朱夏の青春。

見ているこちらも思わずもらい泣きをしてしまう熱戦でした。「何に?」と問われたならば、全国高校野球選手権大会の準決勝第2試合、駒大苫小牧対大阪桐蔭の一戦。前年の全国高校野球選手権大会の優勝校と屈指の左腕辻内崇伸投手を擁する西の横綱。結果は、延長10回の戦いの末、6対5で駒大苫小牧に軍配が上がりました。

かたや、駒大苫小牧。北海道の厳しい冬のハンディを乗り越えて2年連続で本大会決勝まで進出するという選手たちの精神力は素晴らしいですね。改めて戦歴を振り返ると、予選と本大会通じて、今日の試合も含めて11試合連続無失策という守りの堅さ。相手打者がフライを上げた時はもちろん、ゴロを打たせれば鉄壁の内野陣。特に印象に残ったプレーは三塁手の五十嵐大選手。2回裏に大阪桐蔭5番打者の中田翔選手が放ったライン際の強烈な打球を、横っ飛びの逆シングルハンドで掴んだ反応の鋭さ。思わず「うまい!!」と声を出してしまいました。打撃は水物ですから、いかに強力打線でも相手投手の出来によっては打つ事が容易ではありません。けれど、守備は「練習はウソをつかない」ものですからね。あのプレーを見た時、すでに駒大苫小牧が5点先取している時点でしたが、「あー、これは試合が決まったなあ」と、思ってしまいました。私は関西人ですけれど、明日の決勝戦も頑張ってほしいと願っています。2年連続で、真紅の大優勝旗が津軽海峡を渡るならば、それは痛快。

こなた、大阪桐蔭。6回まで駒大苫小牧の田中将大投手に1安打に抑えられていましたが、7回、8回と粘って同点まで追いついたのはサスガに西の横綱。それでも、最後は力尽きてしまいました。辻内投手、試合後に号泣していました。それは泣けるよね。序盤は調子が上がらなかったものの、尻上がりに調子を上げ、連投でしたが今日も最速150km/hを計測していました。恐るべしは、その左腕から繰り出される剛球。9回表に駒大苫小牧9番打者の小山佳祐選手を三振に取った時の直球は149km/h。しびれました。敗れはしたものの、超高校級の力は存分に示してくれました。これからも野球人生は続くのでしょう。今日の敗北は明日の糧になる事を信じて、胸を張って帰ってください。あと、10回裏に最後の打者となってしまった4番打者の平田良介選手。「フルスイングが持ち味の自分が、最後にフルスイングできなかったことに悔いが残る」と、甲子園の土は持って帰らなかったそうです。準々決勝の対東北戦では1試合3本塁打、14塁打の記録を残したスラッガー。彼もまた、これから野球人生が続くのでしょう。甲子園の舞台で、今度は木製バットで、あの豪快なスイングをもう一度見せてください。

勝者は明日の戦いに備えて、充分に静養してください。敗者はこれからの人生に備えて、しばしの休息を取ってください。若者たちよ、今日は本当にお疲れ様でした。

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