マチカネフクキタル(1994.5.22)。

春を迎えると、日々、馬の誕生日を思ってしまうオオハシでございます。という訳で、その日に生まれた馬を辿る企画を、今年2013年も毎週水曜日にお届けしたいと思いました。その第12回は「森秀行調教師に『20世紀の最強馬』と言わしめた馬」を。

マチカネフクキタル 牡 栗毛 1994.5.22生 浦河・信成牧場生産 馬主・細川益男氏 栗東・二分久男厩舎

マチカネフクキタル(1994.5.22)の4代血統表
クリスタルグリッターズ
鹿毛 1980.5.30
種付け時活性値:1.25
Blushing Groom
栗毛 1974
Red God
栗毛 1954.2.15
Nasrullah 1940.3.2
Spring Run 1948
Runaway Bride
鹿毛 1962
Wild Risk 1940
Aimee 1957
Tales to Tell
鹿毛 1967.3.18
Donut King
黒鹿毛 1959.2.8
Determine 1951
Strayed 1945
Fleeting Doll
鹿毛 1961.3.15
Fleet Nasrullah 1955.5.8
Chinese Doll 1949
アテナトウショウ
栗毛 1981.4.1
仔受胎時活性値:1.00
トウショウボーイ
鹿毛 1973.4.15
種付け時活性値:1.75
テスコボーイ
黒鹿毛 1963
Princely Gift 1951
Suncourt 1952
ソシアルバターフライ
鹿毛 1957.4.13
Your Host 1947
Wisteria 1948
グレイトウショウ
芦毛 1974.3.27
仔受胎時活性値:1.50
シルバーシャーク
芦毛 1963
種付け時活性値:0.50
▲Buisson Ardent 1953.2.21
Palsaka 1954
ローズトウショウ
鹿毛 1965.4.13
仔受胎時活性値:2.00
テューダーペリオッド
栃栗毛 1957
種付け時活性値:1.75
ワカシラオキ
鹿毛 1960.4.15
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:Nasrullah4・5×5、Alibhai5×5>

マチカネフクキタル(1994.5.22)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
クリスタルグリッターズ
(Blushing Groom系)
トウショウボーイ
(Princely Gift系)
シルバーシャーク
(Relic系)
テューダーペリオッド
(Hyperion系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
トウショウボーイ 5.50 シスタートウショウと同牝系
(No.3-l フロリースカップ系)
8番仔
(8連産目)

*

第45回神戸新聞杯(GII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 4 マチカネフクキタル 牡3 56 南井克巳 2:00.0    35.2 500
[-2]
二分久男 2
2 8 サイレンススズカ 牡3 56 上村洋行 2:00.2 1.1/4 36.5 438
[+6]
橋田満 1
3 7 トウジントルネード 牡3 56 福永祐一 2:00.9 4 36.4 480
[+2]
北橋修二 5
4 5 ナムラキントウン 牡3 56 秋山真一郎 2:00.9 クビ 36.9 520
[0]
野村彰彦 4
5 6 テイエムトップダン 牡3 56 和田竜二 2:00.9 アタマ 36.9 500
[+16]
岩元市三 8

*

第45回京都新聞杯(GII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 1 マチカネフクキタル 牡3 57 南井克巳 2:13.1    34.2 510
[+10]
二分久男 1
2 8 パルスビート 牡3 57 四位洋文 2:13.2 3/4 34.5 438
[0]
安田隆行 3
3 6 メジロブライト 牡3 57 松永幹夫 2:13.3 1/2 34.1 456
[+2]
浅見秀一 2
4 3 ステイゴールド 牡3 57 熊沢重文 2:13.5 1.1/2 34.7 412
[-4]
池江泰郎 7
5 2 エリモダンディー 牡3 57 河北通 2:13.5 クビ 34.5 412
[-8]
大久保正陽 5

*

第58回菊花賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 4 マチカネフクキタル 牡3 57 南井克巳 3:07.7    33.9 512
[+2]
二分久男 3
2 7 ダイワオーシュウ 牡3 57 柴田善臣 3:07.9 1 34.4 456
[+10]
二ノ宮敬宇 7
3 14 メジロブライト 牡3 57 松永幹夫 3:07.9 ハナ 34.1 464
[+8]
浅見秀一 2
4 15 トキオエクセレント 牡3 57 吉田豊 3:07.9 クビ 34.0 446
[-12]
高橋裕 8
5 16 シルクジャスティス 牡3 57 藤田伸二 3:08.1 1 34.1 462
[+4]
大久保正陽 1

*

最後方からの大外強襲を見せた神戸新聞杯、中団待機から馬場中央を突き抜けた京都新聞杯、そして道中5番手の内ラチ沿いを進み4角でワンテンポ遅らせて追い出し差し切った菊花賞と、怒涛の重賞3連勝を遂げた、マチカネフクキタル。夏の福島のさくらんぼSから数えると4連勝での戴冠は、私に「連勝している時のBlushing Groom系は恐ろしいな」と思わせてくれました。

そんなマチカネフクキタルによって、「マチカネ」の冠名で知られた故・細川益男オーナーの、馬主歴31年目のGI初制覇は成されました。また、管理された二分久男調教師にとっても、ノースガスト(1977.3.17)による1980年の菊花賞以来、17年ぶりのGI級レースの勝利でした。

振り返ってみれば、私、マチカネフクキタルが制した菊花賞を現地で観戦していたのでした。持っていた馬券はマチカネフクキタルとシルクジャスティス(1994.3.18)の馬連1点だけ。4角の入り口辺りに居た私は、最後の直線で、「ふじたぁ!!」と何度も叫んでいました。

#余談。私だけの思い込みと思いますが、映像ソースによっては、4角で「ふじたぁ!!」と叫んでいる声が拾われています(笑)

*

ノースガストの記事でも触れましたけれど、1997年の秋はマチカネフクキタル、シンカイウン、テイエムオオアラシと、二分厩舎のマイナー血統馬が「これでもか」と活躍しましたね。

1997年当時活躍した二分久男厩舎の重賞勝ち馬について
馬名
(生年月日)
[F No.]
母の
何番仔?
4代血統構成
母父 祖母父 曾祖母父
GI マチカネフクキタル
(1994.5.22)
[3-l フロリースカップ系]
8番仔
(8連産目)
クリスタルグリッターズ トウショウボーイ シルバーシャーク テューダーペリオッド
GIII シンカイウン
(1992.3.16)
[16-a]
2番仔
(不受胎後)
シンチェスト ハギノカムイオー ハードツービート Wild Risk
GIII テイエムオオアラシ
(1993.4.18)
[12 ビューチフルドリーマー系]
初仔
(不受胎後)
★セクレファスター ハギノカムイオー クラウンドプリンス ハードリドン

シンカイウンが朝日CC(GIII)で先鞭をつけた後、マチカネフクキタルが上述の神戸新聞杯、京都新聞杯、菊花賞の3連勝、そしてテイエムオオアラシがカブトヤマ記念(旧GIII)と福島記念(GIII)の2連勝と、9月以降に重賞6勝の荒稼ぎでした。記録を辿ると、テイエムオオアラシも野分特別、スカイブルーS(準OP)、カブトヤマ記念、福島記念と4連勝を飾っていました。

また、シンカイウンとテイエムオオアラシの母父は共にハギノカムイオー(1979.4.1)。ハギノトップレディ(1977.4.4)の記事で、ハギノカムイオーの長命に触れましたが、記事掲載後の4月10日、残念ながら老衰で亡くなりました。満34歳の大往生でした。

*

マチカネフクキタルはファンからの公募馬名だったそうですが、同じように公募馬名だった「笑う門には福来たる」の相方である同期生も、一緒に紹介しておきます。

マチカネワラウカド 牡 栗毛 1994.4.20生 浦河・大島牧場生産 馬主・細川益男氏 栗東・高橋隆厩舎

マチカネワラウカド(1994.4.20)の4代血統表
スキャン
鹿毛 1988.3.10
種付け時活性値:1.25
Mr.Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native
栗毛 1961.4.18
Native Dancer 1950.3.27
Raise You 1946
Gold Digger
鹿毛 1962.5.28
Nashua 1952.4.14
Sequence 1946
Video
鹿毛 1983.5.9
Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
Northern Dancer 1961.5.27
Flaming Page 1959.4.24
Foreseer
黒鹿毛 1969.4.12
Round Table 1954.4.6
Regal Gleam 1964.3.17
オオシマリアナ
栗毛 1977.3.29
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
セントクレスピン
栗毛 1956
種付け時活性値:1.00
Aureole
栗毛 1950
Hyperion 1930.4.18
Angelola 1945
Neocracy
黒鹿毛 1944
★Nearco 1935.1.24
Harina 1933
パールリアナ
栗毛 1972.2.10
仔受胎時活性値:1.00
★Pall Mall
栗毛 1955
種付け時活性値:0.00
Palestine 1947
Malapert 1946
Wichuraiana
栗毛 1963
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
Worden
栗毛 1949
種付け時活性値:1.25
Excelsa
栗毛 1949
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:なし>

マチカネワラウカド(1994.4.20)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
スキャン
(Mr.Prospector系)
セントクレスピン
(Aureole系)
★Pall Mall
(Fair Trial系)
Worden
(Wild Risk系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
スキャン 6.25 or 4.25 or 2.25 半兄グリンモリー
(No.22)
12番仔
(4連産目)

密やかにリーディング上位に名を連ねていたクセモノ種牡馬スキャンの代表産駒の1頭である、マチカネワラウカド。ウインターS(現東海S、GII)でエムアイブラン(1992.4.22)を負かしたのが印象的でした。その後も白山大賞典(現JpnIII)、東海菊花賞(当時統一GII)と交流重賞を2つ勝ったのですから、お見事。

細川オーナーにもファンにも「笑う門には福来たる」をもたらしたマチカネワラウカドとマチカネフクキタル。

共に勝利した重賞は3つ、そして勝利した最後のレースが「菊花賞」であったのは、不思議な結び付きでした。

*

閑話休題。

1994年生まれ世代は役者が揃っていて好きな世代のひとつなのですが、世代の「最も強い馬が勝つ」と言われる菊花賞を制したマチカネフクキタル、満3歳夏から秋の煌めきは本当に強烈でした。

晩秋の淀にて目の前で見た、黒いメンコに黒の帽子、「赤、青二本輪、青袖赤二本輪」の勝負服を乗せた栗毛の疾走。これからも、忘れずに思い出して行きたいと思います。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

*

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