35年ぶりの仏国調教馬による英ダービー(GI)制覇-Pour Moi(2008.1.10)-。

Pour Moi 牡 鹿毛 2008.1.10生 愛国・ランシュバージュ社生産 馬主・ジョン・マグナー夫人ほか 仏国・A.ファーブル厩舎

Pour Moi(2008.1.10)の4代血統表
モンジュー
鹿毛 1996.4.4
種付け時活性値:0.75
Sadler’s Wells
鹿毛 1981.4.11
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Fairy Bridge
鹿毛 1975.5.4
Bold Reason 1968.4.8
Special 1969.3.28
Floripedes
鹿毛 1985.5.11
★Top Ville
鹿毛 1976.4.5
High Top 1969
Sega Ville 1968.5.1
Toute Cy
鹿毛 1979.5.4
★Tennyson 1970.3.22
Adele Toumignon 1971.4.16
Gwynn
鹿毛 1997.2.9
仔受胎時活性値:0.50
Darshaan
鹿毛 1981.4.18
種付け時活性値:1.75
Shirley Heights
鹿毛 1975
Mill Reef 1968.2.23
Hardiemma 1969
Delsy
黒鹿毛 1972.3.20
Abdos 1959.5.18
Kelty 1965.2.28
Victoress
鹿毛 1984.5.4
仔受胎時活性値:1.00
Conquistador Cielo
鹿毛 1979.3.20
種付け時活性値:1.00
★Mr.Prospector 1970.1.28
K D Princess 1971.4.5
Royal Statute
鹿毛 1969.3.2
仔受胎時活性値:1.50
Northern Dancer
鹿毛 1961
種付け時活性値:1.75
Queen’s Statute
鹿毛 1954
仔受胎時活性値:1.50

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer3×4>

Pour Moi(2008.1.10)の中島理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Montjeu
(Sadler’s Wells系)
Darshaan
(Mill Reef系)
Conquistador Cielo
(Mr.Prospector系)
◆Northern Dancer
(Nearctic系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Darshaan
(Kelty)
4.50 ラムタラと同牝系
(No.22-B)
4番仔?

*

以下にPour Moiのごく簡単な近親牝系図を日本にゆかりのある馬を中心に示します。

Royal Statute 1969.3.2 米1勝
|Konafa 1973.4.19 英1勝 英1000ギニー(GI)2着
||Proskona 1981.5.16 伊仏5勝 ウンブリア賞(伊GII) セーネオワーズ賞(仏GIII)ほか
|||ノエシス 1986.2.25 仏2勝
||||イブキパーシヴ 1993.4.11 中央3勝 クイーンC(GIII) 桜花賞(GI)2着 阪神3歳牝馬S(現阪神JF、GI)3着
||Korveya 1982 仏伊3勝 クロエ賞(仏GIII) バグッタ賞(伊GIII)3着ほか
|||ヘクタープロテクター 1988.3.4 仏英9勝 仏2000ギニー(GI)含むGI5勝ほか
|||シャンハイ 1989.3.28 仏米伊3勝 仏2000ギニー イスパーン賞(仏GI)
|||Gioconda 1990.4.17 仏1勝
||||シーロ 1997.4.18 米仏愛5勝 セクレタリアトS(米GI) 仏グランクリテリウム(GI)ほか
|||Bosra Sham 1993.2.28 英7勝 英1000ギニー 英チャンピオンS(GI) フィリーズマイル(GI)ほか
|Awaasif 1979.4.27 英伊米仏4勝 ヨークシャーオークス(英GI) ジョッキークラブ大賞(伊GI)ほか
||Snow Bride 1986.2.28 英仏5勝 英オークス(GI) ムシドラS(英GIII) プリンセスロイヤルS(英GIII)
|||ラムタラ 1992.2.2 英仏4勝 英ダービー(GI) "キング・ジョージ"(英GI) 凱旋門賞(仏GI)
|Victoress 1984.5.4 仏1勝
||フェルモイ 1989.3.5 英2勝
|||フェリシア 2002.4.12 中央2勝 フェアリーS(GIII) ファルコンS(GIII)2着
||Gwynn 1997.2.9 不出走
|||Gagnoa 2005.3.7 仏愛3勝 ペネロープ賞(仏GIII) レゼルヴォワール賞(仏GIII) 仏オークス(GI)2着ほか
|||Pour Moi 2008.1.10 (本馬) 英ダービー グレフュール賞(仏GII)

発信はE.P.テイラーの22号族。近親には豪華メンバーが揃っています。従姉フェリシアはグラスワンダー(1995.2.18)の仔として初めてJRA重賞を制しました。

*

第232回を迎えた「The Derby」。弱冠というにも足らない19歳、英ダービー初騎乗初制覇となったM.バルザローナ騎手の、ゴール前からの派手な立ち上がりパフォーマンス。わぉ、勝ったから良かったけれど、ね(*^_^*)

直線、逃げ粘るMenphis Tennessee(2008.3.10)とJ.オブライエン騎手(A.オブライエン調教師の息子)、番手から抜け出しに掛かるチェスターヴァーズ(英GIII)の勝ち馬Treasure Beach(2008.3.25)とC.オドノヒュー騎手、それを追うエリザベス女王の持ち馬にしてダンテS(英GII)の勝ち馬Carlton House(2008.4.30)とR.ムーア騎手。あの瞬間、多くの英国民はエプソムに来場されていたThe Queenの愛馬に「勝ってくれ!!」と願ったでしょう。故あってWebにてライブで見ていた私も、「女王陛下の馬!!」って、叫んでいました。

そんな前を行く3頭の叩き合いの外から伸びて来た、Pour Moiが見せた最後方強襲の末脚。鹿毛の流星、おなじみスー・マグナーの濃紺の帽子と勝負服。最後の最後、Treasure Beachが勝つのかと思われたところで、Pour Moi。そして、上述した鞍上バルザローナ騎手のパフォーマンス。勝利を確信したのでしょう。公式発表はアタマ差ですが、日本であれば、ハナ差ではないでしょうか。まま、いずれにせよ、1着2着はクールモアグループの関連馬ですから。と、身もフタも無いことを書いてしまっちゃあ、お仕舞いですか(^^;)

今回の記事のタイトルにもなっていますけれど、仏国調教馬による英ダービー制覇は、1976年のエンペリー(1973.3.23)以来、35年ぶりのことでした。という訳で、名伯楽A.ファーブル調教師にとっても、初めての英ダービー制覇と相成りました。

*

Pour Moiの血統面について見ておくと、「父モンジュー×Darshaan牝馬」ということで、Sadler’s Wells系種牡馬の成功パターンによく見られるニックとなっていますね。2着のTreasure Beachも「Galileo×Mark of Esteem牝馬」ですから、やはり同じニックです。また、父モンジューは2005年Motivator(2002.2.22)、2007年Authorized(2004.2.14)に続いて3頭目の英ダービー馬を送り込んだことになります。やるなぁ。

そんなモンジューの4代血統構成だけを抜き出すと、

モンジュー(1996.4.4)の4代血統構成
母父 祖母父 曾祖母父
Sadler’s Wells
(Northern Dancer系)
★Top Ville
(Dante系)
Tennyson
(Blandford系)
ゼダーン
(Grey Sovereign系)

中島理論的には、母父Top Ville、祖母父Tennysonの0交配が効いている、というところでしょうか。さらに曾祖母父ゼダーン(1965)はその父Grey Sovereign(1948)の0遺伝馬、高祖母父ボウプリンス(1952)もその父Prince Chevalier(1943)の0遺伝馬と、モンジューの母方は多く0が現れる配合となっています。種牡馬モンジュー、中島理論的にも上手い仕掛けがなされている、と言えるでしょうね。

*

Pour Moiの牝系については↑の近親牝系図に示したとおりです。豪華な牝系。ひとつ前の記事で述べた今年の英オークス(GI)も、英ダービー馬ドクターデヴィアス(1989.3.10)を近親に持つDancing Rain(2008.4.24)が勝利を収めましたが、英ダービーも英ダービー馬ラムタラを近親に持つPour Moiが勝利を収めたという結果でした。

後方からの強襲も同じ。ラムタラの鞍上だったW.スウィンバーン騎手は、タッテナムコーナーから直線で進路を失った時のことを、次のように述べられています。

丘を下りながら私は、神よ、アレックスよ、我に奇跡を! と言ったのです。するとモーゼを前にした紅海のように、前が開いたのでした。私は、アレックスが天上から助けてくれていることを知りました。かねてから私は神を信じていました。しかし今は、本当に信じているのです。

ラムタラ – Wikipedia(日本語版)

ラムタラの元々の調教師で、スウィンバーン騎手の親友でもあったというアレックス・スコット調教師は、ラムタラの2歳時、不運にも銃殺されてしまったのです。そんな彼が空の上から助けてくれたからか、あるいは、その名のとおり「神の見えざる力」が働いたのか、ラムタラ。デビュー2戦目、明け3歳初戦で迎えたレースであったにもかかわらず、勝ち時計2分32秒31は英ダービーレコードにしてコースレコード。そして「英ダービー馬×英オークス馬」の父母から生み出された最初の英ダービー馬となったのでした。

しかし、英ダービーでも唸る杉本節。

*

ひとつ前の記事同様、最後はだいぶん逸走してしまいましたが、日本にも縁のある牝系から英ダービー馬が送り込まれたのはとても嬉しいことです。

Pour Moi、若武者バルザローナ騎手と共に、これからも活躍を見せて欲しいですね♪

  

では、以上オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

コメント

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