と問われたならば、「ダンサーズイメージ(1965.4.10)」と答えるかろむわんです。
ダンサーズイメージ。ケンタッキーダービー(現米GI)を投薬違反で失格、プリークネスS(現米GI)は進路妨害で3着から8着に降着。幻のケンタッキーダービー馬となったダンサーズイメージ。種牡馬となってからは流浪の旅が始まり、米国、愛国、仏国と渡り歩き、最後にたどり着いたのが日本の地でした。
それでもダンサーズイメージは欧州でも、米国でも、豪州でも、日本でも重賞勝ち馬を輩出したのですから大したものです。その主な産駒を列挙しておくと、
- Lianga(1971、♀、芦毛) ジャック・ル・マロワ賞(仏GI) ロベールパパン賞(仏GI)など重賞6勝
- Godswalk(1974、♂、芦毛) キングズスタンドS(英GI)など重賞3勝
- Saritamer(1971、♂、芦毛) ジュライC(英GII)など重賞5勝
- Sherby(1971、♂、芦毛) ミニッツマンH(米GII)
- Mistretta(1979、♀、芦毛) ブラックヘレンH(米GII)
- ロングレザー(1981.5.8、♀、芦毛) ローズS(GII)
- コクサイリーベ(1986.5.14、♀、芦毛) 報知杯4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー、GII)
- Lady’s Slipper(1976、♀、芦毛) サラブレッドクラブS(豪GIII)など重賞2勝
- Garozzo(1976、♂、芦毛) エスターテ賞(伊GIII)
- Smooth Dancer(1970、♂、黒鹿毛) ニューオリンズH(米GIII)
- シーブラック(1981.4.13、♂、芦毛) 札幌3歳S(現札幌2歳S、GIII)
むう、豪快に列挙してみました(笑)。他に印象深い日本の産駒はマックスフリート(1987.4.11)、ヘイセイシルバー(1988.4.11)、ホワイトジョーク(1985.5.19)などなどですね。調べた範囲では上記の11頭がいわゆる重賞勝ち馬なのですが、そのうち10頭までが芦毛という遺伝力の強さ。なお、ダンサーズイメージは芦毛ですが原毛色はホモ鹿毛のようで、彼の芦毛以外の産駒はすべて鹿毛系に出ています。栗毛および栃栗毛の産駒は1頭もいませんでした。
海外の血統馬にダンサーズイメージの名前を見つけると嬉しくなりますね。代表産駒に挙げた上位3頭の仔どもたちは、直仔に著名馬を出したり、代を経て著名馬を出したりしています。
- Lianga
- 種牡馬Mr.Greeley(1992)の祖母。クロフネ(1998.3.31)の半妹ミスパスカリ(2001.3.5)のお父さんが、Mr.Greeleyですね。
- Godswalk
- 両半球供用種牡馬として欧米、豪州で活躍。父系は南半球で少数ながらつながっている模様。
- Saritamer
- 英オークス(GI)馬Time Charter(1979)を輩出。Time Charterは「20世紀最後の牝馬の”キング・ジョージ”(英GI)勝ち馬」でもあります。
また、代を経て輩出した活躍馬ということでは、1995年の愛2000ギニー(GI)を制したSpectrum(1992)の祖母父がダンサーズイメージです。この馬の血統表を初めて見た時、「あ、ダンサーズイメージが入ってる。嬉しいなぁ」と思った記憶があります。
けっこう長文になりました。失敬仕りまして申し訳ありません。最後に私の希望を。ダンサーズイメージは母父として皐月賞(GI)馬ハクタイセイ(1987.4.17)と菊花賞(GI)馬レオダーバン(1988.4.25)を輩出しています。しかし、日本ダービー(GI)ではレオダーバンの2着が最上位の着順。ダンサーズイメージ牝馬も数少なくなってきましたけれど、なんとかダービー馬を輩出してほしいものです。3冠ブルードメアサイアー、それはカッコイイですよね。
以上でございます。ありがとうございました(と、言いながら↓に追記もあります。気力のある方はどうぞ)。
#追記。ダンサーズイメージの代表産駒として挙げたSaritamer。彼の母はIrish Chorus(1960)です。つまり、Saritamerはハワイアンドーン(1969.5.10)の半弟で、ハワイアンイメージ(1977.5.22)の叔父です。Saritamerとハワイアンドーンの曾祖母はDukes Delight(1946)という牝馬なのですが、この14号族Dukes Delightの牝系にまつわるお話は続きます(えー)。Saritamerの代表産駒として挙げたTime Charter、彼女が英オークスを制した時の2着がSlightly Dangerous(1979)。あら、また聞いた事がある牝馬が出て来ました。そうです、ウォーニング(1985.4.13)&コマンダーインチーフ(1990.5.18)兄弟のお母さんです。このSlightly Dangerousの曾祖母がDukes Delightなんですね。1982年の英オークスは、Dukes Delightを父の母方に持つ馬が1着、直牝系に持つ馬が2着という結果でした。
#追記の追記。って、まだ書くの(笑)。Time Charterは繁殖牝馬としてジョッキークラブS(英GII)を制したZinaad(1989)という牡馬を産みました。そのZinaadは種牡馬として英2冠牝馬Kazzia(1999.4.12)を輩出しました。競馬界では直牝系しか牝馬の血の継承については問われませんが、Time Charter、1代おいて孫の代に、自身と同じ英オークス馬を送りこんだ事には違いありません。
以上、これで本当に終了です。お付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。