« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »

2011年8月

2011年8月10日 (水)

3冠馬を辿る(五)-ナリタブライアン(1991.5.3)-。

ナリタブライアン 牡 黒鹿毛 1991.5.3生~1998.9.27没 新冠・早田牧場新冠支場生産 馬主・山路秀則氏 栗東・大久保正陽厩舎

ナリタブライアン(1991.5.3)の4代血統表
ブライアンズタイム
黒鹿毛 1985.5.28
種付け時活性値:1.25
(ナリタブライアンは初年度産駒)
Roberto
鹿毛 1969.3.16
Hail to Reason
黒鹿毛 1958.4.18
Turn-to 1951
Nothirdchance 1948
Bramalea
黒鹿毛 1959.4.12
Nashua 1952.4.14
Rarelea 1949
Kelley's Day
鹿毛 1977.5.11
Graustark
栗毛 1963.4.7
Ribot 1952.2.27
Flower Bowl 1952
Golden Trail
黒鹿毛 1958.3.5
Hasty Road 1951
Sunny Vale 1946
パシフィカス
鹿毛 1981.5.29
仔受胎時活性値:0.25
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
種付け時活性値:0.75
Nearctic
黒鹿毛 1954.2.11
Nearco 1935.1.24
Lady Angela 1944
Natalma
鹿毛 1957.3.26
Native Dancer 1950.3.27
Almahmoud 1947
Pacific Princess
鹿毛 1973.5.10
仔受胎時活性値:1.75
★Damascus
鹿毛 1964.4.14
種付け時活性値:0.00
Sword Dancer 1956.4.24
Kerala 1958.5.12
Fiji
栗毛 1960
仔受胎時活性値:1.00
Acropolis
栗毛 1952
種付け時活性値:1.75
Rififi
栗毛 1954
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:なし>

ナリタブライアン(1991.5.3)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ブライアンズタイム
(Roberto系)
Northern Dancer
(Nearctic系)
Damascus
(Sword Dancer系)
Acropolis
(Blenheim系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Acropolis
(Pacific Princess)
4.25 半兄ビワハヤヒデ
(No.13-A)
5番仔
(4連産目)

*

以下にナリタブライアンのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。

Fiji 1960 英4勝 コロネーションS(現GI)
|Fleet Wahine 1968 英仏愛4勝 ヨークシャーオークス(現英GI) リブルズデイルS(現英GII)
|Pacific Princess 1973.5.10 米7勝 デラウェアオークス(GI) ヘムステッドH(GII)
||パシフィカス 1981.5.29 英2勝
|||ビワハヤヒデ 1990.3.10 中央10勝 天皇賞・春(GI) 宝塚記念(GI) 菊花賞(GI)ほか
|||ナリタブライアン 1991.5.3 (本馬) 中央12勝 牡馬3冠 有馬記念 朝日杯3歳S(現朝日杯FS、GI)ほか
|||ビワタケヒデ 1995.4.29 中央3勝 ラジオたんぱ賞(現ラジオNIKKEI賞、GIII)
||アサーティブプリンセス 1984.3.13 不出走
|||シーヴィーナス 1995.3.30 不出走
||||ブライアンズイブ 1999.4.23 中央2勝 ファンタジーS(GIII)3着
||||シルキーラグーン 2000.4.10 中央7勝 オーシャンS(当時OP)2回 バーデンバーデンC(OP)
||||シルクトゥルーパー 2002.4.2 中央5勝 橘S(OP)
||キャットクイル 1990.5.22 英0勝
|||ファレノプシス 1995.4.4 中央7勝 エリザベス女王杯(GI) 桜花賞(GI) 秋華賞(GI)ほか
||||アディアフォーン 2006.4.20 現役 ファンタジーS3着
||||ラナンキュラス 2007.4.16 現役 フィリーズレビュー(GII)2着
|||アランダ 1996.5.26 中央1勝
||||ネイキッド 2004.5.22 現役 エルムS(GIII)2着 平安S(GIII)3着
|||Sunday Break 1999.4.19 米4勝 ピーターパンS(GII)
||イブキラッキーデイ 1993.4.14 中央0勝
|||フレノキャプテン 1999.4.26 中央2勝 淀ジャンプS(J・OP) 阪神スプリングJ(J・GIII)3着

半兄ビワハヤヒデ、従妹ファレノプシスと、言わずもがなで豪華な名前が並びます。

*

平成最初のJRA3冠馬にして、20世紀最後の3冠馬、ナリタブライアン。3冠で距離が伸びる毎に着差を広げたそのレースぶりは、今でも多くの競馬ファンに「ナリタブライアンこそ最強」と思わせるものでした。

ナリタブライアン、直線で加速して抜け出した時の姿がべらぼうに格好良い馬でした。深く沈み込むフォーム、四肢が前へ前へと進む、中背中肉の黒鹿毛の様が思い出されます。

今回はそんなナリタブライアンが勝利を収めた5つのGIを中心に蹄跡を辿りたいと思います。

*

第45回朝日杯3歳S(現朝日杯FS、GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 8 ナリタブライアン 牡2 54 南井克巳 1:34.4    35.7 456
[+4]
大久保正陽 1
2 9 フィールドボンバー 牡2 54 柴田善臣 1:35.0 3 1/2 36.6 446
[-6]
山内研二 6
3 4 トラストカンカン 牡2 54 田中勝春 1:35.7 4 36.8 466
[+6]
河野通文 8
4 1 ランセット 牡2 54 蓑田早人 1:35.8 1/2 37.8 438
[+2]
久恒久夫 12
5 3 イナズマタカオー 牡2 54 大崎昭一 1:35.9 3/4 37.0 438
[+2]
日迫良一 11

京都3歳S(現京都2歳S、OP)をレコード勝ちして挑んだ3歳(現2歳)王者決定戦。前年2着に敗れた兄の仇を討つ形になりましたが、自身の鞍上が兄を破ったエルウェーウィン(1990.2.24)の鞍上でもあった南井騎手だったことは、運命のイタズラだったのでしょうか。勝ち時計の1分34秒4はマルゼンスキー(1974.5.19)、アイネスフウジン(1987.4.10)に並ぶ、当時歴代2位の好タイムでした。なお、かつてはクラシックに直結すると言われていた朝日杯ですが、2011年現在、ナリタブライアンより後の勝ち馬でクラシックを制した馬は出ていません。

第54回皐月賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 1 ナリタブライアン 牡3 57 南井克巳 1:59.0 レコード 35.8 460
[0]
大久保正陽 1
2 7 サクラスーパーオー 牡3 57 的場均 1:59.6 3 1/2 35.7 470
[-2]
平井雄二 9
3 16 フジノマッケンオー 牡3 57 武豊 1:59.7 3/4 35.6 494
[-10]
中村好夫 6
4 6 ドラゴンゼアー 牡3 57 加藤和宏 1:59.7 クビ 36.5 500
[-2]
中尾謙太郎 12
5 8 トニーザプリンス 牡3 57 坂井千明 1:59.8 1/2 36.2 522
[-8]
沢峰次 7

年が明けて共同通信杯4歳S(現共同通信杯、GIII)を4馬身差、スプリングS(GII)を3馬身2分の1差と連勝を続けて挑んだ第54回皐月賞。やはり前年2着に敗れた兄の雪辱をはらす結果となりました。その勝ち時計1分59秒0は、兄を破ったナリタタイシン(1990.6.10)が記録した皐月賞レコードを1秒2、スダビート(1986.4.10)のコースレコードを0秒5も更新しました。前半1000mを58秒8というハイペースで通過したにせよ、3歳春のサラブレッドが1分59秒フラットで中山芝2000mを勝ち切ったことは、1994年当時では衝撃的でした。なお、現在でも皐月賞史上4位の好タイムです。

第61回日本ダービー(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 17 ナリタブライアン 牡3 57 南井克巳 2:25.7    36.2 468
[+8]
大久保正陽 1
2 4 エアダブリン 牡3 57 岡部幸雄 2:26.6 5 36.9 466
[-2]
伊藤雄二 4
3 5 ヤシマソブリン 牡3 57 坂井千明 2:26.9 2 36.7 458
[-2]
松山康久 10
4 1 フジノマッケンオー 牡3 57 武豊 2:26.9 ハナ 37.2 488
[-10]
中村好夫 5
5 15 ノーザンポラリス 牡3 57 的場均 2:27.1 1 1/4 37.2 446
[+4]
森秀行 7

兄が2着に敗れたレースをことごとく勝ってのGI3勝目が競馬の祭典となりました、第61回日本ダービー。レースを改めて見直すと、砂煙が舞う馬場。戦前にはダービーレコードの更新も期待されましたが、サスガのナリタブライアンでも史上3位の2分25秒7まで。しかし、それでも2着エアダブリン(1991.4.21)を5馬身置き去り。これは最後100mほどで着けたのではないでしょうか。抜け出してからの脚の速いこと速いこと。ゴール後、南井騎手が左腕と右腕を交互に突き上げてのガッツポーズ。そして、勝利騎手インタビューで初めて南井騎手の口から「3冠」が発せられました。

#2014年3月9日、今更ながら追記。記録を辿れば、ナリタブライアンが日本ダービーを制したのは、1994年5月29日。ナリタブライアン、母パシフィカス満13歳の誕生日を、GI勝利で祝ったのでした。

第55回菊花賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 4 ナリタブライアン 牡3 57 南井克巳 3:04.6 レコード 34.3 470
[0]
大久保正陽 1
2 12 ヤシマソブリン 牡3 57 坂井千明 3:05.7 7 35.6 464
[+2]
松山康久 2
3 8 エアダブリン 牡3 57 岡部幸雄 3:05.8 3/4 35.2 474
[+2]
伊藤雄二 3
4 13 ウインドフィールズ 牡3 57 東信二 3:05.9 3/4 36.1 482
[+6]
谷原義明 5
5 1 スターマン 牡3 57 藤田伸二 3:05.9 クビ 35.5 480
[+12]
長浜博之 4

「弟は大丈夫だ!!」。前週の天皇賞・秋(GI)における兄ビワハヤヒデの故障発生を受けて、関西TVの杉本清アナが最後の直線で叫ばれました。第55回菊花賞、JRA史上5頭目の牡馬3冠馬誕生の瞬間でした。小雨降る淀の芝3000m、稍重の勝ち時計3分4秒6は前年の兄の記録をコンマ1秒破る菊花賞レコード。私は、前走の京都新聞杯(GII)でスターマン(1991.5.12)の2着に敗れた姿を見て、「あらら、3冠ピンチかいな」と思いました。が、本番では1頭だけ次元の違う脚を繰り出して、有無を言わさぬ7馬身差圧勝。ひと叩きの効果というものを、ナリタブライアンのおかげで学びました。

しかし、無人の野を行く強さ。私の競馬者としてのキャリアの中で、菊花賞を勝った馬でもっとも強いと思わせてくれたのは、今を以てナリタブライアンです。

第39回有馬記念(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 11 ナリタブライアン 牡3 55 南井克巳 2:32.2    34.8 476
[+6]
大久保正陽 1
2 8 ヒシアマゾン 牝3 53 中舘英二 2:32.7 3 35.2 478
[-2]
中野隆良 6
3 10 ライスシャワー 牡5 56 的場均 2:33.1 2 1/2 35.3 452
[+10]
飯塚好次 4
4 6 アイルトンシンボリ 牡5 56 岡部幸雄 2:33.2 1/2 35.6 500
[+12]
畠山重則 3
5 9 ナイスネイチャ 牡6 56 松永昌博 2:33.3 クビ 35.4 502
[+4]
松永善晴 11

1994年の年末の大一番となった有馬記念。ナリタブライアンはここでも圧倒的な強さを見せ、2着ヒシアマゾン(1991.3.26)に3馬身差を着けて勝利しました。これで年間GI4勝を達成。やっぱり強かった。他の馬にはどうしようもなかった。

*

まさか満3歳時の有馬記念がナリタブライアンにとって最後のGI勝利になるとは、誰も思っていなかったでしょう。ケタ違いの能力がいちばん現れたレースは、その有馬記念の次走、満4歳初戦となった阪神大賞典(GII)だったと思います。

これが「真のナリタブライアン」における、最後のレースでした。翌年の満5歳時の阪神大賞典、マヤノトップガン(1992.3.24)との一騎打ちが「平成の名勝負」と言われます。けれど、本当は、共にレースを走った馬に「まったく勝負をさせない走り」を見せたのが、全盛期の「真のナリタブライアン」でした。

*

図らずも無人の野という表現を使いましたが、ナリタブライアン、本物の無人の野に駆けて行くのも早すぎました。

満7歳の秋、1998年9月27日、胃破裂により死亡。

短くとも、太く雄々しく生きた孤高の3冠馬、ナリタブライアン。

  

「桃、紫山形一文字」の勝負服を乗せ、白いシャドーロールを着けた黒鹿毛の最強馬の駆けた姿は、人々の心の中で永遠に。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年8月 3日 (水)

3冠馬を辿る(四)-シンボリルドルフ(1981.3.13)-。

シンボリルドルフ 牡 鹿毛 1981.3.13生 門別・シンボリ牧場生産 馬主・シンボリ牧場 美浦・野平祐二厩舎

シンボリルドルフ(1981.3.13)の4代血統表
パーソロン
鹿毛 1960
種付け時活性値:1.00
Milesian
鹿毛 1953
My Babu
鹿毛 1945
Djebel 1937
Perfume 1938
Oatflake
鹿毛 1942
Coup de Lyon 1930
Avena 1936
Paleo
鹿毛 1953
★Pharis
黒鹿毛 1936
Pharos 1920
Carissima 1923
Calonice
栗毛 1940
Abjer 1933
Coronis 1935
スイートルナ
栗毛 1972.5.4
仔受胎時活性値:2.00

スピードシンボリ
黒鹿毛 1963.5.3
種付け時活性値:0.00
ロイヤルチャレンヂャー
栗毛 1951
★Royal Charger 1942
Skerweather 1936
スイートイン
鹿毛 1958.2.23
ライジングライト 1942
フィーナー 1949
ダンスタイム
鹿毛 1957
仔受胎時活性値:1.50
Palestine
芦毛 1947
種付け時活性値:0.25
Fair Trial 1932
Una 1930
Samaritaine
芦毛 1949
仔受胎時活性値:1.75
Maravedis
鹿毛 1931
種付け時活性値:0.25
Sarita
芦毛 1936
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:Pharos=Fairway4×5、Tourbillon5×5(父方)>

シンボリルドルフ(1981.3.13)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
パーソロン
(My Babu系)
★スピードシンボリ
(Royal Charger系)
Palestine
(Fairway系)
Maravedis
(St.Simon系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
パーソロン
(My Babu)
6.25 全兄シンボリフレンド
(No.11-C)
4番仔
(不受胎後)

*

以下にシンボリルドルフの簡単な近親牝系図を示しておきます。

ダンスタイム 1957 英1勝
|Valita 1963 不出走
||Denita 1970 仏0勝
|||Lord Darcy 1976.10.9 豪5勝 バゴットH(GIII)
||Sanctum 1972.3.23 仏1勝 ダリュー賞(仏GII)2着
||Tarek 1975.2.25 仏4勝 クリテリウムドサンクルー(現仏GI、当時仏GII) ミュゲ賞(仏GIII)
|Britomart 1966 英1勝
||Briefly 1984 不出走
|||Bon Vivant 1996.7.31 亜5勝 ホアキン V.ゴンザレス大賞(GI)
|サクラオンリー 1968.3.7 中央16勝(平地7勝+障害9勝) 中山大障害・秋(現中山大障害、J・GI) 東京障害特別・春
|サクライチリン 1971.4.16 中央2勝
||サクラパルダ 1976.3.31 中央6勝 クイーンS(現GIII)2着
|スイートルナ 1972.5.4 中央1勝
||シンボリフレンド 1977.2.27 中央5勝 京王杯SH(現京王杯SC、GII)
||スイートコンコルド 1978.3.13 中央3勝
|||ファーストクラス 1989.3.1 不出走
||||タカオサクセス 1996.2.23 中央2勝
|||||タカオルビー 2000.3.27 中央5勝 アイビスSD(GIII)2着
||シンボリルドルフ 1981.3.13 (本馬) 中央13勝+海外0勝 牡馬3冠 ジャパンカップ(GI) 天皇賞・春(GI) 有馬記念(GI)2回ほか
||マチカネアスカ 1982.4.7 中央3勝
|||マチカネカルメン 1989.3.6 中央1勝
||||メルシーエイタイム 2002.2.27 現役 中山大障害 東京ハイジャンプ(J・GII)

ルドルフのはとこにBon VivantというアルゼンチンGIの勝ち馬が見えますが、彼は現在韓国で種牡馬入りしているようです。

*

我が国競馬史上初の無敗の3冠馬、シンボリルドルフ。「競馬に絶対はない。けれど、ルドルフには絶対がある」。故・野平祐二調教師が語ったとされる、ルドルフの評。まさに、絶対皇帝。

ルドルフの凄みは、私はその眼に凝縮されていると思います。種牡馬辞典でルドルフの立ち姿の写真を見た時、「眼が違う」と思ったのです。1歳年上の3冠馬ミスターシービー(1980.4.7)は母譲りの美しい瞳ですけれど、ルドルフは狂気と天才が同居した眼です。そして自身の存在が他とは一線を画すということを、自らが知っている眼です。

*

第44回皐月賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 10 シンボリルドルフ 牡3 57 岡部幸雄 2:01.1 レコード 470 野平祐二 1
2 3 ビゼンニシキ 牡3 57 蛯沢誠治 2:01.3 1.1/4 524 成宮明光 2
3 18 オンワードカメルン 牡3 57 中野栄治 2:02.0 4 486 二本柳一馬 11
4 4 スズパレード 牡3 57 田村正光 2:02.3 2 454 富田六郎 9
5 12 ニッポースワロー 牡3 57 蛯名信広 2:02.5 1 440 久保田金造 5

第44回皐月賞(GI)。前走の弥生賞(現GII、当時GIII)からマイナス22kgという馬体重で臨んだレース。「皇帝生涯ただ1頭のライバル」ビゼンニシキ(1981.4.26)との一騎打ち。直線、迫ってきたニシキに対して、斜行して、蹴っ飛ばしてでも勝利を収めたルドルフ。その勝ち時計2分1秒1はレースレコードタイムでした。

#余談。しかし、ニシキは「相手が悪かった」としか言いようがありません。「ルドルフが蹴っ飛ばしてでも勝った」という事実だけで、どれほどの力量か窺い知れるところです。ええ、私はルドルフはもちろんですが、ニシキも好きです(^^;)

第51回日本ダービー(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 10 シンボリルドルフ 牡3 57 岡部幸雄 2:29.3    476 野平祐二 1
2 19 スズマッハ 牡3 57 大崎昭一 2:29.6 1.3/4 490 仲住芳雄 20
3 6 フジノフウウン 牡3 57 増沢末夫 2:29.6 アタマ 474 栗田博憲 7
4 3 スズパレード 牡3 57 田村正光 2:29.6 ハナ 460 富田六郎 4
5 8 ニシノライデン 牡3 57 伊藤清章 2:30.3 4 486 伊藤修司 9

第51回日本ダービー(GI)。オーナー、調教師、騎手を慌てさせた、ケヤキ(本当はエノキ)の向こう側。けれど、ルドルフは分かっていたのでした。「なに慌ててんの?勝負は直線でしょ?」。そうして、直線の半ばを迎えた頃には、ルドルフ自らの意志で前に行く馬たちを捕まえに行って、最後はあっさり。名手・岡部幸雄をして「ルドルフに競馬を教えてもらった」と言わしめました。

第45回菊花賞(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 5 シンボリルドルフ 牡3 57 岡部幸雄 3:06.8    474 野平祐二 1
2 8 ゴールドウェイ 牡3 57 南井克巳 3:06.9 3/4 462 武宏平 7
3 11 ニシノライデン 牡3 57 伊藤清章 3:07.6 4 478 伊藤修司 2
4 6 スズマッハ 牡3 57 大崎昭一 3:08.2 3.1/2 492 仲住芳雄 4
5 14 フォスターソロン 牡3 57 田島良保 3:08.5 1.3/4 508 佐藤勝美 9

第45回菊花賞(GI)。ひと夏を越えて挑んだセントライト記念(現GII、当時GIII)を2分13秒4のレコードタイムで楽勝した後の3冠最終戦。赤い帽子ただ1頭、「緑、白襷、袖赤一本輪」の勝負服を乗せた鹿毛のルドルフが直線内側から豪脚を見せて、外から追い込んで来た黄色い帽子に「黄、赤二本輪、袖黒三本輪」の勝負服を乗せた栗毛のゴールドウェイ(1981.5.8)を4分の3馬身抑えて、8戦8勝。我が国競馬史上に残る金字塔、無敗の牡馬3冠を初めて達成しました。

*

第29回有馬記念(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 4 シンボリルドルフ 牡3 55 岡部幸雄 2:32.8 レコード 480 野平祐二 1
2 9 カツラギエース 牡4 57 西浦勝一 2:33.1 2 504 土門一美 3
3 2 ミスターシービー 牡4 57 吉永正人 2:33.3 1.1/2 466 松山康久 2
4 1 スズマッハ 牡3 55 大崎昭一 2:33.6 1.3/4 500 仲住芳雄 8
5 6 サクラガイセン 牡4 57 小島太 2:33.7 3/4 456 久保田彦之 5
第91回天皇賞・春(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 15 シンボリルドルフ 牡4 58 岡部幸雄 3:20.4    474 野平祐二 1
2 8 サクラガイセン 牡5 58 小島太 3:20.8 2.1/2 458 久保田彦之 8
3 6 スズカコバン 牡5 58 村本善之 3:21.0 1.1/4 508 小林稔 9
4 2 ニシノライデン 牡4 58 伊藤清章 3:21.6 3.1/2 476 伊藤修司 6
5 7 ミスターシービー 牡5 58 吉永正人 3:22.3 4 462 松山康久 2
第5回ジャパンカップ(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 15 シンボリルドルフ 牡4 57 岡部幸雄 2:28.8    480 野平祐二 1
2 12 ロッキータイガー 牡4 57 桑島孝春 2:29.1 1.3/4 434 泉孝 11
3 8 ザフィルバート せん5 57 G.フィリップス 2:29.3 1 462 D.コーチマン 13
4 9 アリダーズベスト 牝3 53 W.カーソン 2:29.5 1.1/2 446 J.ゴスデン 5
5 4 ドーン 牡4 57 P.ギルソン 2:29.6 3/4 460 T.グリーバー 9
第30回有馬記念(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 6 シンボリルドルフ 牡4 57 岡部幸雄 2:33.1    486 野平祐二 1
2 2 ミホシンザン 牡3 55 柴田政人 2:33.8 4 490 田中朋次 2
3 4 ニシノライデン 牡4 57 伊藤清章 2:33.9 3/4 480 伊藤修司 6
4 9 スダホーク 牡3 55 田原成貴 2:34.2 2 458 古山良司 5
5 8 ギャロップダイナ 牡5 56 根本康広 2:34.3 1/2 526 矢野進 3

3冠達成の後。菊花賞から中1週かつ下痢を発症した状態でも逃げずに挑んだ第4回ジャパンカップでは3着と初の敗戦を喫したものの、体調が戻った第29回有馬記念は2分32秒8のレコードタイムで快勝。明けて満4歳時。日経賞(GII)は逃げの手に出て2着以下を相手にせず、第91回天皇賞・春では悠々とシンザン(1961.4.2)以来の5冠を達成。宝塚記念(GI)を出走取り消しの後、ぶっつけで挑んだ第92回天皇賞・秋(GI)は「あっと驚く」ギャロップダイナ(1980.4.25)の強襲に遭い2着。第5回ジャパンカップは1番人気馬として初めての勝利を挙げ、第30回有馬記念では1歳年下の2冠馬ミホシンザン(1982.4.16)を4馬身突き放しての圧勝。

そんなルドルフのレースを改めて見直すと、好位抜け出しで運んだ時、直線で前にいる馬を捕まえに行く時の脚の、なんという鋭さ。「うわぁ、迫られた馬は怖いやろうなぁ」と思いました(^^;)

*

シンボリルドルフ。そのGI7勝を書いて辿れば、ただただ「強さ」だけが浮き彫りとなる馬です。本当に。

自身の持つ狂気と天才の狭間でレースに挑み、淡々とその絶対能力の違いを見せ続けたルドルフ。通算16戦13勝、2着1回、3着1回、着外1回。敗れたレースを紐解けばすべて左回り。つまりは、右回りでは13戦13勝。もし、「ドキッ!!最盛期の名馬だらけの有馬記念」があれば、お得意の先行抜け出しのスタイルであっさりと後続を抑えてしまいそうです。

そして、「ドキッ!!最盛期の名馬だらけの有馬記念」でルドルフに続くのは、あるいは「もしかしたら」と思わせるのは、実は自慢の息子なのかも知れません。狂気と天才の同居したルドルフの送り出した2代目が、「熱血系の美男子」トウカイテイオー(1988.4.20)だったことは、ルドルフを知る人々にとって、どこか意外であり、そして嬉しくもあることだったのでしょう。

しっかし、やっぱり凄い父仔ですね。父シンボリルドルフ、仔トウカイテイオー。この名前の並びだけで、私はシビれてしまいます(^^)

*

昭和、ひいては20世紀の3冠馬で唯一21世紀を迎えたシンボリルドルフ。御身30歳を迎えても、まだまだ、まだまだ壮健。

ルドルフならば、シンザンの長寿記録を塗り替えてもおかしくはありません。シンザンを超えられるのは、やはりルドルフしかいないのでしょう。

現在は千葉のシンボリ牧場で過ごしているルドルフ。いつまでも息災で元気に過ごして、いつまでも日本の競馬を見守り続けていて欲しいものです。

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

※2011年11月5日(土)記事改訂。レース結果を追加。

<Web Resource>

  1. http://youtu.be/nsexBRC8MjI
  2. http://youtu.be/qbvmKQlSe6A
  3. http://youtu.be/Uvay4Ivipb4

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »