春を迎えると、日々、馬の誕生日を思ってしまうオオハシでございます。という訳で、その日に生まれた馬を辿る企画を、今年2014年も毎週水曜日にお届けしたいと思います。その第6回は、桜花賞(GI)ウィークに似つかわしい「日本におけるダンシングブレーヴの最高傑作」を。
テイエムオーシャン 牝 鹿毛 1998.4.9生 浦河・川越俊樹氏生産 馬主・竹園正繼氏 栗東・西浦勝一厩舎
ダンシングブレーヴ 鹿毛 1983.5.11 種付け時活性値:1.50 |
Lyphard 鹿毛 1969 |
Northern Dancer 鹿毛 1961.5.27 |
Nearctic 1954.2.11 |
Natalma 1957.3.26 | |||
Goofed 栗毛 1960.3.29 |
Court Martial 1942 | ||
Barra 1950 | |||
Navajo Princess 鹿毛 1974.3.31 |
Drone 芦毛 1966.4.1 |
Sir Gaylord 1959.2.12 | |
Cap and Bells 1958.5.21 | |||
Olmec 栗毛 1966 |
Pago Pago 1960 | ||
Chocolate Beau 1958.3.12 | |||
リヴァーガール 鹿毛 1991.3.14 仔受胎時活性値:1.50 |
★ リヴリア 鹿毛 1982.4.20 種付け時活性値:0.00 |
Riverman 鹿毛 1969 |
★Never Bend 1960.3.15 |
River Lady 1963.5.17 | |||
Dahlia 栗毛 1970.3.25 |
Vaguely Noble 1965.5.15 | ||
Charming Alibi 1963.3.7 | |||
エルプス 栗毛 1982.5.3 仔受胎時活性値:2.00 |
マグニテュード 鹿毛 1975.3.16 種付け時活性値:1.50 |
Mill Reef 1968.2.23 | |
Altesse Royale 1968 | |||
ホクエイリボン 栗毛 1973.5.28 仔受胎時活性値:2.00 |
イーグル 黒鹿毛 1958 種付け時活性値:1.50 |
||
クインエポロ 栗毛 1964.6.6 仔受胎時活性値:2.00 |
<5代血統表内のクロス:Court Martial4×5、Never Bend4×5(母方)>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
ダンシングブレーヴ (Lyphard系) |
★リヴリア (Riverman系) |
マグニテュード (Mill Reef系) |
イーグル (Fairway系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
ダンシングブレーヴ | 7.50 |
祖母が桜花賞馬 (No.12 ビユーチフルドリーマー系) |
2番仔 (2連産目) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | テイエムオーシャン | 牝2 | 53 | 本田優 | 1:34.6 | 35.5 |
438 [0] |
西浦勝一 | 1 | |
2 | 6 | ダイワルージュ | 牝2 | 53 | 北村宏司 | 1:34.9 | 2 | 35.4 |
478 [-12] |
上原博之 | 6 |
3 | 4 | リワードアンセル | 牝2 | 53 | 後藤浩輝 | 1:35.0 | 1/2 | 35.4 |
422 [+4] |
田中清隆 | 7 |
4 | 5 | ローレルプリンセス | 牝2 | 53 | R.フラッド | 1:35.1 | クビ | 35.2 |
460 [-6] |
山内研二 | 13 |
5 | 18 | タカラサイレンス | 牝2 | 53 | 武豊 | 1:35.4 | 1.3/4 | 35.3 |
410 [-4] |
国枝栄 | 3 |
最後の阪神3歳牝馬Sを制したのは、札幌3歳S(現札幌2歳S、GIII)3着から直行でここに挑んだ、テイエムオーシャン。鞍上の本田優騎手(現調教師)にとっては、前身の阪神3歳Sをゴールドシチー(1984.4.16)で制して以来、14年ぶりのGI勝利でした。
騎手デビュー以来、年間の勝利数が2ケタを割ることはなく、コンスタントに巧い騎乗を見せられていた本田騎手。2000年代は、西浦勝一調教師の育てられた名馬の主戦として重賞勝ちを重ねられて行くのですが、この阪神3歳牝馬Sが、その始まりでした。
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | テイエムオーシャン | 牝3 | 55 | 本田優 | 1:34.4 | 34.8 |
444 [+8] |
西浦勝一 | 1 | |
2 | 13 | ムーンライトタンゴ | 牝3 | 55 | 四位洋文 | 1:34.9 | 3 | 34.4 |
410 [+4] |
安田隆行 | 4 |
3 | 12 | ダイワルージュ | 牝3 | 55 | 北村宏司 | 1:34.9 | クビ | 34.6 |
478 [-8] |
上原博之 | 2 |
4 | 16 | ハッピーパス | 牝3 | 55 | 岡部幸雄 | 1:34.9 | ハナ | 35.0 |
446 [+2] |
藤沢和雄 | 3 |
5 | 3 | マイネカプリース | 牝3 | 55 | 安藤勝己 | 1:34.9 | クビ | 35.0 |
454 [-8] |
萱野浩二 | 13 |
この桜花賞は現地で見ていたのです。POGでの選択馬だったサクセスストレイン(1998.4.9)を応援する為に。ちゃんとデビュー前に選択していたんですよ。福島の新馬戦を勝ってくれた時は嬉しかったですし、やはり福島の500万下を勝って挑んだ暮れの中山のフェアリーS(GIII)は2着。そして年明けのクイーンC(GIII)では重賞勝ちと、十二分に頑張ってくれました。フェアリーSとクイーンCは複勝を買うという、弱気な応援をしていました^^;
けれど、桜花賞はサスガに敷居が高かった。サクセスストレインと同じ4月9日生まれのGI馬テイエムオーシャンが、3馬身差の楽勝を収めるという結果。上述の阪神3歳牝馬S、年明け初戦のチューリップ賞(GIII)、そして桜花賞と、仁川芝1600mの重賞を3連勝。そうして、祖母エルプスに続く桜花賞勝利となりました。
#余談。サクセスストレインは、初仔のゴールドストレイン(2005.3.20)を記事にしたことがありました。まま、どちらかというと、サクセスストレインについての記事でしたが。
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | テイエムオーシャン | 牝3 | 55 | 本田優 | 1:58.5 | 35.4 |
442 [+2] |
西浦勝一 | 1 | |
2 | 9 | ローズバド | 牝3 | 55 | 横山典弘 | 1:58.6 | 3/4 | 34.6 |
422 [-4] |
橋口弘次郎 | 2 |
3 | 6 | レディパステル | 牝3 | 55 | 蛯名正義 | 1:58.9 | 2 | 35.4 |
446 [-6] |
田中清隆 | 3 |
4 | 10 | サクセスストレイン | 牝3 | 55 | 木幡初広 | 1:59.0 | クビ | 35.5 |
460 [0] |
稲葉隆一 | 8 |
5 | 18 | ショウナンバーキン | 牝3 | 55 | 横山義行 | 1:59.2 | 1.1/4 | 35.6 |
444 [-6] |
大久保洋吉 | 16 |
更新しなくなって久しい表のページの、第62回オークス出走馬(その1)という記事で書いていました。
また、3歳春のダンシングブレーヴ産駒は、自身の「生真面目さ」を上手くなだめることが出来ず、距離に泣くケースが多く見られます。身体能力の高さははっきり最上位です。が、現時点での「気持ちの先走り過ぎなところ」にやや不安が残ります。一夏越えた後の京都の秋華賞は楽勝しそうですが……。
果たせるかなテイエムオーシャン、オークス3着からぶっつけで挑んだ秋華賞を、先行3番手からの受けて立つ競馬で、勝ち切りました。終わってみれば、4着のサクセスストレインまで、オークスの1着~4着が上位を占め直すという結果でした。
また、この秋華賞には、シルキードルチェ(1998.3.6)が出走していたのですが、彼女は一口の出資馬選びの際に助言させて頂いた馬でした。満3歳夏に未勝利戦と西海賞(牝馬限定の1000万下)を連闘で連勝した時は、「あぁ、良かったなぁ」と、本当に思ったものです。祖母モリタ(1978.10.30)、伯父マーベラスクラウン(1990.3.19)という血統馬。400kg程の小さな牝馬でしたが、気品のある栃栗毛の流星、馬相がとても美しい、思い出深い馬の1頭です。
*
竹園正繼オーナーにとっては、テイエムオーシャンとテイエムオペラオー(1996.3.13)のカップリングは、正に夢の配合なのでしょう。
いえ、個人馬主の域を超えて、このGI馬どうしならば、どうあっても夢の配合。
近年は別系統の種牡馬も配されているようですが、初仔のテイエムユメノコ(2006.2.7)は世代を重ねるべく、繁殖牝馬となっています。
エルプスの血が孫の代で花開いたように、テイエムオーシャンの血も孫の代で花開くやも知れません。
いえいえ、「咲くも良し 散るもまた良し 桜花(さくらばな)」ならば、テイエムオーシャン、女盛りの16歳、もうひと花もふた花も咲かせて欲しいものです。
では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。