表題件について、簡単に下調べをしておきたいと思います。 以下、ジャパンカップはJCと略します。
まずはなんと言っても目玉である今年の”キング・ジョージ”(英GI)、凱旋門賞(仏GI)の勝ち馬であるディラントーマス(2003.4.23)について……、って書いていたら、出走取り止めですやん(苦笑)。今年は、改めて、馬の生き物としての難しさを考えさせられる年になりましたね。
という訳で、ディラントーマスについて日中書いていた文章がちょっとした長文になりました。せっかくですので、以下に記しておきます。
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
デインヒル (Danzig系) |
Diesis (エタン系) |
Mount Hagen (Bold Ruler系) |
Francis S. (Royal Charger系) |
8代残牡先祖数 (7代残牡先祖数) |
4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない血etc |
1/128 (1/64) |
★A ★x A A (0.50) |
0.50 | Mount Hagen |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
Mount Hagen (Bois Roussel) |
4.50 |
半姉Queen’s Logic (No.9-C) |
8番仔? (?) |
本格的な血統解析は、数多ある良サイト群でなさってくださるはずですので、この辺境ブログでは偏屈な情報をお届けしておきます。
どうでもいいような情報だと思いますが、4月23日生まれの馬は、過去26回の開催のうち、
- 第11回 ゴールデンフェザント(1986.4.23)
- 第13回 レガシーワールド(1989.4.23)
- 第17回 ピルサドスキー(1992.4.23)
と、3頭が勝ち馬となっています。実は、JC勝ち馬の誕生日としては、最も多い日付です。
さて、この3頭の中でディラントーマスとの更なる共通性を見出すならば、やはりお茶目な重戦車、ピルサドスキーでしょう。両頭に共通するのは、
- 海外招待馬の目玉(=最も高度な戦績)
- その年の愛チャンピオンSの勝ち馬で、”キング・ジョージ”および凱旋門賞の連対馬
- 字面上Phalaris系4本掛けの配合
- 直祖父Danzigの0化
- 残牡先祖の極少化
と言ったところでしょうか。中島理論的には3.~5.が注目する点ですね。
では、比較のためにディラントーマスとピルサドスキーの両頭について、その4代血統構成を見ると、
馬名 (生年月日) |
父×母父×祖母父×曾祖母父[太字は最優性先祖] |
---|---|
ディラントーマス (2003.4.23) |
★デインヒル×★Diesis×Mount Hagen×Francis S. |
ピルサドスキー (1992.4.23) |
Polish Precedent×Troy×★Mill Reef×Sir Gaylord |
と、いずれも字面上Phalaris(1913)系4本掛けの配合であることが分かります。ついで、両頭の4代血統構成の、それぞれの系統をざっくりと見ると、
馬名 (生年月日) |
父系×母父系×祖母父系×曾祖母父系 |
---|---|
ディラントーマス (2003.4.23) |
Danzig系×Native Dancer系×Bold Ruler(Nasrullah)系×Royal Charger系 |
ピルサドスキー (1992.4.23) |
Danzig系×Fairway系×Never Bend(Nasrullah)系×Turn-to(Royal Charger)系 |
と、4系のうち3系の系統と配置が同一となっています。
また、両頭の直祖父のDanzig(1977)は、各々の父であるデインヒル(1986.3.26)、Polish Precedent(1986)に満8歳時の0交配を与えていることにより、その時点でDanzig以前の先祖が不存となっています。なんだ言いながら、Northern Dancer(1961.5.27)を0で持っているのは良いポイントです。
最後に、ディラントーマスは父デインヒル、母父Diesis(1980)が直接0遺伝を与えており8代残牡先祖数が「1/128」という極少数、ピルサドスキーも上手くクロスが折り重なり「5/128」という極少数まで減っています。中島理論的には同系交配馬で走る馬のパターンと目される純粋化がなされた配合と言えるでしょう。
本当に簡単に見てみましたが、中島理論的にピルサドスキーとの比較で見ても、その能力の高さには折り紙がつくディラントーマス。やはり、唯一懸念されるのは「JCが年内10走目」であることでしょう。しかも、10月7日に凱旋門賞、10月27日にブリーダーズカップ・ターフと連戦で高レベルの戦いを経てのJC参戦です。果たして、料的遺伝値「4.50」で耐えられるのか、否か。なお、比較で紹介したピルサドスキーは、JCが年内8走目、10月5日に凱旋門賞、10月18日に英チャンピオンSに出走した後、11月23日にJC出走となりました。そんな彼の料的遺伝値は「6.25(or4.25)」です。
果たして、ディラントーマスの走りや、いかに。
と書いていたら、出走取り止め。いや、難しいものですね。
◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△×
ではでは、他の招待馬は五十音順にご紹介したいと思います。
まずは、米国のクレメントL.ハーシュ記念ターフチャンピオンシップ(GI)の勝ち馬、アルティストロワイヤル(2001.3.31)から。
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
デインヒル (Danzig系) |
Manila (Lyphard系) |
Irish River (Riverman系) |
Wild Risk (Rabelais系) |
8代残牡先祖数 (7代残牡先祖数) |
4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない血etc |
/128 (/64) |
A A A ◆B (0.75) |
Wild Risk | |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
Manila (Agathe) |
3.75 or 1.75 |
全姉Aquarelliste (No.8-F) |
5番仔? (5連産目?) |
全姉Aquarelliste(1998)はガネー賞(仏GI)、仏オークス(GI)、ヴェルメイユ(仏GI)賞とGI3勝で凱旋門賞2着もある名牝です。
配合面では、軽快な芝血統の積み重ねの裏に、曾祖母父に渋くWild Risk(1940)が配されているところがポイントでしょうか。日本の配合馬では、曾祖母父に1940年生まれの馬を見ることは、ほとんどありませんからね。底力を与えているのでしょう。
◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△×
続いて、ラインランドポカル(独GI)の勝ち馬、サデックス(2003.3.3)。
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Sadler’s Wells (Northern Dancer系) |
Irish River (Riverman系) |
Northfields (Northern Dancer系) |
Sir Ivor (Sir Gaylord系) |
8代残牡先祖数 (7代残牡先祖数) |
4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない血etc |
/128 (/64) |
A(SW) A A A (1.00) |
||
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
Sadler’s Wells | 4.50 |
伯父デノン (No.8-F Best in Show系) |
2番仔? (2連産目?) |
牝系は泣く子も黙る8号族Best in Show(1965)系ということで、フサイチパンドラ(2003.2.27)とも同牝系ですね。はは、フサイチパンドラは昨年のJCでも同牝系のフリードニア(2002.2.22)が出走していましたね(笑)。まま、裏を返せばこの牝系が世界的に活力があるということの証左でもあります。言わずもがなですが、昨年のベルモントS(米GI)勝ち馬Jazil(2003.2.11)、その妹で今年のベルモントSの勝ち馬Rags to Riches(2004.2.27)、今年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬Peeping Fawn(2004.1.15)等もBest in Showの曾孫です。なお、この3頭はいずれも祖母にケンタッキーオークス(米GI)馬Blush with Pride(1979)を持っています。
配合面では、「Sadler’s Wells×Never Bend系牝馬」という定石のニックがなされていますね。
◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△×
そして、前走アークトライアル(英GIII)を制して挑む重賞3勝の3歳馬、ハリカナサス(2004.3.15)。
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Cape Cross (Danzig系) |
Relaunch (Intent系) |
Majestic Prince (Raise a Native系) |
Free America (Blenheim系) |
8代残牡先祖数 (7代残牡先祖数) |
4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない血etc |
/128 (/64) |
A D ★x F (0.25) |
Free America | |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
Relaunch (Beadah) |
4.75 |
曾祖母Prides Profile (No.4-R) |
8番仔? (3連産目?) |
曾祖母Prides Profile(1963)は66戦9勝の女丈夫で、ガゼルH(現ガゼルS、米GI)、ダイアナH(現米GI)、スカイラーヴィルS(現米GIII)、アスタリタS(現米GIII)の勝ち馬です。また、伯父Palace March(1984)はコーンハスカーH(米GII)の勝ち馬です。
配合面では、父が昨年3着のウィジャボード(2001.3.6)と同じCape Cross(1994)です。ハリカナサスは、父Cape Crossの活性値0.25ポイント、祖父Green Desert(1983)の活性値0.50ポイントにより、乗算活性値が0.125となるため、Green Desert以前の先祖がイエロー0化されています。また、上で示した通り、4代血統構成がいずれも別父系の扱いとなる組み合わせですね。良い。
◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△× ◎○▲△×
最後に、JC2勝のサー・マイケル・スタウトが送る、プリンセスオブウェールズS(英GII)の勝ち馬、ペイパルブル(2003.3.29)。
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
モンジュー (Sadler’s Wells系) |
Zafonic (Mr.Prospector系) |
Roberto (Hail to Reason系) |
Lucky Mel (Hyperion系) |
8代残牡先祖数 (7代残牡先祖数) |
4代血統構成 (資質固定指数) |
潜在能力値 | 少ない血etc |
/128 (/64) |
A(SW系) x ★A C (0.33) |
Lucky Mel | |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 何番仔? |
Lucky Mel (Mialuna) |
4.75 |
祖母Mamaluna (No.2-O) |
? |
その父Roberto(1969)が満16歳時の0交配を受けた祖母Mamaluna(1986.2.22)は、ナッソーS(現英GI、当時英GII)の勝ち馬で英オークス(GI)3着もあります。
配合面では「モンジュー×Mr.Prospector系牝馬」の配合です。「モンジュー×Gone West牝馬」の組み合わせで、一昨年の英ダービー(GI)馬Motivater(2002.2.22)が輩出されていますが、ペイパルブルの母父がGone West(1984)の直仔Zafonic(1990)であることにより、Motivatorに近しい組み合わせですね。また、中島理論的には4代血統構成が「ホエールボーン・バージョン(3種父系+1種父系0化)」となっています。
ではでは、今日はこんなところで。長文乱文にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。