『シーザリオ祭』がさめやらぬ競馬Web界ですが、このblogでは「しれっ」と企画を上梓しておきます。別サイトの方々が充分にフォローしてくださいますものね。シーザリオ(2002.3.31)、偉い。
さて、近年の活躍馬について、ニックスによる簡単な分類をしてみようという企画です。その第3回はPhalaris(1913)系×Hampton(1872)系。
このニックは、かつて「Nearco(1935.1.24)×Hyperion(1930.4.30)」の組み合わせが「アンチニック(あるいはネガティヴニック)」と呼ばれた事もあったそうです。なかなか活躍馬が出なかった。けれど、その配合から晩年にNearctic(1954.2.11)が生まれ、NearcticからNorthern Dancer(1961.5.27)が輩出されました。
PhalarisとHamptonは共にWhalebone(1807)の分枝となり、分枝がまだ浅かった時代(概ね1940年代まで)には、上記のアンチニックが発生したようです。しかし現在では分枝が進み、有力なニックとなっています。今回改めて日本の活躍馬を調べてみると、かなり有効なニックである事が伺えました。
このニックにおける日本のGI級の活躍馬とその戦績をざっと挙げてみますと、
【牡馬・せん馬】
ミスターシービー(1980.4.7) 牡馬3冠 天皇賞・秋
スピードシンボリ(1963.5.3) 天皇賞・春 有馬記念2回 宝塚記念
トウショウボーイ(1973.4.15) 皐月賞 有馬記念 宝塚記念
テンポイント(1973.4.19) 天皇賞・春 有馬記念 阪神3歳S
グリーングラス(1973.4.5) 菊花賞 天皇賞・春 有馬記念
スーパークリーク(1985.5.27) 菊花賞 天皇賞・春 天皇賞・秋
タマモクロス(1984.5.23) 天皇賞・春 天皇賞・秋 宝塚記念
ヒシミラクル(1999.3.31) 菊花賞 天皇賞・春 宝塚記念
ダイナガリバー(1983.3.23) 日本ダービー 有馬記念
アイネスフウジン(1987.4.10) 日本ダービー 朝日杯3歳S
メリーナイス(1984.3.22) 日本ダービー 朝日杯3歳S
ウィナーズサークル(1986.4.10) 日本ダービー
ハイセイコー(1970.3.6) 皐月賞 宝塚記念
セイウンスカイ(1995.4.26) 皐月賞 菊花賞
エリモジョージ(1972.3.17) 天皇賞・春 宝塚記念
ニホンピロウイナー(1980.4.27) 安田記念 マイルCS2回
サッカーボーイ(1985.4.28) マイルCS 阪神3歳S
ステイゴールド(1994.3.24) 香港ヴァーズ
ツルマルボーイ(1998.3.5) 安田記念
オフサイドトラップ(1991.4.21) 天皇賞・秋
マサラッキ(1993.4.14) 高松宮記念
マイネルレコルト(2002.5.10) 朝日杯FS
マイネルマックス(1994.4.13) 朝日杯3歳S
ワールドクリーク(1995.4.25) 東京大賞典
【牝馬】
トウメイ(1966.5.17) 天皇賞・秋 有馬記念
ダイイチルビー(1987.4.15) 安田記念 スプリンターズS
アドラーブル(1989.3.28) オークス
ホクトベガ(1990.3.26) エリザベス女王杯
タケノベルベット(1989.3.13) エリザベス女王杯
キョウエイタップ(1987.3.17) エリザベス女王杯
サンドピアリス(1986.5.17) エリザベス女王杯
ティコティコタック(1997.3.11) 秋華賞
シンコウラブリイ(1989.2.2) マイルCS
ファストフレンド(1994.5.12) 帝王賞 東京大賞典
むむ。これは濃いメンバーが揃いました。ミスターシービーにTTG、スピードシンボリにタマモクロス、スーパークリーク、ヒシミラクル。GI3勝以上のスーパーホースたちが、くつわを並べています。特にTTGがいずれもこのニックから輩出されている事は示唆に富みます。時代ということもありますけれど、よくよく考えなければなりませんね。
あと、牝馬はエリザベス女王杯および秋華賞の勝ち馬に、ずらっとこのニックが並びました。菊花賞や天皇賞・春もそうですが、Hampton系は淀のGIによく似合う感じがしますね。
コメント
ニックスの企画、すごく面白いですね。
Hampton系が母系に入っているとそれだけで「おっ、底力注入」という印象を受けてしまいます。とくに、淀のG1ではおっしゃるとおりHampton系の血を持つ馬が活躍する傾向にあると思います。
日本の競馬を見てると、Turn-to系とNorthern Dancer系もニックだなあという感じがしますが、こちらは近すぎてちょっとキモチワルクないです?
以前はインターメゾやシャトーゲイの名前が当たり前のように見受けられましたが、最近母父Hampton系って減りましたよね。血統表見てると、20年ぐらい前のほうがよほどバリエーションに富んでてちょっとショック受けます。
◎blandford様
毎度おおきにご機嫌さんでございます。
Hampton系は淀のヨーロピアンなテーストに合うのかな、なんて取り止めのないことを思っています。古式ゆかしい京都の雰囲気に欧州伝来の血統がマッチする、とでも言いましょうか(笑)。
冗談はさておき、blandford様のページでも菊花賞とHampton系の結びつきを示されているように、この系統はなにかしら淀に合うのでしょうね。
Nearco系どうしのニックは、近視眼的なニックと考えています。一代競走馬を送り込む時にはそれでも良いのですが、どうしても血統がその馬の中で完成されてしまう為、次代につながりにくい交配の印象を持っています。
血のカードの多様性は、日本の馬産界において、近年薄れてきていますよね。まず売れる馬をつくろうと思ったら、コマーシャルベースに上がる馬どうしの配合にならざるを得ないのでしょう。とすると、上で挙げた近視眼的なニックになってしまう。致し方がないとも思いますが、Hampton系種牡馬であるサッカーボーイやナリタトップロード、ヒシミラクル、セイウンスカイ等に頑張ってもらいましょう。
長いレスですみません。以上でございま~す。