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2014年4月23日 (水)

ピルサドスキー(1992.4.23)。

春を迎えると、日々、馬の誕生日を思ってしまうオオハシでございます。という訳で、その日に生まれた馬を辿る企画を、今年2014年も毎週水曜日にお届けしたいと思います。その第8回は「世界のレベルの高さを知らしめた、お茶目な重戦車」を。

ピルサドスキー 牡 鹿毛 1992.4.23生 愛国・バリマコルスタッド生産 馬主・ウェインストック卿 英国・M.R.スタウト厩舎

ピルサドスキー(1992.4.23)の4代血統表
Polish Precedent
鹿毛 1986.3.16
種付け時活性値:1.25

Danzig
鹿毛 1977.2.12
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Pas de Nom
黒鹿毛 1968.1.27
★Admiral's Voyage 1959.3.23
Petitioner 1952
Past Example
栗毛 1976.4.23
Buckpasser
鹿毛 1963.4.28
Tom Fool 1949.3.31
Busanda 1947
Bold Example
鹿毛 1969.4.28
ボールドラッドUSA 1962.4.23
Lady Be Good 1956.3.9
Cocotte
鹿毛 1983.2.21
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
Troy
鹿毛 1976.3.25
種付け時活性値:1.50
Petingo
鹿毛 1965
Petition 1944
Alcazar 1957
La Milo
栗毛 1963
Hornbeam 1953
Pin Prick 1955
Gay Milly
鹿毛 1977.4.5
仔受胎時活性値:1.25
★Mill Reef
鹿毛 1968.2.23
種付け時活性値:0.00
Never Bend 1960.3.15
Milan Mill 1962.2.10
Gaily
黒鹿毛 1971
仔受胎時活性値:1.25
Sir Gaylord
鹿毛 1959.2.12
種付け時活性値:0.75
Spearfish
黒鹿毛 1963.4.27
仔受胎時活性値:1.75

<5代血統表内のクロス:Petition5×4>

ピルサドスキー(1992.4.23)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Polish Precedent
(Danzig系)
Troy
(Fairway系)
★Mill Reef
(Never Bend系)
Sir Gaylord
(Turn-to系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Troy
(Cocotte)
6.25 or 4.25 半妹ファインモーション
(No.11)
5番仔
(5連産目)

*

第17回ジャパンカップ(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 3 ピルサドスキー 牡5 57 M.キネーン 2:25.8    34.6 502
[不明]
M.スタウト 3
2 9 エアグルーヴ 牝4 55 武豊 2:25.8 クビ 34.8 472
[-6]
伊藤雄二 2
3 13 バブルガムフェロー 牡4 57 岡部幸雄 2:26.0 1.1/4 34.9 490
[+4]
藤沢和雄 1
4 12 カイタノ 牡3 55 A.シュタルケ 2:26.1 クビ 34.7 460
[不明]
B.シュッツ 6
5 1 シルクジャスティス 牡3 55 藤田伸二 2:26.2 クビ 34.6 466
[+4]
大久保正陽 4

1997年の第17回ジャパンカップ。レース前から主役は決まっていたようなものでした。下見所で「ぶらーん」と馬っ気を出していたのは、お茶目な重戦車、ピルサドスキー。戦前までバーデン大賞(独GI)、BCターフ(米GI)、エクリプスS(英GI)、愛チャンピオンS(GI)、チャンピオンS(英GI)と、欧米の中距離主要GI5勝の実績馬のその姿に、ファンはちょっと、いえだいぶん心配を覚えたのです。

けれど、ピルサドスキー、本番ではサスガの集中力を見せました。レースは中段やや後方に待機し、スローペースの流れの中で内々を徐々に進出。そして直線、エアグルーヴ(1993.4.6)が先に抜け出したところを、内から猛然と襲い掛ったのが、ピルサドスキー。ええ、大和撫子の尻を追ったイングリッシュジェントルマンという構図(^_^;)。472kgの鹿毛のイイ女に迫った502kgの鹿毛の豪胆馬がクビを低く伸ばし、赤い帽子にウェインストック卿の白い勝負服をまとった鞍上の右ムチに応え、「ダテに種牡馬にはなりません!!」とCX系の中継では堺正幸アナウンサーに叫ばせて、最後は1着でゴールイン。欧米で戦ってきた相手が超一線級ならば、ピルサドスキー自身も超一線級。世界の最前線で戦ってきた馬のプライドが、そこには見えました。そして、この勝利により、前年第16回のシングスピール(1992.2.25)に続き、「Sir」マイケル・スタウト調教師は、調教師として初めてとなるジャパンカップ連覇にして2勝目となりました。

2着に敗れたエアグルーヴ。実はかつて1回だけ、彼女にマイケル・キネーン騎手が騎乗されたことがありました。1995年の阪神3歳牝馬S(現阪神JF、GI)。ビワハイジ(1993.3.7)の2着となった際の鞍上が、キネーン騎手だったのです。「その1回の騎乗でマイケル・キネーンという騎手はエアグルーヴを知ってしまった。それがあのジャパンカップで仇となった」。なんてことを伊藤雄二調教師のインタビュー記事で見かけたような。馬に携わるプロの凄さを思ったものです。また、血統的な奇縁が巡り、後に伊藤雄二調教師と武豊騎手とのコンビでGIを2勝する、ピルサドスキーの半妹が現れます。ご存知ファインモーション(1999.1.27)。エアグルーヴでピルサドスキーに敗れた人々が、ピルサドスキーの半妹をGI馬に育てる。ピルサドスキーとエアグルーヴを巡り、人も馬も、不思議な因縁があったものです。

ピルサドスキーとファインモーション。私にとっても強烈な印象を残してくれた兄妹でした。しかし、悲しいかな、「世代を重ねる」となった時、兄妹共に、その能力の高さを伝えられなかったのが、ただただ残念なことでした。

*

現在は、生まれ故郷のアイルランドにあるアングローヴスタッドで、障害競走用種牡馬として過ごしているというピルサドスキー。日本での繁殖成績については多くを語りませんが、それでもピルサドスキー、昨年2013年のメルボルンカップ(豪GI)を制したFiorente(2008.2.26)の母父として名を残しています。

Fiorenteの生産は、ピルサドスキーと同じバリマコルスタッド。これはバリマコルスタッド、ひいては故ウェインストック卿、そしてウェインストック卿のご家族の矜持を見た感があります。

Fiorente 牡 青鹿毛 2008.2.26生 愛国・バリマコルスタッド生産 馬主・バリマコルスタッド→A.T.Roberts氏ほか 英国・M.R.スタウト厩舎→豪州・G.M.ウォーターハウス厩舎

Fiorente(2008.2.26)の4代血統表
Monsun
黒鹿毛 1990
種付け時活性値:0.25
Konigsstuhl
黒鹿毛 1976
Dschingis Khan
鹿毛 1961
★Tamerlane 1952
Donna Diana 1956
Konigskronung
黒鹿毛 1965
★Tiepoletto 1956
Kronung 1957
Mosella
鹿毛 1985.3.25
Surumu
栗毛 1974.2.26
★Literat 1965
Surama 1970.3.6
Monasia
鹿毛 1979
★Authi 1970.3.14
Monacensia 1969
Desert Bloom
鹿毛 2000.1.19
仔受胎時活性値:1.75
ピルサドスキー
鹿毛 1992.4.23
種付け時活性値:1.75
Polish Precedent
鹿毛 1986.3.16
Danzig 1977.2.12
Past Example 1976.4.23
Cocotte
鹿毛 1983.2.21
Troy 1976.3.25
Gay Milly 1977.4.5
デザートビューティー
鹿毛 1994.2.4
仔受胎時活性値:1.25
Green Desert
鹿毛 1983.4.16
種付け時活性値:0.50
Danzig 1977.2.12
Foreign Courier 1979.4.11
Hellenic
鹿毛 1987.4.25
仔受胎時活性値:1.50
Darshaan
黒鹿毛 1981.4.18
種付け時活性値:1.25
Grecian Sea
栗毛 1978.1.15
仔受胎時活性値:2.00(0.00)

<5代血統表内のクロス:Kaiserkrone(♀)=Kaiseradler5×5(父方)、Danzig4×4(母方)>

Fiorente(2008.2.26)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Monsun
(Blandford系)
ピルサドスキー
(Danzig系)
Green Desert
(Danzig系)
Darshaan
(Mill Reef系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ピルサドスキー
(Pin Prick)
6.50 or 4.50 曾祖母が英GI馬
(No.5-h)
4番仔+
(不受胎後)

高祖父8頭のうち、6頭が0化されるという中島理論的には「ニヤリ」とする配合馬、Fiorente。Fiorenteの祖母デザートビューティーは、カタカナ表記であることでお気付きやも知れませんが、バリマコルスタッドがピルサドスキーを付ける為に日本に送り込んだ肌馬だったんですね。記録を辿れば、2年連続でピルサドスキーを付けており、1998年は不受胎、翌1999年に受胎して、その1999年の夏にバリマコルスタッドに戻ったようです。そうして、Fiorenteの母Desert Broomは2000年に生まれたのでした。

お茶目な重戦車、ピルサドスキー。意地の一発は、故郷を共にする牝馬に注がれ、ようやく花開いたのは、その名も正に「Fiorente」という孫の代でした。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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