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カントリー牧場が閉場 ウオッカなど活躍馬生産【新ひだか】

タニノハローモア 牡 黒鹿毛 1965.4.23生~1985.10.15没 静内・カントリー牧場生産 馬主・谷水信夫氏 栗東・戸山為夫厩舎

タニノハローモア(1965.4.23)の4代血統表

ハロウェー
黒鹿毛 1940
種付け時活性値:0.00
Fairway
鹿毛 1925
Phalaris
黒鹿毛 1913
Polymelus 1902
Bromus 1905
Scapa Flow
栗毛 1914
Chaucer 1900
Anchora 1905
Rosy Legendj
黒鹿毛 1931
★Dark Legend
黒鹿毛 1914
Dark Ronald 1905
Golden Legend 1907
Rosy Cheeks
黒鹿毛 1919
St.Just 1907
Purity 1903
ジョオー
栗毛 1954.3.31
仔受胎時活性値:0.50
Borealis
栗毛 1941
種付け時活性値:1.00
Brumeux
鹿毛 1925
Teddy 1913
La Brume 1917
Aurora
栗毛 1936
Hyperion 1930.4.18
Rose Red 1924
ダーバリー
鹿毛 1946
仔受胎時活性値:1.75
Scottish Union
黒鹿毛 1935
種付け時活性値:0.50
Cameronian 1928
Trustful 1924
Chaser
鹿毛 1940
仔受胎時活性値:1.25
Foxhunter
栗毛 1929
種付け時活性値:0.50
Blanquette
黒鹿毛 1925
仔受胎時活性値:1.50

<5代血統表内のクロス:Fairway=Pharos2×5>

タニノハローモア(1965.4.23)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
★ハロウェー
(Fairway系)
Borealis
(Teddy系)
Scottish Union
(Pharos系)
Foxhunter
(Son-in-Law系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Borealis
(La Brume)
5.00
(No.12-f)
7番仔?
(7連産目?)

*

第35回日本ダービー(現GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 調教師
1 1 タニノハローモア 牡3 57 宮本悳 2:31.1    戸山為夫 9
2 15 タケシバオー 牡3 57 森安弘明 2:31.9 5 三井末太郎 2
3 5 アサカオー 牡3 57 加賀武見 2:32.1 1.1/2 中村広 3
4 20 マーチス 牡3 57 保田隆芳 2:32.2 クビ 伊藤修司 1
5 7 ジンライ 牡3 57 笹倉武久 2:32.7 3 田中和夫 6

1968年7月7日に行われた第35回日本ダービー。この年の日本ダービーは、東京競馬場のスタンド改築工事に伴い、7月7日の七夕に行われたのでした。そんな七夕ダービーで、マーチス(1965.5.11)、タケシバオー(1965.4.23)、アサカオー(1965.5.12)の3強対決に「待った」を掛けるかのように逃げ切ったのが、タニノハローモア。皐月賞馬マーチスと同じカントリー牧場の第1期生から、日本ダービー馬が送り込まれたのでした。

タニノハローモアを管理されたのは、当時36歳、開業5年目の戸山為夫調教師。谷水信夫オーナーと共に、鍛錬を積み重ねて強い馬を作るという理念を具現化されました。谷水信夫オーナーの、所謂「スパルタ調教」に応えたタニノハローモアやマーチス、後のタニノムーティエ(1967.5.9)&タニノチカラ(1969.4.14)兄弟等の活躍については、「開場間もないカントリー牧場の若い土地の力が寄与した(大意)」ということを、戸山師の本で読んだ記憶があります。

閑話休題。タニノハローモアは、実は相当に強い馬で、満2歳8月のデビューから満4歳3月の引退までで通算30戦を戦い[9-5-5-11]。18戦目で初の重賞制覇となった日本ダービー以降も朝日CC(現GIII)、京都杯(現京都新聞杯、GII)、中京記念(現GIII)と重賞勝ちを収めています。また、11回の着外も4着7回、5着2回、6着2回。6着2回は皐月賞(現GI)、菊花賞(現GI)。ほとんどのレースで掲示板を外すことのない、堅実な強豪だったのです。

そしてまた、ウソかホンマか分かりませんが、谷水信夫オーナーは、サラブレッドの配合について、かのリディア・テシオに教えを請うたそうな(→参考)。中島理論的には、ハロウェー満24歳時の0交配によって生み出されたのが、タニノハローモアでした。

*

タニノムーテイエ 牡 栗毛 1967.5.9生~1991.2.9没 静内・カントリー牧場生産 馬主・谷水信夫氏 栗東・島崎宏厩舎

タニノムーテイエ(1967.5.9)の4代血統表

ムーテイエ
栗毛 1958.3.16
種付け時活性値:0.00
Sicambre
黒鹿毛 1948
Prince Bio
鹿毛 1941
Prince Rose 1928
Biologie 1935
Sif
黒鹿毛 1936
Rialto 1923
Suavita 1928
Ballynash
鹿毛 1946
Nasrullah
鹿毛 1940.3.2
Nearco 1935.1.24
Mumtaz Begum 1932
Ballywellbroke
黒鹿毛 1933
Ballyferis 1927
The Beggar 1916
タニノチエリ
栗毛 1963.6.20
仔受胎時活性値:0.75
テイエポロ
鹿毛 1955.4.17
種付け時活性値:1.75
Blue Peter
栗毛 1936
Fairway 1925
Fancy Free 1924
Trevisana
鹿毛 1945
Niccolo Dell’Arca 1938
Tofanella 1931
シーマン
栗毛 1951
仔受胎時活性値:0.75
Able Seaman
黒鹿毛 1943
種付け時活性値:1.75
Admiral’s Walk 1936
Charameuse 1937
Vermah
栗毛 1942
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
★Vermeer
1933
種付け時活性値:0.00
Marheke
栗毛 1934
仔受胎時活性値:1.75

<5代血統表内のクロス:Pharos=Fairway5×4、Nogara(♀)5×5>

タニノムーテイエ(1967.5.9)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ムーテイエ
(Sicambre系)
テイエポロ
(Fairway系)
Able Seaman
(Hyperion系)
Vermeer
(Gainsborough系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ティエポロ
(Prestige)
5.25 or 3.25 半弟タニノチカラ
(No.12-g)
初仔

*

第37回日本ダービー(現GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 調教師
1 10 タニノムーティエ 牡3 57 安田伊佐夫 2:30.0    島崎宏 2
2 5 ダテテンリユウ 牡3 57 宇田明彦 2:30.1 1/2 星川泉士 4
3 9 ホースメンテディ 牡3 57 油木宣夫 2:30.6 3 中村好夫 13
4 21 トレンタム 牡3 57 大和田稔 2:31.2 3.1/2 二本柳俊夫 5
5 14 アローエクスプレス 牡3 57 加賀武見 2:31.2 ハナ 高松三太 1

1970年5月24日に行われた第37回日本ダービー。「AT対決」で日本の競馬界が湧いたのが1970年のことと気付けば、彼らは20世紀最後の英3冠馬Nijinsky(1967.2.21)と同世代なのですね。

タニノムーティエは栗毛の流星が麗しいハンサムボーイ。その美しさに強さが伴って、デイリー杯3歳S(現デイリー杯2歳S、GII)、阪神3歳S(現阪神JF、GI)、きさらぎ賞(現GIII)、弥生賞(現GII)、スプリングS(現GII)、皐月賞、そして日本ダービーと重賞7勝。けれど、まさか日本ダービーが最後の勝利となってしまうとは。「喘鳴症」という病魔には、さしものタニノムーティエでも、打ち克つことが出来ず。彼が最後に挑んだレースである菊花賞の、第4コーナーでマクリ気味に進出する姿を見たファンのどよめきは、印象に残る競馬シーンのひとつです。

「タニノムーティエが喘鳴症を発症していなかったら」と思ったファンも、きっと多かったことでしょう。もしかしたら、西洋のNijinskyに続いて、東洋でも3冠馬が誕生していたかも知れません。そしてまた、彼が無事に古馬を迎えた姿を見られなかったのは、残念な出来事だったのでしょう。そんな兄の無念を晴らすかのように、後に2歳年下の弟タニノチカラが天皇賞・秋(現GI)、有馬記念(現GI)を制しました。しかし、レースの映像を見ると、なんと強い兄弟でしょうか。

ちなみに、私がタニノムーティエを初めて意識したのは、関西テレビでかつて放映された「私の名馬」という番組。現在も舞台や競馬コラムで活躍されている内藤裕敬さんの「私の名馬」が、タニノムーティエでした。

*

タニノギムレット 牡 鹿毛 1999.5.4生 静内・カントリー牧場生産 馬主・谷水雄三氏 栗東・松田国英厩舎

タニノギムレット(1999.5.4)の4代血統表
ブライアンズタイム
黒鹿毛 1985.5.28
種付け時活性値:1.25
Roberto
鹿毛 1969.3.16
Hail to Reason
黒鹿毛 1958.4.18
Turn-to 1951
Nothirdchance 1948
Bramalea
黒鹿毛 1959.4.12
Nashua 1952.4.14
Rarelea 1949
Kelley’s Day
鹿毛 1977.5.11
Graustark
栗毛 1963.4.7
Ribot 1952.2.27
Flower Bowl 1952
Golden Trail
黒鹿毛 1958.3.5
Hasty Road 1951
Sunny Vale 1946
タニノクリスタル
栗毛 1988.4.4
仔受胎時活性値:0.50
クリスタルパレス
芦毛 1974.3.25
種付け時活性値:1.25
Caro
芦毛 1967.4.11
フォルティノ 1959.4.19
Chambord 1955
Hermieres
栗毛 1958.4.10
Sicambre 1948
Vieille Pierre 1951
タニノシーバード
栗毛 1972.4.27
仔受胎時活性値:1.75
Sea-Bird
栗毛 1962.3.8
種付け時活性値:0.25
Dan Cupid 1956.2.14
Sicalade 1956
Flaxen
栗毛 1968.5.15
仔受胎時活性値:0.75
Graustark
栗毛 1963.4.7
種付け時活性値:1.00
Flavia
鹿毛 1958.3.13
仔受胎時活性値:0.25

<5代血統表内のクロス:Graustark3×4、Roman5×5、Sicambre4×5(母方)>

タニノギムレット(1999.5.4)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ブライアンズタイム
(Roberto系)
クリスタルパレス
(フォルティノ系)
Sea-Bird
(Native Dancer系)
Graustark
(Ribot系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ブライアンズタイム 3.25 母がOP特別勝ち馬
(No.9-c)
4番仔
(4連産目)

*

第69回日本ダービー(GI)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 3 タニノギムレット 牡3 57 武豊 2:26.2    34.7 482
[+2]
松田国英 1
2 11 シンボリクリスエス 牡3 57 岡部幸雄 2:26.4 1 35.2 520
[-6]
藤沢和雄 3
3 8 マチカネアカツキ 牡3 57 K.デザーモ 2:26.4 アタマ 35.6 512
[-4]
藤沢和雄 6
4 10 メガスターダム 牡3 57 松永幹夫 2:26.4 アタマ 35.2 490
[-2]
山本正司 9
5 18 ゴールドアリュール 牡3 57 上村洋行 2:26.5 クビ 35.8 498
[-4]
池江泰郎 13

2002年5月26日に行われた第69回日本ダービー。時折巡る「日曜日の5月26日」は、競馬者として幸せな日です。まま、私の誕生日ということですね。この第69回日本ダービー当日は25歳の誕生日でした。

「自分の誕生日の数字、『5』『2』『6』の枠連三角買いで外すことはないやろう」と踏んでいたら、そのとおりの結果。最後、頑張って2着に食い込んでくれたシンボリクリスエス(1999.1.21)に対して、「あぁ、有り難う」と思ったものです。

タニノギムレット。2歳12月の未勝利戦勝ちから挑んだ3歳1月のシンザン記念(GIII)で表舞台に立ち、2月のアーリントンC(GIII)、3月のスプリングS(GII)と重賞3連勝。4月の皐月賞で3着、5月4日自身満3歳の誕生日のNHKマイルC(GI)でも3着。そうして、挑んだレースが日本ダービー。印象に残るブレイズの鹿毛が、直線大外一気で鋭く抜け出し、武豊騎手に史上初の日本ダービー3勝騎手の栄誉を送ると共に、谷水雄三オーナーの代となって初めての日本ダービー制覇をプレゼントしたのでした。

タニノギムレットは太く雄々しく駆けた馬でした。我々の目の前で走ってくれたのはわずかな期間でしたけれど、短いが故に、深く刻まれることもあるものです。そして、短いが故に、つながる物語もあるものです。

*

ウオッカ 牝 黒鹿毛 2004.4.4生 静内・カントリー牧場生産 馬主・谷水雄三氏 栗東・角居勝彦厩舎

ウオッカ(2004.4.4)の4代血統表
タニノギムレット
鹿毛 1999.5.4
種付け時活性値:1.00
ブライアンズタイム
黒鹿毛 1985.5.28
Roberto
鹿毛 1969.3.16
Hail to Reason 1958.4.18
Bramalea 1959.4.12
Kelley’s Day
鹿毛 1977.5.11
Graustark 1963.4.7
Golden Trail 1958.3.5
タニノクリスタル
栗毛 1988.4.4
クリスタルパレス
芦毛 1974.3.25
Caro 1967.4.11
Hermieres 1958.4.10
タニノシーバード
栗毛 1972.4.27
Sea-Bird 1962.3.8
Flaxen 1968.5.15
タニノシスター
栗毛 1993.3.22
仔受胎時活性値:0.50
ルション
黒鹿毛 1981.4.10
種付け時活性値:0.75
Riverman
鹿毛 1969
★Never Bend 1960.3.15
River Lady 1963.5.17
ベルドリーヌ
黒鹿毛 1977.3.15
★Marshua’s Dancer 1968.4.15
Palsy Walsy 1960
エナジートウショウ
鹿毛 1987.4.22
仔受胎時活性値:1.25
トウショウボーイ
鹿毛 1973.4.15
種付け時活性値:1.25
テスコボーイ 1963
ソシアルバターフライ 1957.4.13
コーニストウショウ
栗毛 1977.6.12
仔受胎時活性値:0.25
ダンディルート
鹿毛 1972.5.10
種付け時活性値:1.00
ローズトウショウ
鹿毛 1965.4.13
仔受胎時活性値:0.75

<5代血統表内のクロス:Graustark4×5(父方)>

ウオッカ(2004.4.4)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
タニノギムレット
(Roberto系)
ルション
(Riverman系)
トウショウボーイ
(Princely Gift系)
ダンディルート
(Luthier系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
トウショウボーイ
(タニノシスター)
2.75 近親シスタートウショウ
(No.3-l フロリースカップ系)
4番仔
(2連産目)

*

第74回日本ダービー(GI)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 3 ウオッカ 牝3 55 四位洋文 2:24.5    33.0 482
[-4]
角居勝彦 3
2 16 アサクサキングス 牡3 57 福永祐一 2:25.0 3 34.9 488
[-6]
大久保龍志 14
3 14 アドマイヤオーラ 牡3 57 岩田康誠 2:25.3 1.3/4 33.7 442
[-2]
松田博資 4
4 12 サンツェッペリン 牡3 57 松岡正海 2:25.3 クビ 35.0 476
[+10]
斎藤誠 9
5 8 ドリームジャーニー 牡3 57 蛯名正義 2:25.4 3/4 33.1 412
[+2]
池江泰寿 8

2007年5月27日に行われた第74回日本ダービー。「天からの授かりもの」ウオッカの強さばかりが目立った最後の直線。クリフジ(1940.3.12)以来64年ぶりの牝馬による日本ダービー制覇。

当日来場されていた徳仁親王のお誕生日である2月23日。2と23という数字。2枠3番。思えば、父タニノギムレットも2枠3番で戴冠しました。「再び、2枠3番」ということだったのでしょうか。また、父が日本ダービーを制した折の馬体重は482kg、娘の馬体重も482kg。ついで思えば、父が制した折には小泉純一郎首相、娘が制した折には安倍晋三首相という、当世の総理大臣の来場。轍は踏まれるものなのでしょうか。

そうして結ばれた、史上初の父娘ダービー制覇という、永劫に受け継がれるであろう結果。

多くの競馬者に幸せな思いを与えてくれた、タニノギムレットとウオッカという父娘。晩春の府中芝2400mが巡る度に、カントリー牧場が送り込んだこの父娘に、思い馳せることになるのでしょう。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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