ブリーダーズカップ・ワールド・サラブレッドチャンピオンシップ2006

という訳で、久しぶりの更新は、2006年の米国のブリーダーズ・カップにおける各レースの勝ち馬について。

【ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)の勝ち馬:Invasor(2002.8.3)】

  • 4代血統構成(各父):『Candy Stripes×★Interprete×Cipayo×Crown Thy Good』
  • 4代血統構成(父系):『Blushing Groom系×Nasrullah系×Alycidon系×Ribot系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『10/128(3.30)』

BCクラシック。1番人気のBernardini(2003.3.23)を1馬身交わして勝利を収めたのは2005年のウルグアイ3冠馬、Invasor。その鞍上は今年のベルモントS(米GI)をJazil(2003.2.11)で制した、弱冠というにも年齢の足らない18歳の若き天才、フェルナンド・ハラ騎手でした。なお、レースの3着はPremium Tap(2002.3.16)。また、2007年からJBBAで供用されることが発表されたDavid Junior(2002.4.18)は競走を中止しています。Premium TapとDavid Juniorは、共にPleasant Tap(1987)の仔です。

Invasorの父Candy Stripes(1982)はその母バブルカンパニー(1977.4.5)ということでバブルガムフェロー(1993.4.11)の半兄として知られていますね。母父Interprete(1988)はNashua(1952.4.14)に遡るNasrullah(1940.3.2)系です。Invasorの牝系は英国から亜国に受け継がれた14号族。詳しくは海外競馬に通じていらっしゃる方の解説を確認願います(苦笑)。

#いま思えば、いかに斤量差があったとはいえ、BCクラシックを含めて米GIを4連勝したInvasorにUAEダービー(GII)で先着を果たしたフラムドパシオン(2003.5.6)は偉い馬ですね。その復帰を気長に待ちたいと思います。

【ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)の勝ち馬:Red Rocks(2003.4.8)】

  • 4代血統構成(各父):『Galileo×★Machiavellian×Fairy King×Riva Ridge』
  • 4代血統構成(父系):『Sadler’s Wells系×Mr.Prospector系×Northern Dancer系×Turn-to系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『5/128(3.75)』

BCターフ。11頭立てとなったレースを制したのはL.デットーリ騎手を鞍上に据えたただ1頭の3歳牡馬、Red Rocks。Red Rocksは重賞初制覇がBCターフとなりました。半馬身差の2着は2004年のBCターフの勝ち馬で2005年のジャパンカップにも出走した7歳せん馬ベタートークナウ(1999.2.25)、さらに2と4分の1馬身差の3着には4歳牡馬English Channel(2002.4.10)。

Red Rocksの血統表に現れる字面だけを追うと、Sadler’s Wells(1981.4.11)とFairy King(1982.3.4)の全兄弟クロスが2×3、Mr.Prospector(1970.1.28)4×3のクロスが目に付きます。けれど、父Galileo(1998.3.30)がその父Sadler’s Wellsの0交配馬、母Pharmacist(1996)が母父Machiavellian(1987)の0交配馬と、いずれも上手に0化がなされています。むぅ、サスガ。

【ブリーダーズカップ・ディスタフ(米GI)の勝ち馬:Round Pond(2002.5.21)】

  • 4代血統構成(各父):『Awesome Again×Trempolino×Green Dancer×ダイアトム』
  • 4代血統構成(父系):『Deputy Minister系×エタン系×Nijinsky系×Sicambre系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『17/128(8.50)』

BCディスタフ。1番人気のFleet Indian(2001.3.8)、2番人気のPine Island(2003.4.19)が競走中止してしまった波乱の一戦を制したのはRound Pond。さらに波乱に輪をかけて、2位入線のAsi Siempre(2002.3.26)が4位降着となり、3位入線のHappy Ticket(2001.2.1)が繰り上がり2着、4位入線のティンバーカントリー(1992.4.14)産駒Balletto(2002.3.22)が繰り上がり3着となりました。

Round Pondの血統で目が付いたのは、祖母Coral Dance(1978)ですね。このマルセルブサック賞(仏GI)2着の牝馬は、米GI3勝のナスルエルアラブ(1985)、英2000ギニー(GI)馬Pennekamp(1992)、愛2000ギニー(GI)馬Black Minnaloushe(1998)という3頭のGI勝ち馬の母となりました。

【ブリーダーズカップ・マイル(米GI)の勝ち馬:Miesque’s Approval(1999.3.3)】

  • 4代血統構成(各父):『Miesque’s Son×With Approval×Hoist the Flag×Gulf-Weed』
  • 4代血統構成(父系):『Mr.Prospector系×フォルティノ系×Ribot系×Hyperion系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『18/128(4.50)』

BCマイル。7歳牡馬のMiesque’s Approvalが2着の4歳牡馬Aragorn(2002.3.26)に2と4分の3馬身差を付けての快勝でした。BCターフ2着のベタートークナウもそうですが、1999年生まれ世代、「まだまだ若い者には負けん」と気を吐いています。 なお、レースの3着は2着馬とクビ差だった6歳牡馬Badge of Silver(2000.3.25)でした。また、サンデーサイレンス(1986.3.25)産駒の日本産馬Silent Name(2002.2.6)はよく頑張って逃げ粘りましたが小差の6着でした。

【ブリーダーズカップ・スプリント(米GI)の勝ち馬:Thor’s Echo(2002.2.19)】

  • 4代血統構成(各父):『Swiss Yodeler×★Mr.Integrity×★Time to Explode×King’s Bishop』
  • 4代血統構成(父系):『Damascus系×Mr.Prospector系×Nearctic系×Round Table系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『13/128(3.25)』

BCスプリント。米国短距離の大一番を制したのは、今回が初の重賞制覇となったThor’s Echoでした。4馬身差の2着はFriendly Island(2001.1.10)、さらに半馬身差の3着がNightmare Affair(2001.3.15)。1番人気のヘネシー(1993)産駒Henny Hughes(2003.4.5)は見せ場なく最下位に敗れてしまいました。

【ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ(米GI)の勝ち馬:ウィジャボード(2001.3.6)】

  • 4代血統構成(各父):『Cape Cross×Welsh Pageant×★Silly Season×Alycidon』
  • 4代血統構成(父系):『Danzig系×Owen Tudor系×Tom Fool系×Blenheim系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『16/128(4.00)』

BCフィリー&メアターフ。L.デットーリ騎手を鞍上に据えた1番人気の5歳牝馬ウィジャボードが、2着の6歳牝馬Film Maker(2000.3.13)に2と4分の1馬身差の快勝を収めました。3着だった5歳牝馬Honey Ryder(2001.2.5)は2着馬から遅れることクビ差でした。なお、ウィジャボードは2004年1着、2005年2着、そして2006年1着と、BCフィリー&メアターフを3年連続連対を果たしました。ウィジャボードはこれでGI7勝目。第19代ダービー卿の持ち馬、偉い。

【ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(米GI)の勝ち馬:Street Sense(2004.2.23)】

  • 4代血統構成(各父):『Street Cry×★Dixiland Band×★His Majesty×Reviewer』
  • 4代血統構成(父系):『Mr.Prospector系×Northern Dancer系×Ribot系×Bold Ruler系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『11/128(3.63)』

BCジュヴェナイル。終わってみれば10馬身差という大圧勝となったStreet Sense。2着に1番人気のサンダーガルチ(1992.5.23)産駒Circular Quay(2004.2.26)、3着がさらに2と4分の1馬身差でGreat Hunter(2004.3.31)。

Street Senseの牝系を遡ると、4代母がLianga(1971)です。ジャック・ル・マロワ賞(仏GI)など重賞6勝の名牝Liangaの父は、流浪の名種牡馬ダンサーズイメージ(1965.4.10)。ダンサーズイメージが大好きな私にとっては、その血が流れているStreet Senseの勝利は嬉しい出来事でした。

【ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI)の勝ち馬:Dreaming of Anna(2004.2.5)】

  • 4代血統構成(各父):『Rahy×Broad Brush×Lear Fan×L’Enjoleur』
  • 4代血統構成(父系):『Blushing Groom系×Himyar系×Roberto系×Tom Fool系』
  • 8代残牡先祖数(潜在能力値):『13/128(6.50)』

BCジュヴェナイルフィリーズ。1番人気に応えたDreaming of Annaはこれでメイドンから4戦4勝。1と2分の1馬身差の2着にはOctave(2004)、さらに1と4分の1馬身差の3着にCotton Blossom(2004.2.26)という結果でした。

結局、Blushing Groom(1974.4.8)の直孫となる2歳牝馬の勝利から始まり、同じくBlushing Groomの直孫となる4歳牡馬の勝利で終わった、2006年のブリーダーズカップでした。

ではでは♪

<Web Resource>

コメント

  1. すみのえ より:

    Red Rocksのヤクザ配合はすごいね。
    これは0遺伝知らないと作れない配合でしょ。
    Coronation以来の超過激配合かも?!

    0遺伝ってやっぱすごいわ。

  2. オオハシ より:

    ◎すみのえ様
    おお、わざわざのコメント恐れ入ります。お久しぶりでございます。凱旋門賞出走時のディープインパクトはガレていたと思う同士、オオハシでございます(苦笑)。

    >ヤクザ配合
    海外の生産者さんは、時折「あー、もう絶対に狙っているなぁ」と思わせる配合をなさいます。

    私がそれを強烈に思ったのは、1998年の米2冠馬Real Quiet(1995)の父Quiet American(1986)の血統を確認した時でした。まま、Real Quietからして、Quiet Americanが満8歳時の0交配馬ですが(笑)。

    Quiet AmericanはDr.Fager2×3のクロス、Cequillo4×3の牝馬クロスを持つ強烈な近親交配馬。しかし、Quiet Americanはその父Fappiano(1977)が満8歳時の0交配馬です。結果、いま述べた2つのクロスを見事に「0化」しています-牝馬クロスは中島理論的には弊害のないクロスとして認識されますが-。

    Red Rocksも、恐らくは狙われたんでしょうね。私も思いました。

    ではでは♪

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