ふと、ジャパンカップ(GI)の過去30回について、勝ち馬を中心に辿ってみようと思いました。ついに最終回となる10回目は第28回から第30回。
スクリーンヒーロー 牡 栗毛 2004.4.18生 千歳・社台ファーム生産 馬主・吉田照哉氏 美浦・鹿戸雄一厩舎
★ グラスワンダー 栗毛 1995.2.18 種付け時活性値:0.00 |
Silver Hawk 鹿毛 1979.4.20 |
Roberto 鹿毛 1969.3.16 |
Hail to Reason 1958.4.18 |
Bramalea 1959.4.12 | |||
Gris Vitesse 芦毛 1966.3.2 |
Amerigo 1955 | ||
Matchiche 1956 | |||
Ameriflora 鹿毛 1989.1.29 |
Danzig 鹿毛 1977.2.12 |
Northern Dancer 1961.5.27 | |
Pas de Nom 1968.1.27 | |||
Graceful Touch 鹿毛 1978.4.13 |
His Majesty 1968.4.15 | ||
Pi Phi Gal 1973.3.11 | |||
ランニングヒロイン 鹿毛 1993.4.8 仔受胎時活性値:0.50 |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 種付け時活性値:1.50 |
★Halo 黒鹿毛 1969.2.7 |
Hail to Reason 1958.4.18 |
Cosmah 1953.4.4 | |||
Wishing Well 鹿毛 1975.4.12 |
Understanding 1963.2.17 | ||
Mountain Flower 1964.3.23 | |||
ダイナアクトレス 鹿毛 1983.5.4 仔受胎時活性値:0.25 |
ノーザンテースト 栗毛 1971.3.15 種付け時活性値:0.75 |
Northern Dancer 1961.5.27 | |
Lady Victoria 1962.2.20 | |||
モデルスポート 黒鹿毛 1975.2.23 仔受胎時活性値:1.75 |
モデルフール 黒鹿毛 1963.4.2 種付け時活性値:0.75 |
||
マジックゴディス 栗毛 1968 仔受胎時活性値:1.50 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×4、Hail to Reason4×4>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
★グラスワンダー (Roberto系) |
サンデーサイレンス (Halo系) |
ノーザンテースト (Northern Dancer系) |
モデルフール (Tom Fool系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
サンデーサイレンス (Mignon) |
4.00 |
祖母ダイナアクトレス (No.1-s) |
5番仔 (3連産目) |
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | スクリーンヒーロー | 牡4 | 57 | M.デムーロ | 2:25.5 | 34.0 |
486 [+2] |
鹿戸雄一 | 9 | |
2 | 9 | ディープスカイ | 牡3 | 55 | 四位洋文 | 2:25.6 | 1/2 | 33.8 |
518 [+8] |
昆貢 | 1 |
3 | 4 | ウオッカ | 牝4 | 55 | 岩田康誠 | 2:25.7 | 3/4 | 34.3 |
488 [-2] |
角居勝彦 | 2 |
4 | 13 | マツリダゴッホ | 牡5 | 57 | 蛯名正義 | 2:25.7 | アタマ | 34.4 |
492 [+2] |
国枝栄 | 5 |
5 | 1 | オウケンブルースリ | 牡3 | 55 | 内田博幸 | 2:25.8 | クビ | 34.2 |
482 [-2] |
音無秀孝 | 4 |
2008年の第28回。第7回ジャパンカップで9番人気ながら日本馬最先着の3着を果たしたダイナアクトレス。その直孫が同じ9番人気で今度は1着となりました。ミルコ・デムーロ騎手の落ち着いた手綱捌きに導かれて、スクリーンヒーロー。
この第28回ジャパンカップは「別路線からの挑戦者」というのを久しぶりに思ったレースでもありました。ジャパンカップの3ヶ月前は1000万特別を勝ったばかりだったスクリーンヒーロー。まだ準オープンにも出走できるのに、格上挑戦で挑んだアルゼンチン共和国杯で勝利を収めて、そうして挑んだ初めのGIレースがジャパンカップ。並み居るGI馬たちを向こうに回しても怯むところなし。最後、馬場中央の外側を堂々と抜け出して、追い込んで来たディープスカイ(2005.4.24)に2分の1馬身差。結果としては番狂わせでしたが、先行5番手から自力で勝ち切った姿は、スクリーンヒーローの能力の確かさを、ただただ見せ付けるものでした。
そして、スクリーンヒーローは父グラスワンダー。「左回りのGIレース」を勝つことが出来なかった父の無念を晴らすかのように、仔はジャパンカップで勝利を収めました。また、勝つことはできませんでしたが、この2008年のジャパンカップ以来の府中出走となった2009年の天皇賞・秋(GI)では2着に踏ん張りました。その結果として、スクリーンヒーロー、府中の申し子ウオッカに対して、出走機会2回で2回とも先着したのでした。なんでも、ウオッカと同い年の牡馬で2回先着したのはスクリーンヒーローだけだったそうな(→参考)。しかも、東京競馬場で、ですからね。
このあたりの血統の不思議さ。中島理論的には「グラスワンダーが満8歳時の0交配だからだろ」ということになってしまいますが(^_^;)
*
ウオッカ 牝 黒鹿毛 2004.4.4生 静内・カントリー牧場生産 馬主・谷水雄三氏 栗東・角居勝彦厩舎
タニノギムレット 鹿毛 1999.5.4 種付け時活性値:1.00 |
ブライアンズタイム 黒鹿毛 1985.5.28 |
Roberto 鹿毛 1969.3.16 |
Hail to Reason 1958.4.18 |
Bramalea 1959.4.12 | |||
Kelley’s Day 鹿毛 1977.5.11 |
Graustark 1963.4.7 | ||
Golden Trail 1958.3.5 | |||
タニノクリスタル 栗毛 1988.4.4 |
クリスタルパレス 芦毛 1974.3.25 |
Caro 1967.4.11 | |
Hermieres 1958.4.10 | |||
タニノシーバード 栗毛 1972.4.27 |
Sea-Bird 1962.3.8 | ||
Flaxen 1968.5.15 | |||
タニノシスター 栗毛 1993.3.22 仔受胎時活性値:0.50 |
ルション 黒鹿毛 1981.4.10 種付け時活性値:0.75 |
Riverman 鹿毛 1969 |
★Never Bend 1960.3.15 |
River Lady 1963.5.17 | |||
ベルドリーヌ 黒鹿毛 1977.3.15 |
★Marshua’s Dancer 1968.4.15 | ||
Palsy Walsy 1960 | |||
エナジートウショウ 鹿毛 1987.4.22 仔受胎時活性値:1.25 |
トウショウボーイ 鹿毛 1973.4.15 種付け時活性値:1.25 |
テスコボーイ 1963 | |
ソシアルバターフライ 1957.4.13 | |||
コーニストウショウ 栗毛 1977.6.12 仔受胎時活性値:0.25 |
ダンディルート 鹿毛 1972.5.10 種付け時活性値:1.00 |
||
ローズトウショウ 鹿毛 1965.4.13 仔受胎時活性値:0.75 |
<5代血統表内のクロス:Graustark4×5(父方)>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
タニノギムレット (Roberto系) |
ルション (Riverman系) |
トウショウボーイ (Princely Gift系) |
ダンディルート (Luthier系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
トウショウボーイ (タニノシスター) |
2.75 |
大叔母シスタートウショウ (No.3-l フロリースカップ系) |
4番仔 (2連産目) |
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | ウオッカ | 牝5 | 55 | C.ルメール | 2:22.4 | 34.8 |
494 [-4] |
角居勝彦 | 1 | |
2 | 10 | オウケンブルースリ | 牡4 | 57 | 内田博幸 | 2:22.4 | ハナ | 34.1 |
482 [0] |
音無秀孝 | 2 |
3 | 6 | レッドディザイア | 牝3 | 53 | 四位洋文 | 2:22.6 | 1.1/2 | 34.7 |
478 [-2] |
松永幹夫 | 6 |
4 | 16 | コンデュイット | 牡4 | 57 | R.ムーア | 2:22.8 | 1.1/4 | 35.0 |
466 [不明] |
M.スタウト | 3 |
5 | 3 | エアシェイディ | 牡8 | 57 | 後藤浩輝 | 2:23.0 | 1.1/4 | 35.0 |
494 [0] |
伊藤正徳 | 11 |
2009年の第29回。前々年の第27回で4着、前年の第28回で3着。この府中芝2400mというコースでの勝利を渇望していたウオッカ。府中の申し子が果たした「三度目の正直」。テン乗りとなったクリストフ・ルメール騎手。自信を持って先行4、5番手で推し進め、最後の最後、オウケンブルースリ(2005.2.24)と内田博幸騎手の追い込みをわずかに2cmだけ封じて、GI7勝目。この勝利により、ウオッカは「牝馬初のJRAGI7勝」「日本生産調教の牝馬として初めてのジャパンカップ勝利」「東京競馬場で施行される古馬GIの完全制覇」を果たしたのでした。
結果的にウオッカの日本での最後のレースとなった第29回ジャパンカップ。掲示板に載った他の馬たちは、軒並み道中後方にいた馬たちでした。ウオッカは1頭だけ先行して粘り込み、それでいてメンバー中3番目となる上り3F34秒8を繰り出しました。恐るべしは、その天賦の才と、鍛錬によって高められた身体能力。そして鞍上のルメール騎手にとっては、4年前の第25回にてハーツクライ(2001.4.15)でハナ差届かなかった勝利を、ハナ差でお返ししたのでした。
ウオッカ。性差を超えたもの凄い馬でした。2歳冬の阪神JF(GI)を1分33秒1の2歳JRAレコード勝ち。3歳春の日本ダービー(GI)では64年ぶりとなった牝馬によるダービー制覇。4歳春の安田記念(GI)ではGI格付け以降最大着差となる3と2分の1馬身差勝ち。4歳秋の天皇賞・秋(GI)では同期のもう1頭の女傑ダイワスカーレット(2004.5.13)をやはり2cm差で抑えて1分57秒2のレコード勝ち。5歳春のヴィクトリアマイル(GI)では役者が違いすぎた7馬身差勝ち、続いて連覇を果たした安田記念ではクソほど厳しいレースになりながら最後にはディープスカイ(2005.4.24)を4分の3馬身差し切り。そして、5歳秋のジャパンカップ制覇。どれも魂が打ち震えるようなレースばかり。大きな故障もなく、よくぞ4年連続で、我々の前に元気で強い姿を見せ続けてくれたものです。
谷水雄三オーナーの言葉を借りれば、「ウオッカは天からの授かりもの」。
天からの授かりもの走りを目の当たりにできた我々は、やはり、幸せだったのでしょう。
*
ローズキングダム 牡 黒鹿毛 2007.5.10生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 栗東・橋口弘次郎厩舎
キングカメハメハ 鹿毛 2001.3.20 種付け時活性値:1.25 |
Kingmambo 鹿毛 1990.2.19 |
Mr.Prospector 鹿毛 1970.1.28 |
★Raise a Native 1961.4.18 |
Gold Digger 1962.5.28 | |||
Miesque 鹿毛 1984.3.14 |
Nureyev 1977.5.2 | ||
Pasadoble 1979.4.1 | |||
マンファス 黒鹿毛 1991.2.23 |
ラストタイクーン 鹿毛 1983.5.9 |
トライマイベスト 1975.4.28 | |
Mill Princess 1977.5.21 | |||
Pilot Bird 鹿毛 1983.2.9 |
★Blakeney 1966.3.28 | ||
The Dancer 1977.3.31 | |||
ローズバド 青毛 1998.4.29 仔受胎時活性値:2.00(0.00) |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 種付け時活性値:0.75 |
★Halo 黒鹿毛 1969.2.7 |
Hail to Reason 1958.4.18 |
Cosmah 1953.4.4 | |||
Wishing Well 鹿毛 1975.4.12 |
Understanding 1963.2.17 | ||
Mountain Flower 1964.3.23 | |||
ロゼカラー 鹿毛 1993.2.15 仔受胎時活性値:1.00 |
Shirley Heights 鹿毛 1975 種付け時活性値:0.25 |
Mill Reef 1968.2.23 | |
Hardiemma 1969 | |||
ローザネイ 栗毛 1988.2.9 仔受胎時活性値:1.00 |
Lyphard 鹿毛 1969 種付け時活性値:0.50 |
||
Riviere Doree 栗毛 1980.4.11 仔受胎時活性値:1.75 |
<5代血統表内のクロス:Mill Reef5×4、Northern Dancer5・5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
キングカメハメハ (Mr.Prospector系) |
サンデーサイレンス (Halo系) |
Shirley Heights (Mill Reef系) |
Lyphard (Northern Dancer系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
キングカメハメハ (マンファス) |
5.75 or 3.75 |
母と祖母がJRA重賞勝ち馬 (No.1-w) |
3番仔 (3連産目) |
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
上り 3F |
馬体重 [前走比] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | ローズキングダム | 牡3 | 55 | 武豊 | 2:25.2 | 34.2 |
462 [-2] |
橋口弘次郎 | 4 | |
2 | 16 | ブエナビスタ | 牝4 | 55 | C.スミヨン | 2:24.9 | (1位降着) | 33.5 |
462 [+6] |
松田博資 | 1 |
3 | 2 | ヴィクトワールピサ | 牡3 | 55 | M.ギュイヨン | 2:25.2 | ハナ | 34.4 |
510 [0] |
角居勝彦 | 8 |
4 | 8 | ジャガーメイル | 牡6 | 57 | R.ムーア | 2:25.3 | 3/4 | 33.7 |
484 [0] |
堀宣行 | 7 |
5 | 7 | ペルーサ | 牡3 | 55 | 安藤勝己 | 2:25.3 | クビ | 33.5 |
510 [+8] |
藤沢和雄 | 3 |
2010年の第30回。第5回の勝ち馬であるシンボリルドルフ(1981.3.13)が30回の記念として東京競馬場に来場しました。当年とって29歳とは思えない若々しい姿に「サスガはルドルフ」という声も多く寄せられたそうな。そんなルドルフ来場に合わせたのか、ブエナビスタ(2006.3.14)が父スペシャルウィーク(1995.5.2)と共に「ルドルフとテイオーに続く2例目の父仔制覇」を遂げたかに見えたゴール直後。府中の杜に住まいし神様は、姫の斜行をよしとせず、意外な結末をもたらしました。ジャパンカップ史上初の1位降着、2着馬の繰り上がり優勝。
果たして、その忘れ物を取り返すことが出来るのか。絶景の物語の続きは、2011年11月27日日曜日の15時20分に。
*
という訳で、
- ジャパンカップの30年を辿る(其の壱)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の弐)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の参)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の四)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の五)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の六)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の七)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の八)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の九)
- ジャパンカップの30年を辿る(其の十)
と10回に渡り、お届けして参りました。
記事のストックが全くない状態で、思い付きで始めたら、エライしんどかった(苦笑)。でも、なんとか完遂しました。皆様、本当に有り難うございましたm(__)m
では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
コメント
オオハシさん、遅ればせながら、大作お疲れさまでした。そして見事に絶景の物語も、今年ハッピーエンドでした。すばらしい。