別路線からの挑戦者が持つ闘志。

第58回毎日王冠(GII)。

1着チョウサン(2002.2.18)。前走ニューマーケットC(準OP)1着から挑んで来た挑戦者。馬場中央を堂々と抜け出したその姿は、8番人気馬のそれとは思えませんでした。

ストーミーカフェ(2002.3.24)が逃げて作り出したペースは1000m通過が57秒5という快ラップ。勝ち時計1分44秒2は、ダイタクバートラム(1998.4.2)が持つ1分44秒1の日本レコードまで0秒1差、コース改修前からの毎日王冠レコードだったネーハイシーザー(1990.4.27)の1分44秒6を0秒4更新する超抜の時計でした。ダテや酔狂では、この時計で1馬身抜け出せないでしょう。

(父)チョウサン 牡 鹿毛 2002.2.18生 平取・坂東牧場生産 馬主・長山尚義氏 美浦・清水利章厩舎

  1. 4代血統構成(各父):『★ダンスインザダーク×サッカーボーイ×★スリルショー×Damascus』
  2. 4代血統構成(父系):『Halo系×Fine Top系×Northern Dancer系×Sword Dancer系』
  3. 5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5×5
  4. 牝系:5号族Rough Shod系
  5. 母の何番仔?:初仔

ダンスインザダーク(1993.6.5)が0交配か否かは微妙なところですけれど、祖母父スリルショー(1998.1.27)は祖母マイプロフィール(1992.3.25)に0を与えていると思います。そして、やはり母ステイヤング(1997.5.16)の初仔というところでしょうか。また、「ダンスインザダーク×サッカーボーイ牝馬」の組み合わせでは、天皇賞・秋(GI)2着で安田記念(GI)を勝ったツルマルボーイ(1998.3.5)を思います。ああ、彼も母ツルマルガール(1991.2.11)の初仔でしたね。

2着アグネスアーク(2003.4.25)。大外を追い込みましたが2着まで。母父ベリファ(1976.2.28)と気付いて、開幕週に強いLyphard(1969.5.10)系を思いました。札幌記念(GII)2着、毎日王冠2着と力は付けています。あと一歩。

3着ダイワメジャー(2001.4.8)。ゴール後、安藤勝己騎手がクビを傾げられていたように見受けました。手応えほど伸びなかったのか、ダイワメジャー。王者でいられる期間は短い故に王者は尊いのか、6歳秋。

第42回京都大賞典(GII)。

1着インティライミ(2002.4.6)。ツメの不安が無くなれば、太陽が見えずとも。長いトンネルを抜けると太陽祭であった、てな感じでしょうか。日本ダービー(現JpnI)でディープインパクト(2002.3.25)の2着に入ってから、2年半。やっとの思いで復活。そして、次走は日本ダービーと同じ府中芝2400mのジャパンカップ(GI)に照準を合わせているということ。楽しみにしましょう。

ところで、インティライミの鞍上の佐藤哲三騎手。レース後、関西TVの岡安譲アナウンサーが聞き手となった勝利騎手インタビューに対する返答の素っ気無いこと。エ●カ様ですか(笑)。まま、あれはあれで面白かったのですが。

2着ポップロック(2001.3.19)。四位洋文騎手が終始4番手で最内からレースを運び、直線もそのまま最内を突いて2着。彼が大外ぶん回しだけではないところ、重賞で久しぶりに見ました。それにしても、ポップロックという馬は、いつでも一所懸命に走るところが素晴らしい。健気。

3着アルナスライン(2004.2.18)。骨折休養明けで初の古馬相手の一戦が別定GII。これはよく頑張りました。今回は和田竜二騎手の騎乗でしたが、サスガに柴山雄一騎手が京成杯(現JpnIII)3着の後「どこの競馬場でも乗りに行きますから」と、松元茂樹調教師に懇願されただけはあります。ひと昔前の11月初頭の菊花賞(現JpnI)であれば別路線からの挑戦者ということで重いシルシを回したいところ。中1週で挑まれるかどうかが気になりますが、「妙味あり」とは思います。

以上、ディープインパクト世代が見事に勝利を収めた、東西の伝統GIIの結果でした。ではでは♪

追記。なお、柴山雄一騎手は笠松競馬から中央移籍をされたことで知られていますが、学年でいうと、和田竜二騎手らと同学年です。「競馬学校花の12期生」の主要なメンバーと同学年ということですね。まま、私ことオオハシとも同学年とも言います(苦笑)。頑張ってるなぁ、同期生たち。負けずに頑張りたいところです。

さらに追記。先日の記事で気になる2歳馬として名前を挙げたピースキーパー(2005.1.13)。本日の京都の新馬戦(芝1800m)でデビュー勝ちを収めました。クビの上げ下げ、わずかにハナ差制しました。良い根性を見せてくれました。お見事でした。

コメント

  1. much_better より:

    サンデーサイレンスとディクタスのニックスは素晴らしいですね。
    netkeibaで調べると、父サンデーサイレンス×母父ディクタスの組み合わせの代表はステイゴールド。賞金なしは15頭中、たったの1頭。重賞勝ち馬は地方も含めて4頭。
    父サッカーボーイ×母父サンデーサイレンスの代表はアイポッパー。賞金なしは9頭中2頭。
    父ダンスインザダーク×母父サッカーボーイの代表はツルマルボーイ。netkeibaに登録されている6頭が全て賞金を稼いでいます。

    メジロマックイーンとの相性も良かったり(ヤマニンメルベイユ、ホクトスルタン、ドリームジャーニー)、サンデーサイレンスは非主流血脈との相性がいいですね。

  2. オオハシ より:

    ◎much_better様
    いつもお世話になっております。

    >SS系×ディクタス系
    これはニックですよね。私がWebで競馬サイトに触れた時、
    もう8年前ですが、その時から「SS×ディクタスは底力の増す良い配合」と
    おっしゃっていた方がいました。まさにその通り。

    SSをPhalaris系と見なすならば、Phalaris系とHampton系のニックスの好例が
    多く揃っていることになります。

    チョウサン。次も楽しみにしたい馬です。

    >SS系×メジロマックイーン
    社台SSで仲良しだったという2頭の組み合わせ。マックは、やはりというか、
    ブルードメアサイアーとして重要な存在になりつつあると思います。もちろん、
    父としてもホクトスルタンやマイネルヘンリーたちに期待をしていますけれど。

    なんだ言いながら社台さんはHerod系を種馬場に導入して、ちゃんと結果を
    残していらっしゃる。サスガです。

    SSの和合性の高さは驚異的ですけれど、主流血脈と異系血脈の
    組み合わせはやはり良い効果をもたらす。改めて、そう思います。

    ではでは、わざわざのコメント、ありがとうございました♪

  3. much_better より:

    てっちゃんの勝利騎手インタビューをyoutubeで見ましたよ。
    自信満々で完璧に差しきったと思っているところを「よく届きましたね」とか、「どの辺で届くと思いましたか」とか聞かれて、聞き手と受け手がチグハグでしたね。
    途中に言った「これで完全復活ですね」ぐらいからインタビューを始めていたら良かったんですが。
    まあ、チグハグ感が見事に伝わるインタビューで面白かったですが。

    >主流と異系
    配合の基本ですね。カードの種類を残しておかないとこのような良い組み合わせを見逃してしまうことになり、大きな損失です。

    (余談:サンデーサイレンスとディクタスのニックスはサンデーサイレンス産駒がデビューした少なくともごく初期から(デビュー前から言っていたかどうかまでは知らない)IKが相性がいいと主張していたことを覚えています。
    ブライアンズタイムとマルゼンスキーの組み合わせも良いと主張してきましたが、こちらは大物感のある仔が数多く出るものの大物は出ませんでした。大物感のある馬がこれからというときに故障してしまう不運もありましたが(マルゼンスキーからくる脚元のもろさもあったかも)。
    父系の観点からは父サンデーサイレンス×母父ディクタスの方が望ましいですね。IKが同様にニックスであると主張している父ブライアンズタイム×母父Mr. Prospector(系)ではGI馬が3頭も出て成功していますが、こちらはPhalaris×アメリカンダミーであり、父系の観点からの異系交配です。)

  4. オオハシ より:

    ◎much_better様
    いつもお世話になっております。

    >てっちゃん
    まま、やはり、かなりネタになっているようで、
    私のこのブログへの検索ワードも「佐藤哲三」
    「インタビュー」「岡安」等でお見えになる方が
    多くいらっしゃいます。

    まま、私は「どっちもどっち」と思いました(笑)

    >カードの種類
    手札を残しておかなければ、切りようがありません。
    SS系だけでは、ね……。

    >IK
    おお、サスガに、なんだ言いながら、イイ狙い。

    SS×ディクタスは、ステイゴールド他でかなり実証。
    BT×マルゼンスキーは、ヒダカブライアンが……。
    BT×Mr.Prospectorは、まま、言わずもがなですね。

    ではでは、わざわざのコメント、誠にありがとうございました♪

  5. much_better より:

    >ヒダカブライアン
    そうです。ヒダカブライアンのことです。

    ちなみに同じくRoberto系のリアルシャダイとも母父マルゼンスキーはIK的ニックスが成立すると思いますが、この組み合わせでは最後のステイヤー、ライスシャワーが出ています。

    この現象を中島理論的に見るなら、まずは「血とコンプレックス」より『父のリアルシャダイは母の父にマッチェム系のインリアリティを有し、浄化された血を一代限り遺伝することができる仕掛け型の種牡馬』であることが考えられるかもしれません(と言ってもブライアンズタイムも母父Northern Dancer系でGI馬を何頭も出しているので、こちらも個別に解釈する必要があるかもしれません)。
    もう一つ考えるなら、当時は母父としてのマルゼンスキーが希少であったこともあるかもしれないなあと思いました(多分、母父マルゼンスキーの最初のGI馬)。

    >サンデーサイレンス×ディクタス
    サンデーサイレンスがPhalaris系なら単純にPhalarisとHamptonのニックスですが、ダミー説を信じるならTeddy系になります。
    しかし、TeddyもPhalarisと同じくBend Or系なので、Phalaris系に準じる形で考えてもいいのかもしれませんね。
    ちなみにTeddy系とHampton系のニックスからは過去にはOmaha、Citationと2頭の米三冠馬が出ました。

  6. オオハシ より:

    ◎much_better様
    いつもお世話になっております。

    >ヒダカブライアン
    彼は中島理論的には
    「★ブライアンズタイム×★マルゼンスキー×イースタンフリート×チャイナロック」
    という魅惑の配合馬でもありましたね。12号族ビューチフルドリーマー系の末えい。

    現年齢表記3歳最終戦の六甲S。幸騎手を背に先行して4馬身差勝ちを収めた時は
    「復活」と思ったのですが……。惜しかった。

    >母父マルゼンスキー
    おっしゃるとおり、ライスシャワーは母父マルゼンスキーの
    最初のGI勝ち馬です。母ライラックポイントはホリスキーと同い年で
    マルゼンスキーの初年度産駒ですね。父系の長子継承はよく言われますが、
    若い時に輩出した牝駒がよい繁殖牝馬になる傾向もよく見られますね。

    なお、母父にマルゼンスキーを持つ、JRAの平地GI(現JpnI含む)の勝ち馬を
    年齢の古い順に並べると、

    1.ライスシャワー
    2.スエヒロジョウオー
    3.ウイニングチケット
    4.メジロブライト
    5.スペシャルウィーク
    6.プリモディーネ
    7.メジロベイリー

    の7頭ですね。

    IK的な考え方は範ちゅう外のことですけれど、
    種牡馬は父系と共に実は母父系も大切なのではないかと
    思います。リアルシャダイの母父In Realityのように。
    ここら辺は、かつて住之江琵琶子さんが展開されていた
    B-typeの考え方に感化されたところです。

    上のマルゼンスキーの代表産駒たちの父を見ても、

    1.リアルシャダイ → Roberto×In Reality
    2.トウショウペガサス → ダンディルート×ヴェンチア
    3.トニービン → カンパラ×Hornbeam
    4.メジロライアン → アンバーシャダイ×メジロサンマン
    5.サンデーサイレンス → Halo×Understanding
    6.アフリート → Mr.Prospector×Venetian Jester
    7.サンデーサイレンス → Halo×Understanding

    と、いずれの種牡馬も母父系に異系と目される種牡馬が配されていますね。

    >Omaha、Citation
    わざわざのご紹介、ありがとうございました。勉強になりました。

    ではでは、返信が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。

  7. much_better より:

    >母父マルゼンスキーのGI馬

    見事な表ですね。母父が猛烈にマイナーです。
    そして当時の主流父系の成功種牡馬が母父となったときにどのような種牡馬を要求したのかが見事に出ているように思います。

    2.マイナー父系
    3.父の供用初年度産駒
    4.父の供用初年度産駒
    5.ゼロ交配and父系はダミー?
    6.父の日本での供用初年度産駒
    7.父系はダミー?(4の半弟)
    ですね。含蓄に富んでいるように思います。

  8. オオハシ より:

    ◎much_better様
    いつもお世話になっております。わざわざのコメント、ありがとうございました。

    >母父マルゼンスキーのGI馬
    むぅ、サスガの返しの表。重ねてありがとうございました。

    これは示唆に富みますね。
    「マイナー」「初年度」「ダミー」など、
    結局「数が少ない」という要素のフォローが
    必要なのかとも思ってしまいます。

    また、折を見て、他の種牡馬たちも調査し直してみたいと思いました。
    サジェスチョン、ありがとうございました。

    ではでは、折り返しが遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

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