メジロマックイーン(1987.4.3)。

春を迎えると、日々、馬の誕生日を思ってしまうオオハシでございます。という訳で、その日に生まれた馬を辿る企画を、今年2013年も毎週水曜日にお届けしたいと思いました。「自分と同じ年に生まれた馬を辿る」記事もありますが、こちらも併せてお届け致します。その第5回は「史上初の10億円馬」を。

メジロマックイーン 牡 芦毛 1987.4.3生~2006.4.3没 浦河・吉田堅氏生産 馬主・メジロ商事(株) 栗東・池江泰郎厩舎

メジロマックイーン(1987.4.3)の4代血統表

メジロティターン
芦毛 1978.3.22
種付け時活性値:0.00
メジロアサマ
芦毛 1966.2.23
パーソロン
鹿毛 1960
Milesian 1953
Paleo 1953
スヰート
芦毛 1951
First Fiddle 1939
Blue Eyed Momo 1944
シェリル
鹿毛 1971.5.15
スノッブ
鹿毛 1959
Mourne 1954
Senones 1952
Chanel
鹿毛 1961
Pan 1947
Barley Corn 1950
メジロオーロラ
栗毛 1978.3.8
仔受胎時活性値:2.00
リマンド
栗毛 1965.2.16
種付け時活性値:1.00
Alcide
鹿毛 1955
▲Alycidon 1945
Chenille 1940
Admonish
芦毛 1958
Palestine 1947
Warning 1950
メジロアイリス
黒鹿毛 1964.4.8
仔受胎時活性値:1.25
ヒンドスタン
黒鹿毛 1946
種付け時活性値:0.25
▲Bois Roussel 1935
Sonibai 1939
アサマユリ
栗毛 1959.3.17
仔受胎時活性値:1.00
★ボストニアン
栗毛 1950.5.13
種付け時活性値:0.00
トモエ
栗毛 1951.5.8
仔受胎時活性値:1.75

<5代血統表内のクロス:なし>

メジロマックイーン(1987.4.3)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
メジロティターン
(My Babu系)
リマンド
(Blandford系)
ヒンドスタン
(Bois Roussel系)
ボストニアン
(The Tetrarch系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
メジロティターン
(EX.P)
6.00 半兄メジロデュレン
(No.7-c アストニシメント系)
5番仔
(5連産目)

*

第51回菊花賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 2 メジロマックイーン 牡3 57 内田浩一 3:06.2    47.5 484
[+4]
池江泰郎 4
2 1 ホワイトストーン 牡3 57 柴田政人 3:06.4 1.1/4 46.8 450
[0]
高松邦男 2
3 18 メジロライアン 牡3 57 横山典弘 3:06.6 1.1/2 47.4 516
[0]
奥平真治 1
4 9 メルシーアトラ 牡3 57 河内洋 3:06.9 2 47.1 492
[0]
小野幸治 6
5 5 ツルマルミマタオー 牡3 57 田島信行 3:07.3 2.1/2 47.9 482
[+4]
橋口弘次郎 5

兄メジロデュレン(1983.5.1)に続けとばかりに嵐山S(準OP)を制して菊花賞に挑むはずだったメジロマックイーン。その嵐山Sでまさかの2着に敗れたことで、陣営は鞍上の交代も考えられたとか。そんな中、「メジロのおばあちゃん」こと北野ミヤ氏の「1回のミスで交代は可哀相」の一声で、引き続きの鞍上となった内田浩一騎手。意気に感じない訳もなく、その恩に報いた結果が、史上3組目の兄弟菊花賞制覇につながりました。

*

第103回天皇賞・春(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 15 メジロマックイーン 牡4 58 武豊 3:18.8 タイ
レコード
47.7 482
[-6]
池江泰郎 1
2 9 ミスターアダムス 牡6 58 本田優 3:19.2 2.1/2 47.6 468
[+2]
星川薫 7
3 10 オースミシャダイ 牡5 58 松永昌博 3:19.3 3/4 48.4 462
[-6]
武邦彦 12
4 1 メジロライアン 牡4 58 横山典弘 3:19.3 ハナ 47.7 516
[-6]
奥平真治 2
5 14 キリサンシー 牡6 58 田中勝春 3:19.4 1/2 48.8 466
[-8]
西塚安夫 6

「(メジロ)ティターンの仔で天皇賞を勝て」。メジロ牧場創始者・北野豊吉氏の遺言が果たされたのは、逝去から7年後、1991年の春のこと。祖父メジロアサマ、父メジロティターンに続いて、史上初の「父仔3代天皇賞制覇」の偉業達成。武豊騎手は口取り式で豊吉氏の遺影を掲げられたのでした。

*

第105回天皇賞・春(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 5 メジロマックイーン 牡5 58 武豊 3:20.0    48.2 490
[-2]
池江泰郎 2
2 7 カミノクレッセ 牡5 58 田島信行 3:20.4 2.1/2 48.2 498
[+2]
工藤嘉見 4
3 8 イブキマイカグラ 牡4 58 南井克巳 3:21.3 5 48.6 444
[-8]
中尾正 3
4 3 ホワイトアロー 牡5 58 田原成貴 3:21.5 1 49.2 492
[-4]
小野幸治 11
5 14 トウカイテイオー 牡4 58 岡部幸雄 3:21.7 1.1/4 49.7 480
[0]
松元省一 1

「世紀の対決」と喧伝された1992年の天皇賞・春。7戦全勝のトウカイテイオー(1988.4.20)VS前年覇者のメジロマックイーン。その結果は、メジロマックイーンが「史上初の天皇賞・春連覇」を果たし、武豊騎手に「天皇賞・春4連覇」をもたらしたのでした。なお、メジロマックイーンが満4歳以降に出走したレースのうち、1番人気を他馬に譲ったのは、この1992年の天皇賞・春だけでした。

*

第34回宝塚記念(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 6 メジロマックイーン 牡6 56 武豊 2:17.7    38.0 494
[-6]
池江泰郎 1
2 2 イクノディクタス 牝6 54 村本善之 2:18.0 1.3/4 37.7 470
[+6]
福島信晴 8
3 1 オースミロッチ 牡6 56 松本達也 2:18.1 1/2 38.6 498
[-6]
中尾正 10
4 9 セキテイリュウオー 牡4 56 南井克巳 2:18.4 1.3/4 38.3 458
[+2]
藤原敏文 9
5 4 アイルトンシンボリ 牡4 56 柴田政人 2:18.5 3/4 38.4 480
[0]
畠山重則 5

天皇賞・春3連覇を阻まれたメジロマックイーンでしたが、その代わりに、同門の同期生であるメジロライアン(1987.4.11)、メジロパーマー(1987.3.21)に続く「メジロ勢宝塚記念3年連続勝利」を果たしました。そしてまた、メジロマックイーン自身「4年連続GI制覇」を遂げたのでした。

*

第28回京都大賞典(GII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 1 メジロマックイーン 牡6 59 武豊 2:22.7 コース
レコード
35.7 496
[+2]
池江泰郎 1
2 9 レガシーワールド せん4 58 河内洋 2:23.3 3.1/2 36.3 490
[+4]
森秀行 2
3 10 オースミロッチ 牡6 58 松本達也 2:23.3 アタマ 36.3 490
[0]
中尾正 5
4 6 シャコーグレイド 牡5 57 南井克巳 2:24.2 5 36.4 464
[-4]
矢野照正 6
5 4 トーワナゴン 牝4 55 岸滋彦 2:24.8 3.1/2 37.0 446
[-2]
佐山優 7

王者が迎えた満年齢6歳秋。京都芝2400m、その勝ち時計は2分22秒7。同い年のオースミロッチ(1987.4.20)が持っていたコースレコード2分24秒6を1秒9も縮める大レコード。次走でジャパンカップ(GI)を制するレガシーワールド(1989.4.23)を0秒6差、3馬身2分の1離しての圧勝劇は、それまで叫ばれていた「スピード不足」を払拭するに充分なパフォーマンスでした。

恐るべしは、メジロイズムの結晶。齢重ねて衰えるどころか、なお成長を続けたその様。私は、「最強古馬の姿」というと、夕陽に照らされた白い馬体が淀の緑の芝を悠然と駆けた、1993年の京都大賞典を思い出すばかりです。

*

死して後、その偉大さが再認識されることもあります。厩舎の後輩であるステイゴールド(1994.3.24)が父となり、娘たちとの間にできた仔ら。ドリームジャーニー(2004.2.24)、オルフェーヴル(2008.5.14)、ゴールドシップ(2009.3.6)。言わずもがなのGI馬たち。血統的な見解は色々あれど、端的な「Phalaris系とTourbillon系のニックス」の好例が立て続けに現れています。

世界的にも貴重なTourbillon(1928)系の父系を育てて来られた日本の馬産は、なんだ言いながら、大したものです。日本のホースマンの皆様は、先人から受け継いできた血の積み重ねを、もっともっと、誇りに思って良いのでしょう。惜しむらくは、その日本で育んだTourbillon系の血が、父系としては風前の灯火になったことですが、それもまた、経済動物の定めなのかも知れません。

せめて私にできることは、メジロマックイーンがこの世に生を受け、そして天に召された日に、その記録と記憶を辿ること。競馬者として最初期に出会ったスーパーホース、メジロマックイーン。眼を瞑れば、「白、緑一本輪、緑袖」の勝負服を乗せたまだら模様の芦毛馬が、緑の芝の上を疾走する姿が蘇ります。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

*

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