第28回マイルCS(GI)に出走予定の外国馬を確認(其の弐)。

イモータルヴァース 牝 鹿毛 2008.5.1生 愛国・キルフラッシュスタッド生産 馬主・R.C.ストロース氏 仏国・ロベール・コレ厩舎

イモータルヴァース(2008.5.1)の4代血統表
Pivotal
栗毛 1993.1.19
種付け時活性値:1.00
Polar Falcon
黒鹿毛 1987.6.1
Nureyev
鹿毛 1977.5.2
Northern Dancer 1961.5.27
Special 1969.3.28 ♀
Marie d’Argonne
栗毛 1981.3.21
Jefferson 1967
Mohair 1974.3.8
Fearless Revival
栗毛 1987.3.3
Cozzene
芦毛 1980.5.8
Caro 1967.4.11
Ride the Trails 1971.5.28
Stufida
鹿毛 1981.3.12
Bustino 1971
Zerbinetta 1970
Side of Paradise
鹿毛 1998.4.14
仔受胎時活性値:0.25

Sadler’s Wells
鹿毛 1981.4.11
種付け時活性値:0.00
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Fairy Bridge
鹿毛 1975.5.4
Bold Reason 1968.4.8
Special 1969.3.28 ♀
Mill Princess
鹿毛 1977.5.21
仔受胎時活性値:1.00
★Mill Reef
鹿毛 1968.2.23
種付け時活性値:0.00
Never Bend 1960.3.15
Milan Mill 1962.2.10
Irish Lass
鹿毛 1962
仔受胎時活性値:1.50
Sayajirao
黒鹿毛 1944
種付け時活性値:0.25
Scollata
鹿毛 1952
仔受胎時活性値:0.25

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×3、Special(♀)4×4、Lalun(♀)5×5(母方)、Nearco5×5(母方)>

イモータルヴァース(2008.5.1)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Pivotal
(Nureyev系)
Sadler’s Wells
(Northern Dancer系)
★Mill Reef
(Never Bend系)
Sayajirao
(Nearco系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Pivotal
(Cozzene)
3.00 伯父ラストタイクーン
(No.8-c)
5番仔?
(4連産目?)

*

では、以下にイモータルヴァースの簡単な近親牝系図を示しておきます。重賞の格付け等は施行当時のものです。

Mill Princess 1977.5.21 仏1勝
|ラストタイクーン 1983.5.9 英米仏8勝 BCマイル(米GI) スプリントチャンピオンシップ(英GI) キングズスタンド(英GI)ほか
|Astronef 1984.4.19 伊独仏英4勝 メルトン賞(伊GII) ゴルデネパイチェ(独GIII)2回ほか
|Save Me the Waltz 1986.5.8 仏1勝
||Valentine Waltz 1996.2.14 仏英愛3勝 仏1000ギニー(GI) ネルグウィンS(英GIII)ほか
||Sense of Style 2002.3.5 米3勝 メイトロンS(GI) スピナウェイS(GII)ほか
|The Perfect Life 1988.2.5 仏2勝 ボワ賞(GIII) ロベールパパン賞(GII)3着
||Najiya 1993.1.15 英2勝 チェヴァリーパークS(GI)3着
||Rabah 1995.1.25 英米5勝 ゴードンS(英GIII) グレートヴォルティジュールS(英GII)2着ほか
|Zelda 1990.5.26 仏1勝
||Zelding 1995.2.6 仏英独3勝 ボワ賞 グロシェーヌ賞(仏GII)3着ほか
||Zipping 1999.2.15 仏英香3勝 ロベールパパン賞 リゾランジ賞(仏GIII)ほか
||Nipping 2002.2.18 仏英香3勝 プティクヴェール賞(仏GIII) リゾランジ賞2着ほか
|Moon Flower 1994.4.8 愛2勝
||Fantastic Love 2000.1.14 豪英UAE4勝 クイーンエリザベスS(豪GII) サンダウンクラシック(豪GII)2着
|Tender is Thenight 1996.4.23 仏1勝
||Tie Black 2003.3.18 仏4勝 仏1000ギニー アスタルテ賞(GI)3着
|Side of Paradise 1998.4.14 仏伊2勝 フィユドレール賞(仏GIII)2着
||イモータルヴァース 2008.5.1 (本馬) ジャックルマロワ賞(仏GI) コロネーションS(英GI) サンドリンガム賞(仏GII)ほか

祖母Miil Princessとなると、サスガに豪華な近親となります。やはり伯父ラストタイクーンが馴染み深いですね。日本での種牡馬供用時にアローキャリー(1999.3.1)、オースミブライト(1996.4.10)、サダムブルースカイ(1999.4.26)の3頭、マル外馬としてオースミタイクーン(1991.3.23)、ケイウーマン(1990.2.13)の2頭、都合5頭のJRA重賞勝ち馬を送り込みました。懐かしいのはケイウーマン。現在は「モンテクリスエスの母」と言ったほうが通りが良いであろう彼女は、ユタカさんを背に、今はなき京都4歳特別(旧GIII)を逃げ切りました。レースの開催日を見れば1993年5月9日、お父さんが満10歳の誕生日でした。

*

仏英でGI2勝の3歳牝馬がマイルCSに挑みます、イモータルヴァース。ジャックルマロワ賞ではかのGoldikova(2005.3.15)、そしてサプレザ(2005.2.21)を抑えて勝利を収めました。

最後、ラチから内に切れ込みながら豪脚を発揮。むぅ、3歳牝馬らしからぬ、しっかりした脚色で伸びたもの。やるな。

中島理論的な見解からすると、イモータルヴァースは「Pivotal×★Sadler’s Wells×★Mill Reef×Sayajirao」と、4代血統構成のうち母父、祖母父と2回の0交配を用い、先祖を減らして資質の固定化を図っています。また、字面上Phalaris(1913)4系の累代配合ですが、0遺伝を複数回用いるなどして先祖を減らした同系交配は、牝馬の場合、成功するパターンも見られます。って、欧州芝型種牡馬のSadler’s WellsをNorthern Dancerの仔として考えた場合ですが。併せて、曾祖母父Sayajirao。母方の世代交代の進展が遅い為、21世紀も10年たった今でも、Nearco(1935.1.24)直仔のSayajiraoが現れたという構図です。今となっては、4代血統構成にSayajiraoを持つ馬はなかなか見当たりません。差し詰め、かつて中島氏がおっしゃったところの「アンティーク」でしょうか。ちなみに、Sayajirao自身は「★Nearco×★Dark Legend×St.Just×★Gallinule」と4回の世代交代の内、3回でミニモが用いられています。また、Sayajiraoは満16歳時の0交配で英セントレジャー馬インデイアナ(1961)を送り込みました。そう、タケホープ(1970.3.24)やカミノスミレ(1978.4.30)の父ですね。あ、いま名前を挙げた2頭もインデイアナの0遺伝馬でした(^_^;)。

なんだか、今日のイモータルヴァースと一昨日のサプレザは、久しぶりに中島理論的な見方をしたという感じが致します。やっぱり欧米の生産馬は、ガツンとはまると中島理論チックな馬も見られますので、ね。

#余談。Sayajiraoの名前を出したら、その全兄Dante(1942)にもチラと触れておきますか。英ダービー(現GI)馬Danteは、満8歳時の0遺伝で英2000ギニー(GI)馬Darius(1951)を輩出しました。Dante、Darius、Derring-Do(1961)、ハンターコム(1967)、ダイナコスモス(1983.3.25)、そしてトロットサンダー(1989.5.10)とつながります。

*

あと。イモータルヴァースを管理されるのはロベール・コレ調教師、そしてサプレザを管理されるのはロドルフ・コレ調教師。イモータルヴァースとサプレザ、コレは実は親子対決でもあります。果たして、どちらに軍配が上がるのか。コレも今回のマイルCSの楽しみのひとつですね。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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