初めて意識をして見たクラシック世代を辿る(其の参)-ナリタタイシン(1990.6.10)-。

私も案外長いこと競馬を見ていることに気付いてしまいました。現2歳の2009年生まれ世代で都合20世代のクラシックを見ることになります。そりゃ、ピチピチの10代やったのに、30代半ばに差し掛かりますわ(笑)

そんな訳で、初めて意識をして見たクラシック世代である、1990年生まれ世代のGI勝ち馬たちを辿ってみたいと思います。

折しもラジオNIKKEI杯2歳S(GIII)の開催週ということで、19年前のラジオたんぱ杯3歳Sの勝ち馬にして、18年前の皐月賞(GI)馬をご紹介致します。

ナリタタイシン 牡 鹿毛 1990.6.10生 新冠・川上悦夫氏生産 馬主・山路秀則氏 栗東・大久保正陽厩舎

ナリタタイシン(1990.6.10)の4代血統表
リヴリア
鹿毛 1982.4.20
種付け時活性値:1.75
Riverman
鹿毛 1969
★Never Bend
鹿毛 1960.3.15
Nasrullah 1940.3.2
Lalun 1952
River Lady
鹿毛 1963.5.17
Prince John 1953.4.6
Nile Lily 1954.3.23
Dahlia
栗毛 1970.3.25
Vaguely Noble
鹿毛 1965.5.15
ヴィエナ 1957
Noble Lassie 1956
Charming Alibi
栗毛 1963.3.7
Honeys Alibi 1952
Adorada 1947
タイシンリリィ
芦毛 1981.5.27
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
ラディガ
鹿毛 1969.5.18
種付け時活性値:0.75
Graustark
栗毛 1963.4.7
Ribot 1952.2.27
Flower Bowl 1952
Celia
黒鹿毛 1960.4.3
Swaps 1952.3.1
Pocahontas 1955.2.19
インターラーケン
芦毛 1966.2.9
仔受胎時活性値:1.50
サミーデイヴィス
黒鹿毛 1960
種付け時活性値:1.25
Whistler 1950
Samaria 1955
シルヴァーファー
芦毛 1962
仔受胎時活性値:0.75
Abernant
芦毛 1946
種付け時活性値:1.75
Moyo
芦毛 1956
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:Alibhai5×5、Roman5×5、Nearco5×5(父方)>

ナリタタイシン(1990.6.10)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
リヴリア
(Riverman系)
ラディガ
(Ribot系)
サミーデイヴィス
(The Boss系)
Abernant
(Hyperion系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
リヴリア 5.50 or 3.50 半姉ユーセイフェアリー
(No.1-w)
4番仔
(4連産目)

*

第53回皐月賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 14 ナリタタイシン 牡3 57 武豊 2:00.2 レース
レコード
34.6 426
[+4]
大久保正陽 3
2 18 ビワハヤヒデ 牡3 57 岡部幸雄 2:00.3 クビ 35.4 478
[-4]
浜田光正 2
3 1 シクレノンシェリフ 牡3 57 松永幹夫 2:00.5 アタマ
+1.1/4
35.6 482
[-2]
小林稔 4
4 4 ウイニングチケット 牡3 57 柴田政人 2:00.6 1/2 35.4 460
[-6]
伊藤雄二 1
5 6 アンバーライオン 牡3 57 田所秀孝 2:00.8 1.1/2 36.1 432
[-10]
鹿戸幸治 16

思えば、私の武豊原理主義はこのレースから始まったのかも知れません。まさに武マジックが発動したかのような、決勝点における「クビ」だけ差し切り。

もちろん、鞍上に応えた鞍下のナリタタイシンが、いちばん褒められなければなりません。ラストの直線半ばで、ガレオン(1990.4.25)が外に斜行したアオリをもろに受けながらも、怯むことなく鞍上の鼓舞に応えて、最後の最後まで脚を伸ばしました。2番目に速い上がりを記録した9着のマイシンザン(1990.3.7)を0秒6も上回る、上がり3ハロン34秒6という極上の切れ味。かつて「しなやかな鬼脚」と形容しましたが、柔らさかと強靭さを併せ持った、見事な末脚でした。

そんなナリタタイシン、ライバル17頭をまさに切って捨て、シンボリルドルフ(1981.3.13)が持っていた2分1秒1という皐月賞レコードを0秒9塗り替えて、牡馬3冠のひとつ目を奪取しました。また、馬体重426kgによる勝利は、現在でも皐月賞史上最軽量の優勝馬記録です。

*

第9回ラジオたんぱ杯3歳S(現ラジオNIKKEI杯2歳S、GIII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 1 ナリタタイシン 牡2 54 清水英次 2:05.8    49.7 422
[+6]
大久保正陽 5
2 4 マルカツオウジャ 牡2 54 河内洋 2:05.9 1/2 49.7 460
[+6]
田中耕太郎 2
3 6 サンエイキッド 牡2 54 安田隆行 2:06.2 2 50.0 460
[+6]
古川平 8
4 12 エアマジック 牡2 54 角田晃一 2:06.4 1.1/4 50.0 438
[-2]
渡辺栄 7
5 3 ファンドリリヴリア 牡2 54 村本善之 2:06.4 ハナ 50.4 440
[0]
高橋成忠 10

ナリタタイシン、ラストの追い上げがちょっと尋常ではない感じですね。という訳で、「同一牝系馬の連動する活躍」。まま見られる現象ですけれど、このラジオたんぱ杯3歳Sの前週、ナリタタイシンの半姉ユーセイフェアリー(1987.3.23)が、阪神牝馬特別(当時GIII。現阪神牝馬S、GII)を16頭立て16番人気(!!)で制しています。「阪神芝2000mのGIIIレース」という施行コース、グレードも同じでした。なお、このラジオたんぱ杯3歳Sが、故・清水英次騎手の最後の重賞勝利でもありました。

#余談。中島理論ユーザー向けに書くと、ユーセイフェアリーは中島氏の配合馬とのことです。父アズマハンター(1979.2.11)に、母父ラディガですから、東牧場御用達とも言うべき血統ですね。かくいうアズマハンターも、仲住芳雄厩舎の所属馬で、母ハンティングボックス(1970.3.27)が満8歳時交配の仔、母父Quadrangle(1961.4.16)の0交配、祖母父Abernantが最優性先祖と、中島氏関連馬っぽくはあるのですが(^^ゞ

*

第108回目黒記念(GII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 7 ナリタタイシン 牡4 58.5 武豊 2:34.0    34.7 446
[+14]
大久保正陽 2
2 6 ダンシングサーパス 牡4 53 熊沢重文 2:34.0 アタマ 35.1 478
[-6]
内藤繁春 3
3 2 シャンソニエール 牝5 51 田面木博公 2:34.1 クビ 35.6 462
[-4]
伊藤竹男 7
4 13 ステージチャンプ 牡4 57 岡部幸雄 2:34.2 3/4 35.4 460
[-4]
矢野進 1
5 4 アイビーシチー 牡4 51 蛯名正義 2:34.3 クビ 35.9 476
[0]
河野通文 9

2月開催の目黒記念も今となっては懐かしいですね。このレースはよく覚えています。ちょうどひな祭り前ということで、実家でひな壇の飾り付けをしていたのです。ええ、私、全妹が5人いますので(^^ゞ。で、その飾り付けの合間に見たのでした。ステージチャンプ(1990.5.17)が圧倒的な1番人気だったのですが、クラシックホースの底力を見せて、ナリタタイシンが大外から捲り切りました。58.5kgのトップハンデものかは、満3歳秋に発症した肺出血からの見事な復活劇でした。そしてまた、当時の月刊「優駿」における武豊騎手のコメント「タイシンの本来の切れはこんなものではありません(大意)」というのも、嬉しかったものです。完調でなくとも格が違う。GI馬の矜持が、そこにはありました。

*

現在は、日高にあるベーシカル・コーチング・スクールで余生を過ごしているナリタタイシン。詳しくは下に記すWeb Resourceのリンク先の記事に譲りますが、元気に過ごしているようです。ちなみに、現在の馬体重は550kgとのこと。あらま、えらい大きくならはって(^^)

そしてまた、壮年から、やがて老境を迎えようとしている彼のいまの顔を見ると、齢重ねた年月を思います。ナリタタイシン21歳、これからもどうか息災に。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

  

<Web Resource>

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