意味無く英語のタイトルにするのは、やめましょう。という訳で、本日は明日のローズS(JpnII)に出走する主役候補2頭について。
牝系から緋色を受け継いで3代目。言わずと知れた2007年の桜花賞(JpnI)馬ダイワスカーレット(2004.5.13)。GI(現JpnI含)4勝を遂げている半兄ダイワメジャー(2001.4.8)に勝るとも劣らない素養の高さを見せています。なんと言っても、3歳牝馬で唯一ウオッカ(2004.4.4)に先着を果たしている馬です。春は、そのウオッカの日本ダービー(JpnI)挑戦により牝馬2冠は確実と目されたものの、残念ながら熱発によりオークス(JpnI)回避。その無念を秋に晴らすべく、改めて牝馬2冠を目指すべく、まずは秋華賞(JpnI)トライアル・ローズSに登場します。
それにしても、尊ぶべきはその母スカーレットブーケ(1988.4.11)。現役時代に重賞4勝を挙げて、引退レースとなったターコイズS(OP)を別定58kgで勝つなど競走馬として優秀な成績を収めた後、繁殖牝馬として皐月賞馬と桜花賞馬の母になったのは、ただただ「尊敬」です。そんなスカーレットブーケについて中島理論的な見解を示す時、真っ先に挙げられるのは、その父ノーザンテースト(1971.3.15)が満16歳時の0交配ということですね。
大馬の母というのは、その父から0交配を受けて、仔どもの能力を支えるのかもしれません。中島御大の著書「0の理論」でも例に挙げられていましたけれど、ミスターシービー(1980.4.7)の母シービークイン(1973.2.23)、シンボリルドルフ(1981.3.13)の母スイートルナ(1972.5.4)、ナリタブライアン(1991.5.3)の母パシフィカス(1981.5.29)。3頭の3冠馬の母は、いずれも、その父より満8歳時の0交配を受けています。
ダイワ兄妹も含めて、2000年代に入ってからのJRA活躍馬で母父が0交配となっている主立った馬を、年齢の古い順に挙げておくと、
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メイショウドトウ(1996.3.25)
→A ★x A A(母父Affirmed) -
エアシャカール(1997.2.26)
→A ★A C ★B(母父Well Decorated) -
タップダンスシチー(1997.3.16)
→B ★A ★A ★A(母父Northern Dancer) -
エイシンプレストン(1997.4.9)
→★A ★A B z(母父Monteverdi) -
シルクプリマドンナ(1997.4.22)
→A ★A D B(母父Northern Dancer) -
アグネスデジタル(1997.5.15)
→x ★A B B(母父Chief’s Crown) -
テイエムオーシャン(1998.4.9)
→A ★A A A(母父リヴリア) -
シンボリクリスエス(1999.1.21)
→A ★A y A(母父Gold Meridian) -
スティルインラブ(2000.5.2)
→A ★A A C(母父Roberto) -
ダイワメジャー(2001.4.8)
→A ★A z A(母父ノーザンテースト) -
シーザリオ(2002.3.31)
→A ★A ★A ★B(母父Sadler’s Wells) -
ダイワスカーレット(2004.5.13)
→A ★A z A(母父ノーザンテースト)
と、いったところですね。シーザリオ、タップダンスシチーの両馬は、母父、祖母父、曾祖母父と3代に渡って0交配という完全に仕掛け型の母を持っています(笑)。また、パッと名前を挙げて気付いたのですが、1997年生まれの活躍馬たちは、見事に母父に0交配を持った馬が揃っていますね。合わせて、史上2頭目のJRA牝馬3冠を達成したスティルインラブ。8月2日の死亡のニュースは驚きと悲しみが交錯しましたが、そんな彼女も母プラダマンテ(1986.2.16)がその父Roberto(1969)満16歳時の0交配を受けていました。あと、こうして見ると、名前を挙げた12頭のうち、メイショウドトウとシルクプリマドンナとダイワスカーレット以外の9頭は、いずれも複数GIを制している馬たちです。まま、GIで2着続きだったメイショウドトウは「目の上のタンコブ」がいなければ、複数GIを勝って当然の馬でしたが(苦笑)
果たして、ダイワスカーレットは「母父0交配」の多くの先輩たちに続いて、複数のGIを勝つことが出来るでしょうか。スリリングサンデー(1996.4.10)の弟はすでにGI4勝を挙げていますので、スリリングサンデーの妹にもぜひとも頑張って欲しいものです。
と、素養はありながらも脚部不安の為に大成を阻まれた兄の名前を出して、この緋色の一族の、淀コースへの適正を思いました。母スカーレットブーケは京都牝馬特別(現京都牝馬S、GIII)を勝ちエリザベス女王杯(GI)3着でしたし、兄ダイワメジャーはマイルCS(GI)1着、2着ですし、兄スリリングサンデーがトゥザヴィクトリー(1996.2.22)とナリタトップロード(1996.4.4)を破ったのは福寿草特別(芝2000m)でしたし、最後の勝利となった鳴滝特別(芝2400m)は2分24秒0という翌日の京都大賞典(GII)の勝ち時計を1秒上回る好時計でした。そして、ダイワスカーレット自身も、秋華賞と同じ淀芝2000mの新馬戦を勝ち上がり、シンザン記念2着があります。この一族にも、やっぱり合っているはずなんですよね、淀の池の周りは。
「むぅ。秋華賞は、やっぱり桜花賞の再現かな」と思ったところで、今日のもう1頭の主役の記事へと参りたいと思います。
◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△×
秋に昇るディクタス(1967.4.11)系。ディクタスの最良後継種牡馬サッカーボーイ(1985.4.28)の直仔でJRAGIを制している3頭、ナリタトップロード、ティコティコタック(1997.3.11)、ヒシミラクル(1999.3.31)。3頭に共通しているのは「いずれも淀のGIを制している」ことですね。まま、サッカーボーイ自身もマイルCS(GI)の勝ち馬ですが(笑)
という訳で、ナリタトップロードの娘、ベッラレイア(2004.2.27)。彼女は牝系からではなく、直父系の淀コースへの適正が高いと思います。合いそうなんですよね、やっぱり。彼女は、鮮烈だったデビューの新馬戦が淀のマイル戦でした。
また、かつての自分の記事を見ると、秋の淀の牝馬限定戦は「Phalaris系とHampton系のニック」に活躍馬が多いのでした。
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サンドピアリス(1986.5.17)
→C A C ★A (エリザベス女王杯) -
キョウエイタップ(1987.3.17)
→A C D ★C (エリザベス女王杯) -
タケノベルベット(1989.3.13)
→A C E A (エリザベス女王杯) -
ホクトベガ(1990.3.26)
→★A C A D (エリザベス女王杯) -
ティコティコタック(1997.3.11)
→C A A ★D (秋華賞)
出て来る馬がひと昔前という印象になった感もありますが、それでも示唆に富みます。ベッラレイアの4代血統構成を改めて示しておくと、
- 4代血統構成(各父):『ナリタトップロード×★Baldski×Argument×★Round Table』
→C ★A G ★B
という組み合わせです。Phalaris系とHampton系の返しニックは、ティコティコタックと同じです。また、上述した「母父0交配」に関して言えば、ベッラレイアも母マリスター(1991.3.21)がその父Baldski(1974)満16歳時の0交配を受けています。合わせて、4種父系の組み合わせを使った良い配合です。ベッラレイア、血統的な適正と能力の後押し、間違いなくあるのでした。
そして、個人的にはコンビ解消が残念ではあったのですが、鞍上が秋山真一郎騎手から武豊騎手へスイッチとなりました。淀の魔術師、タケユタカ(≠カネユタカオーの母)。思えば一昨年の秋華賞、エアメサイア(2002.2.4)で最後の最後にラインクラフト(2002.4.4)を捕らえたレース、あれは武豊騎手でなければ捕らえられなかったのではないでしょうか。秋華賞では、他にもファレノプシス(1995.4.4)で牝馬2冠を達成されたり、ファインモーション(1999.1.27)でぶっちぎり勝ちを収められたりしています。やっぱり、なんだ言いながら、武豊ですからね。ベッラレイア、騎手の後押しも得たのでした。
最後に。つい先日そのニュースを知って、今秋は「思い」の後押しもあるのではないかと感じています。同厩舎の同い年、こちらはテイエムオペラオー(1996.3.13)の娘であるミスベロニカ(2004.3.8)。本当に、とても残念に思ったのですが、彼女は、去る9月4日に頭を強打して急死していたんですね。ミスベロニカ、もしかしたらオペラオーの最高傑作になりえたかもしれない素質馬でした。ステーブルメイトであるオペラオーの娘とトップロードの娘が、くつわを並べて、同じレースで研鑽する姿。一度も見られなかったのは「残念」としか言いようがありません。本来はローズSに一緒に出走するはずだった僚馬の分も、この秋、ベッラレイアには頑張ってほしいものです。
ではでは、本日も長文乱文にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
コメント
ベッラレイアは続投でも良かった気がしますがねえ。
馬主さんはシーキングザパールと同じで、調教師にとっては初GI勝利がかかっていますからねえ。
実績に賭ける決断になったのも仕方がないのかなあと思います。
>ミスベロニカ
初戦で戦った相手が重賞連勝中です。かえすがえすも残念です。
◎much_better様
いつもお世話になっております。
ベッラレイア。まま、替わってしまったものは仕方なし。
せめて、ナリタトップロードの遺児がジーワン勝ち馬に
なってくれることを祈ります。
ミスベロニカ。新馬戦の相手、結果的に相当強かった。
テイエムオペラオー産駒の逸材、本当に残念です。
今は、願わくは、ベッラレイアの背中、天国から押してあげて。
ではでは、わざわざのコメントありがとうございました。