. ヒラボクロイヤル(2004.3.15) A x A A  2連産目以降の仔 父初年度産駒
  3. ローレルゲレイロ(2004.5.3) A A x A 初仔
  4. フサイチホウオー(2004.2.16) A A(SS) A A 3連産目の3番仔 父初年度産駒
  5. ヴィクトリー(2004.4.3) A A A(SW) A 5連産目の5番仔

という5頭です。うち3頭は「x」を持っており、Native Dancer(1950.3.27)系のアメリカンダミー持ちですね。

残りの2頭。4代血統構成がすべて「A」を持つ馬には、最強格と目される皐月賞馬に皐月賞3着馬が該当しましたね。えらいこっちゃ(笑)

現時点での1番人気、フサイチホウオー。今回確認した内容を踏まえて、彼にとってプラスになるポイントを述べると、

  1. 勝ち馬3頭はいずれも「初」となる要素を持っている
  2. 勝ち馬3頭のうち2頭がトニービン(1983.4.7)の血を持っている
  3. 連産で生産された2頭同様、母が満9歳時出産(=満8歳時交配)で生産されている

というところでしょうか。

1つ目の「初」となる要素。抽象的ですね(笑)。古い順に述べると、ウイニングチケットは父トニービンの初年度産駒、アドマイヤベガは母の初仔-母ベガ(1990.3.8)はウイニングチケット同様トニービンの初年度産駒-、メイショウサムソンは母が流産後の初仔。つまりは、勝ち馬3頭は、父母にとって「初めての仔ども」であるということです。アドマイヤホウオーはその父ジャングルポケット(1998.5.7)の初年度産駒ですね。

#現在の多頭数交配のすう勢、そして後のトニービン産駒の活躍からは想像しにくいと思われますが、実は、トニービンの初年度種付け数は57頭で産駒数45頭に過ぎませんでした。その薄手のスポーツマンタイプの馬体が、アピールしにくいものだったとか。しかし、初年度産駒から4頭のGI勝ち馬が出たのでホースマンたちが「驚き!!」となったのでした。ちなみに、各年度ごとのGI勝ち馬数を見ると、初年度の4頭は、トニービンにとって最も多い数字でした。

#横道に逸れますが、ついで述べておくと、後年は超多頭数交配となったサンデーサイレンス(1986.3.25)も、初年度種付け頭数は77頭で産駒数67頭という現在では信じられないノーマルに近い産駒数でした。産駒が活躍するにつれ、右肩上がりに交配数も増えていったのでした。 合わせて述べておくと、サンデーサイレンスの初年度産駒67頭のうちGI馬は5頭。その比率は「7.5%」と、GI馬が最も多い比率の年度になっています。

2つ目のトニービンの血。府中コースと言えば、トニービン。産駒のGI13勝のうち、実に11勝が府中コース。父としてウイニングチケット、ジャングルポケット、母父としてアドマイヤベガとダービー勝ち馬を送り込んでいます。フサイチホウオーはその父ジャングルポケット、そして祖父トニービンですね。父ジャングルポケットは「府中3戦3勝」とまさにトニービン産駒の特徴を具現化した馬でした。そして、フサイチホウオー自身も、現時点で「府中3戦3勝」です。

3つ目の母の出産時年齢。フサイチホウオーの母アドマイヤサンデーは1995年2月20日生まれです。 アドマイヤホウオーの誕生日である2004年2月16日から察するに、活性値「2.00」の受け渡しがなされていると考えます。

続いて、僅差の2番人気ないし3番人気が予想されるヴィクトリー。彼についてプラスになるポイントを述べると、

  1. 勝ち馬3頭のうち2頭がトニービンの血を持っている
  2. 祖母父がSadler’s Wells
  3. 伯父フサイチコンコルド(1993.2.11)

というところでしょうか。

1つ目はフサイチホウオーと同様。上述のとおり、母父トニービンでは1999年のアドマイヤベガが1着になっていますね。

2つ目のSadler’s Wellsの血を持ち合わせているということ。血統構成因子としてのSadler’s Wellsは、やはり「特殊」ということになろうかと思います。2006年1着のメイショウサムソンは直祖父がSadler’s Wellsでした。そして、伯父フサイチコンコルドの母父もSadler’s Wells。1代前の近親ですから、当然ですが(笑)

3つ目の伯父フサイチコンコルド。現実に伯父にダービー勝ち馬がいるということは、それだけ母系に活力のある証拠です。言わずもがなですね。半兄リンカーン(2000.3.18)、母グレースアドマイヤ(1994.2.20)、曾祖母Sun Princess(1980)と文句なしの近親活躍馬たちです。

果たして、第74代日本ダービー馬の称号はどの馬の頭上に輝くことになりますでしょうか。泣いても笑っても、たった一度きりのクラシックレース。競馬の祭典が、素敵なレースになることを祈ります。

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

コメント

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